似た意味を持つ「目算」(読み方:もくさん)と「公算」(読み方:こうさん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「目算」と「公算」という言葉は、どちらも物事に対する見込みを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
目算と公算の違い
目算と公算の意味の違い
目算と公算の違いを分かりやすく言うと、目算とは目分量のような大まかな見通しを表し、公算とは確率としての可能性を表すという違いです。
目算と公算の使い方の違い
一つ目の目算を使った分かりやすい例としては、「目算が外れるような事態もあり得る」「営業ノルマ達成の目算が立つ」「目算法のコツを教えてもらう」「安定財源の目算が狂う」「変異株の急増で収束の目算が外れる」などがあります。
二つ目の公算を使った分かりやすい例としては、「この調子なら決勝に進む公算が大きい」「議案は満場一致で可決する公算大である」「再契約となる公算はない」「市長選は新人同士の一騎打ちとなる公算大です」などがあります。
目算と公算の使い分け方
目算と公算という言葉は、音の響きが似ており、どちらも物事の見込みや可能性を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
目算とは、もともと目分量を意味し、だいたいの見当をつけることや見通しをつけることを表します。上記の例文の「目算が外れる」とは、予測していた通りに物事が進まないことを意味します。
公算とは、ある事柄が起こる確実性の度合いや確率を意味します。また、実現する見込みや可能性の意味もあり、上記の例文にある「公算はない」とは、その事が実現する可能性がないことを意味します。
つまり、目算と公算はどちらも将来に対する見込みを意味しますが、目算は目分量のような大まかな見通しを表し、公算は確率としての可能性を表す言葉なのです。
目算と公算の英語表記の違い
目算を英語にすると「expectation」「calculation」「design」となり、例えば上記の「目算が外れる」を英語にすると「one’s expectations go wrong」となります。
一方、公算を英語にすると「likelihood」「probability」となり、例えば上記の「公算が大きい」を英語にすると「there is a strong probability」となります。
目算の意味
目算とは
目算とは、目で見て数量の見当をつけたり計算をしたりすること、目分量を意味しています。
その他にも、「こうなるだろうという予測や、それにもとづいた計画」、「囲碁で、対局中に相手と自分の地を計算すること」の意味も持っています。
目算の使い方
「部内で売り上げの目算を立てる」「目算を誤ると効率が落ちる」「数値はグラフからの目算値です」「目算法のやり方が分からない」「勝利の目算が立つ」「赤字の目算が高い」などの文中で使われている目算は、「数量の見当をつけたり計算をしたりすること」の意味で使われています。
一方、「当初の目算が外れる」「目算が甘いと指摘された」などの文中で使われている目算は「予測や予測に基づいた計画」の意味で、「布石段階から目算する」「13路の目算に時間がかかる」などの文中で使われている目算は「囲碁で相手と自分の地を計算すること」の意味で使われています。
目算の由来
目算という言葉は、文字通り「目で計算すること」であり、目で見ただけで大まかな見当をつけることが原義となっています。転じて、将来に対する計画や見込みの意味を持つようになりました。また、囲碁においては、目の数を計算することの意味で使われている言葉です。
「目算を立てる」「目算が外れる」の意味
上記の例文にある「目算を立てる」とは、数量の見当をつけたり、だいたいの計算をしたりすることを意味します。「目算が外れる」とは、予想した通りに進まないことや、想定外の事態になることを表します。
表現方法は「目算が立つ」「目算がある」「目算が高い」
「目算を立てる」「目算が外れる」では「目算が立つ」「目算がある」「目算が高い」などが、目算を使った一般的な言い回しです。
目算の類語
目算の類語・類義語としては、見積もることを意味する「見積り」、心の中で見積もりを立てることを意味する「胸算用」、物事がまだ実現しないうちから当てにしてあれこれ計画を立てることを意味する「皮算用」、推定して計算することを意味する「推計」などがあります。
公算の意味
公算とは
公算とは、ある事の起こる確実性の度合い、実現する見込みを意味しています。
公算の使い方
公算を使った分かりやすい例としては、「関税が高くなる公算が大きい」「公的年金は据え置きとなる公算が大きい」「証拠が揃っているので不起訴処分となる公算はない」「射弾散布に公算誤差の計算が使われる」などがあります。
その他にも、「この状況では無観客試合となる公算大でしょう」「この2チームで優勝争いとなる公算が強い」「選挙戦は三つ巴となる公算が強い」「円形公算誤差は1キロメートルと推定される」「公算射撃の最低必要弾数は6発であった」などがあります。
表現方法は「公算が大きい」「公算が小さい」「公算が強い」
公算という言葉は、ある事が起こる確実性の度合いや確率を意味します。はっきりと数値に示せないような度合いの場合に使われることが多いため、「大きい」「小さい」などで表します。また、見込みや可能性の意味で使うこともあり、「公算が強い」「公算はない」のように表現します。
「公算が高い」「公算が低い」は誤り
公算を用いた誤った言い回しには「公算が高い」「公算が低い」があります。公算とは確実性の度合いを表す言葉のため、大小で表現し、高低で表すことは誤りになります。
「円形公算誤差」の意味
上記の例文にある「円形公算誤差」とは、爆弾やミサイルなどの射弾散布を測る指標であり、命中精度を表す言葉です。「円公算誤差」「平均誤差半径」とも言います。
「公算論」の意味
公算という言葉を用いた日本語には「公算論」があります。物事の起こる確からしさについての数学的理論を意味し、「確率論」とも言います。ソ連の数学者コルモゴロフによって理論的基礎が築かれ、近代統計学にも重要な役割を果たしているものです。
公算の類語
公算の類語・類義語としては、ある事象の起こる可能性の度合いを意味する「確率」、ある事柄が起こる確実性や真実として認められる確実性の度合いを意味する「蓋然性」、物事が実現できる見込みや事実がそうである見込みを意味する「可能性」などがあります。
目算の例文
この言葉がよく使われる場面としては、大体の見当をつけること、予期した計画や見込み、囲碁で目の数を計算することを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある目算は、大体の見当をつけることの意味で使われています。例文2から例文4にある目算は、予期した計画や見込みの意味で使われています。例文5の目算は、囲碁で目の数を計算することの意味で使われています。
公算の例文
この言葉がよく使われる場面としては、あることが起こるであろうことの確実性の度合い、実現する見込みを表現したい時などが挙げられます。
例文2や例文5にある「公算大」は「公算が大きい」を省略した表現です。新聞の見出しなどで使われる書き言葉ですが、しばしば話し言葉でも使われています。読み方は「こうさんだい」です。
目算と公算という言葉は、どちらも物事の見込みを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、目分量や大まかな見通しを表現したい時は「目算」を、確率や実現する可能性を表現したい時は「公算」を使うようにしましょう。