似た意味を持つ「他山の石」(読み方:たざんのいし)と「対岸の火事」(読み方:たいがんのかじ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「他山の石」と「対岸の火事」という言葉の意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「他山の石」と「対岸の火事」の違い
「他山の石」と「対岸の火事」の意味の違い
「他山の石」と「対岸の火事」の違いを分かりやすく言うと、「他山の石」とは他人の誤った行いを自分の行いの参考にすること、「対岸の火事」とは自分には関係がなく苦痛がないことという違いです。
「他山の石」と「対岸の火事」の使い方の違い
一つ目の「他山の石」を使った分かりやすい例としては、「今回起きた問題はこの業界において他山の石となるはずです」「人の失敗を馬鹿にせず他山の石とするべきだ」「彼女の失敗を他山の石としなさい」などがあります。
二つ目の「対岸の火事」を使った分かりやすい例としては、「この件に関しては決して対岸の火事と言えるものではありません」「知らない人が喧嘩をしているが対岸の火事なのでほっておこう」などがあります。
「他山の石」と「対岸の火事」の使い分け方
「他山の石」と「対岸の火事」はどちらも正しい日本語ですが、意味は異なっているので注意しましょう。
「他山の石」は他人の誤った行いを自分の行いの参考にすることを意味しているのに対して、「対岸の火事」は自分には関係がなく苦痛がないことを意味しています。
「他山の石」と「対岸の火事」の英語表記の違い
「他山の石」を直訳した英語はないのですが、近い表現として「a lesson」「an example」などがあり、例えば上記の「彼女の失敗を他山の石としなさい」を英語にすると「Let her failure be a lesson to you」となります。
一方、「対岸の火事」を英語で直訳すると「fire on the opposite shore」となりますが、あまり使われていない表現です。そのため、近いニュアンスである「It’s nothing to do with me」「That’s somebody’s else problem」などを使うといいでしょう。
「他山の石」の意味
「他山の石」とは
「他山の石」とは、他人の誤った行いを自分の行いの参考にすることを意味しています。
表現方法は「他山の石として」「他山の石にせず」「他山の石にする」
「他山の石として」「他山の石にせず」「他山の石にする」などが、「他山の石」を使った一般的な言い回しになります。
「他山の石」の使い方
「他山の石」を使った分かりやすい例としては、「他社の不祥事を他山の石として会計の透明化を図る」「私のしてきた試行錯誤は他山の石になるはずです」「彼女の失敗を批判するのではなく他山の石として自分自身の成長に繋げよう」などがあります。
「他山の石」は基本的に悪い例えを参考にして使うので、マイナスなイメージで使う言葉になります。また、ビジネスシーンなどにおいて目上のに人に対して使わないようにしましょう。
「他山の石」はことわざ
「他山の石」は他人の誤った行いを自分の行いの参考にすることを意味することわざです。ことわざとは、古くから言い伝えられてきた教訓または風刺の意味を含んだ短い言葉のことを意味しています。
「他山の石」の由来
「他山の石」は中国最古の詩集である詩経(読み方:しきょう)の中の小雅・鶴鳴(読み方:しょうが・かくめい)にある「他山の石以て玉を攻むべし」が由来です。
「他山の石以て玉を攻むべし」とは、その山から出た質の悪い石でも、自分の玉を磨くのに役立てることができることを意味しています。現代はこれが転じて、他人の誤った行いを自分の行いの参考にすることの意味で使われるようになりました。
「他山の石」の類語
「他山の石」の類語・類義語としては、悪い面の見本でそれを見るとそうなってはいけないと教えられる人や事例のことを意味する「反面教師」、人の行いを見て自分の行動を正すことを意味する「人の振り見て我が振り直せ」などがあります。
「対岸の火事」の意味
「対岸の火事」とは
「対岸の火事」とは、自分には関係がなく苦痛がないことを意味しています。
表現方法は「対岸の火事とは思えない」「対岸の火事とは言えない」
「対岸の火事とは思えない」「対岸の火事とは言えない」「対岸の火事とせず」などが、「対岸の火事」を使った一般的な言い回しになります。
「対岸の火事」の使い方
「対岸の火事」を使った分かりやすい例としては、「この事件は対岸の火事の一言で片付けることはできません」「他社の混乱を対岸の火事と捉えてはならないだろう」「同業者が倒産したことは対岸の火事とは思えません」などがあります。
「対岸の火事」とは、自分には関係がなく苦痛がないことを意味する慣用句になります。慣用句とは二語以上の単語が結合してそれ全体である特定の意味を表す言葉のことです。
「対岸の火事」の由来
「対岸の火事」の語源は、こちらへ飛び火する心配がない向こう岸の火事になります。これが転じて、自分には関係がなく苦痛がないことの意味で使われるようになりました。
「対岸の火事」の類語
「対岸の火事」の類語・類義語としては、自分に無関係な人についてのことを意味する「他人事」、自分には関係のないことを意味する「人事」、関係のないことを意味する「無縁」、第三者の立場から興味本位に物事の成り行きを傍観することを意味する「高みの見物」などがあります。
「他山の石」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人の誤った行いを自分の行いの参考にすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、他人行動を戒めにする場合に使います。
「対岸の火事」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分には関係がなく苦痛がないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文4のような、「対岸の火事とは思えない」というフレーズはよく使われています。
「他山の石」と「対岸の火事」はどちらの言葉を使うか迷った場合、他人の誤った行いを自分の行いの参考にすることを表現したい時は「他山の石」を、自分には関係がなく苦痛がないことを表現したい時は「対岸の火事」を使うと覚えておきましょう。