似た意味を持つ「全滅」(読み方:ぜんめつ)と「絶滅」(読み方:ぜつめつ)と「壊滅」(読み方:かいめつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「全滅」と「絶滅」と「壊滅」という言葉は、残らず全てなくなることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
全滅と絶滅と壊滅の違い
全滅と絶滅と壊滅の意味の違い
全滅と絶滅と壊滅の違いを分かりやすく言うと、全滅は一度に全て失われることを表現する時に使い、絶滅は徐々に全て失われることを表現する時に使い、壊滅は跡形もなく壊れてしまうことを表現する時に使うという違いです。
全滅と絶滅と壊滅の使い方の違い
全滅という言葉は、「害虫を全滅させるための殺虫剤を買う」「ゲーム内の敵を全滅させることがクリア条件である」などの使い方で、残らず滅びることを意味します。
絶滅という言葉は、「ラッコが絶滅危惧種だというのは知らなかった」「絶滅の危機に晒されている生物の保護活動に参加する」などの使い方で、残らず絶やすことや生物の種などが滅びて絶えることを意味します。
壊滅という言葉は、「壊滅的なテストの点数を見て驚いた」「街一帯が壊滅したという報道を見た」などの使い方で、すっかり壊れてしまって跡形もない状態になることを意味します。
全滅と絶滅と壊滅の使い分け方
全滅と絶滅はどちらも残らず全て滅びること意味する言葉ですが、軍事において前者は特定の部隊の人員のうち3割を失った状態を、後者は5割以上を失った状態を指します。
また、「鉢の金魚が全滅してしまった」「マンモス絶滅までの歴史を辿る」のように種族に関して使うことも出来ますが、全滅の場合は群れなどその場の全てが一度に失われることを意味し、絶滅の場合は地球上から徐々に完全に失われることを意味します。
一方、壊滅は跡形もなく滅んでしまうことを意味しますが、種族が滅ぶことに対して使われることはほとんどありません。使う場合は、「壊滅的な被害」などの使い方がなされます。
これが、全滅、絶滅、壊滅の明確な違いです。
全滅の意味
全滅とは
全滅とは、残らず滅びることを意味しています。また、残らず滅ぼすことも意味します。
全滅は戦争やゲームで使われる言葉
戦争の部隊などの構成員が戦闘不能になるといった意味で使われ、今日ではゲームなどで使われることが多い言葉です。
旧日本陸軍の全滅率
旧日本陸軍では、損耗率が50%に達した場合に全滅とみなしており、再編成が必要とされていました。
入学試験・就職活動・チケット落選でも全滅が使われる
ただし、試験を行った受験校に全て不合格だった場合や、就職試験に臨んだ全ての企業から不採用通知をもらった場合、申し込んだ全ての舞台やコンサートなどのチケットに全て落選した場合などにも「全滅」という言葉が使われています。
全滅の対義語
全滅の対義語・反対語としては、焼けたり壊れたりした建造物を建て直すことを意味する「再建」、生命を存続することを意味する「生存」があります。
全滅の類語
全滅の類語・類義語としては、悪弊などを根本から徹底的に絶やすことを意味する「根絶」、うち滅ぼすことを意味する「撃滅」、皆ごろしにすることを意味する「鏖殺」(読み方:おうさつ)、葬り去ることを意味する「抹殺」などがあります。
絶滅の意味
絶滅とは
絶滅とは、残らず絶やすことを意味しています。その他にも、生物の種などが滅びることも意味します。
絶滅を使った言葉として、「絶滅危惧種」「絶滅収容所」があります。
「絶滅危惧種」の意味
一つ目の「絶滅危惧種」とは、現在生存している個体数が減少しており、絶滅の危機にある生物のことを意味する言葉で、これら絶滅の恐れがある野生生物のリストを「レッドリスト」と呼びます。
奄美大島の固有種であるアマミノクロウサギ、西表島の固有亜種であるイリオモテヤマネコ、カワウソ類が海に進出して陸に依存しないで生きていけるラッコなどが、日本に生息する絶滅危惧種として扱われています。
「絶滅収容所」の意味
二つ目の「絶滅収容所」とは、第二次世界大戦中に、ナチス・ドイツがユダヤ人などの大量虐殺を目的として設置したアウシュビッツなどの6つの強制収容所の総称を指す言葉です。
絶滅の対義語
絶滅の対義語・反対語としては、生物が周囲の条件や内部の発達によって変化し、新しい生物を生じるなどすることを意味する「進化」、動物や植物が生まれて増えることを意味する「繁殖」、生き続けることや繁殖することを意味する「生息」があります。
絶滅の類語
絶滅の類語・類義語としては、取り除くことを意味する「除却」、相続人がいなくて家系が断絶することを意味する「絶家」、滅ぼして失くす事を意味する「滅絶」、死んで滅びてしまうことを意味する「死滅」などがあります。
壊滅の意味
壊滅とは
壊滅とは、すっかりだめになってしまうことを意味しています。
壊滅の読み方
壊滅は「かいめつ」という読み方をします。「潰滅」という別の表記をすることもありますが読み方は変わりません。
壊滅の軍事的な定義は5割以上の損壊
軍事的に「壊滅」という言葉を使う際、特定の部隊が5割以上損壊することを表しますが、ほぼ全体が損害を受けて消滅してしまう状態を「殲滅」(読み方:せんめつ)と表します。
「壊滅的」の意味
壊滅を使った言葉として、「壊滅的」があります。これは、状態が非常に悪いことを表して使うことが多い言葉で、「壊滅的な被害状況」「壊滅的な料理技術」という使い方はもちろん、「壊滅的に似合わない」などのように使うこともあります。
表現方法は「壊滅する」「壊滅させる」「壊滅状態」
壊滅的以外では「壊滅する」「壊滅させる」「壊滅状態」などが、壊滅を使った一般的な言い回しです。
壊滅の対義語
壊滅の対義語・反対語としては、いったん衰えたものが再び元の盛んな状態に返ることを意味する「復興」、壊れたり傷んだりしたものを元の状態にすることを意味する「復旧」があります。
壊滅の類語
壊滅の類語・類義語としては、人格や国家などが成り立たなくなることを意味する「破滅」、壊れることや壊すことを意味する「損壊」、事変や天災から受ける災難を意味する「変災」、悲惨な出来事を意味する「惨事」などがあります。
全滅の例文
この言葉がよく使われる場面としては、残らず滅びることを意味する時などが挙げられます。
例文2のように、全ての戦いに負けてしまうことなどを意味することもあります。
絶滅の例文
この言葉がよく使われる場面としては、残らず絶やすことを意味する時などが挙げられます。
絶滅は種が失われることを意味するため、全滅という言葉を使うこともできますが範囲が変わってしまうため、同じ意味として使うために置き換えることはできません。
壊滅の例文
この言葉がよく使われる場面としては、すっかりだめになってしまうことを意味する時などが挙げられます。
例文1や例文2の「壊滅的」は酷く悪い状態を表す言葉として使われます。
全滅と絶滅と壊滅どれを使うか迷った場合は、一度に全て失われることを表す場合は「全滅」を、徐々に全て失われることを表す場合は「絶滅」を、跡形もなく壊れてしまうことを表す場合は「壊滅」を使うと覚えておけば間違いありません。