【敷く】と【引く】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「敷く」(読み方:しく)と「引く」(読み方:ひく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「敷く」と「引く」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。




「敷く」と「引く」の違い

「敷く」と「引く」の意味の違い

「敷く」と「引く」の違いを分かりやすく言うと、「敷く」とは一面に平らに広げたり並べたりすること、「引く」とは物の端を持って手近の所に寄らせることという違いです。

「絨毯を敷く」「座布団を敷く」「砂利を敷く」は「敷く」

一つ目の「敷く」を使った分かりやすい例としては、「リビングに絨毯を敷く」「お客さんが来るので座布団を敷く」「彼は女房の尻に敷かれている」「背水の陣を敷く」「道に砂利を敷く」などがあります。

「弓を引く」「くじを引く」「カードを引く」は「引く」

二つ目の「引く」を使った分かりやすい例としては、「獲物を狩るために弓を引く」「700円以上商品を購入したのでくじを引く」「迷子の子供の手を引く」「彼の才能なら引く手あまただろう」「彼はカードを引く」などがあります。

「敷く」と「引く」の使い分け方

「敷く」と「引く」は発音が似ている言葉ですが、意味は異なっているので間違えないように気をつけましょう。

「敷く」は一面に平らに広げたり並べたりすること、物を載せるために平らにして下に置くこと、下に押さえつけること、設置や配置することを意味しています。

一方、「引く」は物の端を持って手近の所に寄らせること、引き寄せ操って目指す所に伴うこと、線状に伸ばし延べること、出ているものを近づけ寄せること、出ているものが遠くへ去ることの意味で使う言葉です。

「敷く」と「引く」の使い分けでよく間違えやすいのが、「布団を敷くか引くか」と「フライパンの油を敷くか引くか」になります。

「布団を引く」ではなく「布団を敷く」が正しい理由

前者は「布団を敷く」が正しい日本語です。なぜなら「敷く」は一面に平らに広げたり並べたりすることの意味を持っているからです。

「油を敷く」ではなく「油を引く」が正しい理由

後者は「油を引く」が正しい日本語です。なぜなら「引く」は線状に伸ばし延べることの意味を持っており、プライパンの油を引くという動作はこれに当たるのが理由になります。

「敷く」と「引く」の英語表記の違い

「敷く」を英語にすると「spread」「cover」「lay」となり、例えば上記の「道に砂利を敷く」を英語にすると「cover a road with gravel」となります。

一方、「引く」を英語にすると「pull」「draw」「lead」「subtract」となり、例えば上記の「彼はカードを引く」を英語にすると「He draw a card」となります。

「敷く」の意味

「敷く」とは

「敷く」とは、一面に平らに広げたり並べたりすることを意味しています。その他にも、物を載せるために平らにして下に置くこと、下に押さえつけること、設置や配置することの意味も持っています。

表現方法は「対策を敷く」「規制を敷く」「ござを敷く」

「対策を敷く」「規制を敷く」「ござを敷く」などが、「敷く」を使った一般的な言い回しになります。

「敷く」の使い方

「この辺に畳を敷くことにしました」「寝る時間なので布団を敷く」などの文中で使われている「敷く」は、「一面に平らに広げたり並べたりすることや物を載せるために平らにして下に置くこと」の意味で使われています。

一方、「彼氏を尻に敷くカップルは長続きするらしい」「地域を盛り上げるために鉄道を敷く」などの文中で使われている「敷く」は、「下に押さえつけることや設置や配置すること」の意味で使われています。

「敷く」は複数の意味を持っており、様々な場面で使われている言葉です。

「尻に敷く」「尻に敷かれる」「尻に敷かれている」の意味

「敷く」を使った有名な言葉としては、「尻に敷く」があります。「尻に敷く」とは妻が自分の意に夫を従わせて思うままに振る舞うことで、「奥さんの尻に敷かれる」「妻の尻に敷かれている」「亭主を尻に敷く」などように使います。

「敷く」の類語

「敷く」の類語・類義語としては、広い範囲に設置することを意味する「敷設」(読み方:ふせつ)、広く広げることを意味する「展開」、広く散らばることを意味する「散開」、一般に広く知らせることを意味する「公布」などがあります。

「引く」の意味

「引く」とは

「引く」とは、物の端を持って手近の所に寄らせることを意味しています。その他にも、引き寄せ操って目指す所に伴うこと、線状に伸ばし延べること、出ているものを近づけ寄せること、出ているものが遠くへ去ることの意味も持っています。

表現方法は「気持ちが引く」「引くわー」「ドン引く」

「気持ちが引く」「引くわー」「ドン引く」などが、「引く」を使った一般的な言い回しになります。

「引く」の使い方

「停車するためにサイドブレーキを引く」「調べたい漢字があるので辞書を引く」などの文中で使われている「引く」は、「物の端を持って手近の所に寄らせることや引き寄せ操って目指す所に伴うこと」の意味で使われています。

一方、「裸で寝ていたせいで風邪を引く」「日光を遮るためにカーテンを引く」などの文中で使われている「引く」は、「出ているものを近づけ寄せること線状に伸ばし延べること」の意味で使われています。

「引く」は複数の意味を持っており、様々な場面で使われている言葉です。

「ドン引き」の意味

「引く」を使った有名な言葉として、「ドン引き」があります。「ドン引き」は誰かの言動でその場の雰囲気が急にしらけることを意味しており、若者の間で使われている若者言葉です。

「引く」の対義語

「引く」の対義語・反対語としては、足し算をすることを意味する「足す」、動かそうとして上や横から力を加えることを意味する「押す」などがあります。

「引く」の類語

「引く」の類語・類義語としては、近くに引き寄せることを意味する「引きつける」、引いてぴんと張った状態にすることを意味する「引っ張る」、引き抜いて出すことを意味する「抜き出す」などがあります。

「敷く」の例文

1.引っ越ししてまずやること言えば、リビングに絨毯を敷くことです。
2.もう少しで就寝時間なので、布団を敷いて歯磨きをする。
3.仕事ではバリバリ働いてる彼だが、家では奥さんの尻に敷かれているらしい。
4.凶悪な犯人が刑務所から脱獄したので、厳重な捜査網を敷くことにしました。
5.自ら背水の陣を敷くことで、失っていた気持ちを奮い立たせることにしました。
6.劇場で水を使うときは、床を濡らさないように、床の上にビニールなどを敷いてその上に木で新たな床をつくることがルールだ。
7.満開の桜の下に大きなシートを敷いて、新入社員が場所取りをしている。花見の季節が来ると、このような光景が目に浮かぶ。
8.誰かが小道を通ってもわかるように、防犯上の理由から砂利を敷くことにしたが、何袋くらいの砂利が必要なのかまったく見当がつかなかった。
9.友人は結婚してからは奥さんの尻に敷かれているようだったが、本人はまんざらでもない様子で、幸せな家庭生活を送っているようだ。
10.今時の若い人たちは小さい頃から洋間のベッドで生活していることが多いので、布団を敷いたことがないという人も多いのだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、一面に平らに広げたり並べたりすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、物を載せるために平らにして下に置くこと、下に押さえつけること、設置や配置することを表現したい時にも使います。

例文1の「敷く」は 一面に平らに広げたり並べたりすること、例文2の「敷く」は物を載せるために平らにして下に置くこと、例文3の「敷く」は下に押さえつけること、例文4と例文5の「敷く」は設置や配置することの意味で使っています。

「引く」の例文

1.ここは大漁目指して網を引く、地味引き網を体験できる浜辺です。
2.彼女の容姿なら引く手あまたなはずなのに、何故彼のような男性を選んだのだろうか。
3.川の水を田んぼに引くために、用水路を作ることにしました。
4.就活のための証明写真を撮影中に、カメラマンからもっと顎を引くようにと言われました。
5.薬の効果が効いてきたのか、だんたんと痛みが引いていきました。これで普通の生活ができます。
6.助手席に乗っていたが、左側の窓から子供が飛び出してくるのが見えて、思わずサイドブレーキを引いたため、事なきを得た。
7.仲の良い同僚が今話題の芸能人の話を耳にしたとたんに、普段は絶対に口に出さないような汚い言葉を言ったので、思わず引いてしまった。
8.クラスメイトの女子に片思いしていた男子は気を引くために、わざとからかってみたり、意地悪をしたりしたがいずれも逆効果であった。
9.兵士たちが弓を引くとミシミシと弦が音を立て、一斉に放った瞬間に矢がつぎつぎと飛んでいき、まるで雨のように降り注いだ。
10.就職活動でよく言われる「引く手あまた」というワードは、決して労働条件がいいとか、給料がいいとかそういうことではないので騙されてはいけない。

この言葉がよく使われる場面としては、物の端を持って手近の所に寄らせることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、引き寄せ操って目指す所に伴うこと、線状に伸ばし延べること、出ているものを近づけ寄せること、出ているものが遠くへ去ることを表現したい時にも使います。

例文1の「引く」は物の端を持って手近の所に寄らせること、例文2の「引く」は引き寄せ操って目指す所に伴うこと、例文3の「引く」は線状に伸ばし延べること、例文4の「引く」は出ているものを近づけ寄せること、例文5の「引く」は出ているものが遠くへ去ることの意味で使っています。

「敷く」と「引く」は発音が似ている言葉ですが、意味が異なっています。どちらの言葉を使うか迷った場合、一面に平らに広げたり並べたりすることを表現したと時は「敷く」を、物の端を持って手近の所に寄らせることを表現したい時は「引く」を使うようにしましょう。

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