【静養】と【療養】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「静養」(読み方:せいよう)と「療養」(読み方:りょうよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「静養」と「療養」という言葉は、どちらも「体を休めること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




静養と療養の違い

静養と療養の意味の違い

静養と療養の違いを分かりやすく言うと、静養とは健康を維持するために体を休めること、療養とは病気を治すために体を休めることという違いです。

静養と療養の使い方の違い

一つ目の静養を使った分かりやすい例としては、「しばらく別荘で静養することにしました」「体調不良のため自宅で静養することにしました」「天皇ご一家は静養のため那須御用邸に滞在されています」などがあります。

二つ目の療養を使った分かりやすい例としては、「自宅で療養する上での注意点をお伝えします」「療養費支給申請書の書き方を教えてもらいました」「伯父は療養病床のある病院に転院することが決まりました」などがあります。

静養と療養の使い分け方

静養と療養という言葉は、どちらも健康を維持したり病気から回復するために体を休めることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。

静養とは、心身を静かに休めて健康維持をはかったり病気や疲労の回復を促すことを意味します。病気に対する治療という意味合いは少なく、心身をゆったりと休めることに重きを置いた表現です。そのため、静養する場所として自宅や別荘あるいは温泉地などが選ばることが多くあります。

療養とは、治療し養生することを意味し、病気やけがの手当をして健康の回復をはかることを意味します。病気を治したり健康を回復したりするという意味合いが強い言葉であり、「療養病床」とは長期にわたり療養を必要とする患者のための病床です。

つまり、静養とは健康を維持する目的で体を休めることを表し、療養とは病気を治療する目的で体を休めることを表します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

静養と療養の英語表記の違い

静養を英語にすると「rest」「recuperation」となり、例えば上記の「静養する」を英語にすると「take a rest」となります。

一方、療養を英語にすると「medical treatment」「convalescence」となり、例えば上記の「療養する」を英語にすると「get medical treatment」となります。

静養の意味

静養とは

静養とは、病気や疲労の回復などのために、心身をゆったりと休めることを意味しています。

静養の読み方

静養の読み方は「せいよう」です。誤って「じょうよう」などと読まないようにしましょう。

静養の使い方

静養を使った分かりやすい例としては、「風邪気味なので家で静養することにしました」「ごゆっくり静養なさってください」「仕事のことは気になさらず静養してくださいとメールしました」などがあります。

その他にも、「この老人ホームの静養室は清潔で気に入りました」「早く復帰できるよう静養に努める」「先週から静養中のため英語のレッスンはお休みしています」「静養中の母とメールで近況を報告し合いました」などがあります。

静養の「静」は訓読みで「しずめる」と読み、心を乱さないで落ち着いていることを表し、「養」は訓読みで「やしなう」と読み、食物をとってからだをやしなうことを表す漢字です。静養とは、心も体もゆったりとした状態におくことを意味します。

表現方法は「静養なさってください」

上記の例文にある「静養なさってください」は、相手の心身をゆっくり休めてほしいという配慮の気持ちを伝える丁寧な表現です。尊敬語の「なさる」があるので、目上の人にも使えるお見舞いのフレーズです。

静養の対義語

静養の対義語・反対語としては、 活発に動くことを意味する「活動」などがあります。

静養の類語

静養の類語・類義語としては、からだを休ませて健康を養うことを意味する「保養」、健康を守り保つことを意味する「保健」、仕事などを休んで気力や体力を養うことを意味する「休養」などがあります。

療養の意味

療養とは

療養とは、病気やけがの手当てをし、からだを休めて健康の回復をはかること、治療と養生を意味しています。

療養の使い方

療養を使った分かりやすい例としては、「入院療養中の外出は主治医の許可が必要です」「自宅療養とは入院しなくていいのですか」「評判の良い療養型病院を探しています」「療養の給付に含まれるものは何ですか」などがあります。

その他にも、「祖父は来週から療養病棟に移る予定です」「療養病床の施設基準を確認する」「療養費支給申請書をダウンロードしました」「自己負担分を控除した残りの額を療養費として受ける」などがあります。

療養の「療」は訓読みで「いやす」と読み、病気をなおすことや苦痛などをなおしたり和らげたりすることを表します。食物をとって体をだいじにすることを表す「養」と組み合わさり、療養とは、病気治療のために手当をして体を休めることを意味します。

表現方法は「療養型病院」

療養を用いた日本語には「療養型病院」があります。療養型病院とは、病状が慢性期になった人や長期にわたる介護が必要な高齢者が長期にわたって入院する病院であり、医療的ケアや療養上の世話あるいはリハビリなどが受けられます。

療養の対義語

療養の対義語・反対語としては、健康に悪いことをすることを意味する「不摂生」、健康に気をつけないことを意味する「不養生」などがあります。

療養の類語

療養の類語・類義語としては、病気や症状を治癒あるいは軽快させるための医療行為を意味する「治療」、病気の回復につとめることを意味する「養生」、病気を治そうという強い意志で療養につとめることを意味する「闘病」などがあります。

静養の例文

1.ここのところ体調が優れないので、しばらく別荘で静養します。
2.症状が安定したので、退院して自宅で自宅でゆっくり静養することになりました。
3.毎年夏になると軽井沢で静養していましたが、今年は自宅で養生しています。
4.お仕事のことは気がかりでしょうが、この際ゆっくりとご静養くださいますようお願いいたします。
5.静養地として知られる軽井沢や那須塩原は、訪れるだけで爽やかな気分になります。

この言葉がよく使われる場面としては、心も肉体もゆったりとした状態におくことを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある静養と養生の違いは、静養は健康を維持するために休むというニュアンスがあり、養生は病気を治すために体を休めるというニュアンスがある点です。

療養の例文

1.当院は、医療や介護が必要な高齢者のための療養型病院として開院しました。
2.自宅療養中の祖母へのお見舞いとして、栄養価の高い食べ物を贈ろうと思います。
3.大人がインフルエンザに罹った場合の療養期間については特に規定がありません。
4.話題になっている選定療養の仕組みについて、薬局でわかりやすく教えてもらいました。
5.国会では、高額療養費制度の限度額引き上げを巡り激しい舌戦が繰り広げられています。

この言葉がよく使われる場面としては、病気を治療するために手当をして体を休めることを表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「選定療養」とは、医療保険制度上の仕組みの一つであり、追加費用を支払って特別な治療を選ぶという医療サービスです。例文5の「高額療養費制度」とは、医療費の自己負担額が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分があとで払い戻される制度のことです。

静養と療養という言葉は、どちらも「体を休めること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、健康を維持するために体を休めることを表現したい時は「静養」を、病気を治すために体を休めることを表現したい時は「療養」を使うようにしましょう。

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