似た意味を持つ「怒る」(読み方:おこる)と「叱る」(読み方:しかる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「怒る」と「叱る」という言葉は、どちらも他者に対する不満を表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
怒ると叱るの違い
怒ると叱るの意味の違い
怒ると叱るの違いを分かりやすく言うと、激しく高ぶった感情を相手にぶつけることか、冷静な状態で相手の失敗を注意することかの違いです。また、「怒る」は立場の上下に関係なく使うのに対し、「叱る」は自分より立場が下の人に対して使うものです。
怒ると叱るの使い分け方
怒るという言葉は、自然環境などが激しく荒れている様子を表すこともあります。例えば、嵐などで海が荒れている様子を「波が怒る」という風に表現することもあります。
怒るという言葉は、元々は「角立つ」という言葉で表現されていた感情でした。これは感情の角が立っている状態、つまり腹を立てている状態を示すものです。その後、感情が高まり、不満を爆発させる様子を「起こる」と表現するようになります。
この「起こる」という漢字が更に変化をして、感情を表す「心」という字を使っている「怒」という字を使って「怒る」(おこる)と表現するようになりました。怒るというのは、抑えきれなくなったマイナスの感情があふれ出ることを意味する言葉です。
一方、叱るという言葉は、叱る方の人間が冷静な状態である場合に使われます。叱るという表現は、目上の人や立場が上の人に対しては使いません。「部下が上司を叱る」という状態は基本的にはあり得ないということです。
叱るというのは、目下の者の言動などがその場にそぐわなかった時や、あまりにも良くない行動をしている場合に、その事実を強くとがめることを意味しています。または、他人に迷惑をかけている場合などに、反省を促すために「叱る」場合があります。
叱るのには理由が必要です。そして、叱る側が感情を激しく動かしている状態ではないことが大切です。自分自身の経験から、相手の行動を正すのが叱るという行為です。叱っている側の言い分が常識的であり、一般的に正しいものであることも大切です。
怒るという言葉を使う場合にも、叱るという言葉を使う場合にも、どちらも他者と対立の立場をとることになるものです。言い方によっては、相手を傷つけることにもなりかねないので、注意が必要です。
怒る場合にも、叱る場合にも、あまりにも感情的になりすぎないように、相手の言い分も聞きながら、なるべく穏便に済ませるようにするのが良い人間関係を築くのには大切なことであると忘れないようにしましょう。
怒るの意味
怒るとは
怒るとは、人間が腹を立てたり、自然が激しく荒れることを意味しています。怒るという言葉は、場合によっては自分よりも目上の人や立場が上の人に対しても使われる言葉です。
怒るの読み方
怒るの読み方は「おこる」と「いかる」の2つがあり、一般的には「おこる」の方が使われますが、どちらの読み方も同じ意味を持っています。
怒るの由来
怒るとは、本来は「角立つ」という言葉で表現されるものでした。これは感情に角が立つという意味で、大きく考えれば腹を立てるという意味にも捉えられるものです。この腹を立てている状態のことを、昔は「感情が起こっている」と表現していました。
この「起こっている」状態というのは、勢いが盛んになって、盛り上がっている状態です。つまり、気持ちの高ぶりを表しています。後にこの「おこる」という言葉が「起こる」ではなく「怒る」という漢字で示されるようになりました。
怒るというのは、不満や不快なことがあり、感情を抑えきれなくなった状態のことを意味しています。腹を立てたり、相手の言動を咎めたり批判したりすることが怒っている状態であると言えます。
表現方法は「部下の前で怒る」「怒ると怖い」「怒るのが苦手」
「部下の前で怒る」「怒ると怖い」「怒るのが苦手」などが、怒るを使った一般的な言い回しです。
怒るの使い方
怒るを使った分かりやすい例としては、「職場で部下の前で怒ると他の社員のモチベーションが下がるのでやめた方がいい」「普段優しい人ほど怒ると怖いので気をつけた方がいい」「怒るのが苦手な性格を直したい」などがあります。
「波が怒っている」「風が怒っている」という比喩表現もある
その他にも、自然が激しく荒れている状態についても「怒っている」と表現することがあります。「波が怒っている」「風が怒っているようだ」などのように比喩表現として使うことが出来ます。
激しく怒ることを「憤慨」「激怒」と表現する
怒るというのは、日常的な生活においての怒りが行動や表情、言葉として表れることを言います。怒るという言葉は、種類が豊富で、怒りの程度によって様々な表現が出来ます。例えば、激しく怒ることを「憤慨」「激怒」などと表現します。
怒るの類語
怒るの類語・類義語としては、突然怒ることを意味する「キレる」「カッとなる」、頭に血が上ることを意味する「逆上する」などがあります。
怒るの「怒」という字は、「おこる」「いきどおる」という意味の他にも、怒ったように激しい状態を意味することもあります。
例えば、激しい勢いを持っている状態のことを「怒涛」と表現したりします。これは、ものすごく忙しかった時などに「今週は、怒涛の一週間だった」などのように使われたりする言葉です。
怒るの「怒」という字を使った単語としては、激しく怒ったりする様子を意味する「震怒」、血管などが膨れることを意味する「怒張」、怒って大声でどなることを意味する「怒号」などがあります。
叱るの意味
叱るとは
叱るとは、目下の者の言動がその場にふさわしくなかった時に、目上の者が注意することを意味しています。叱るというのは、相手のことを思って行うものであり、感情にまかせて相手を否定することではありません。
叱るという言葉は、相手の失敗に対して、もう同じことを繰り返さないように責めるという意味を持っています。しかし、理不尽に責め立てることは叱るということにはなりません。相手を思い遣る気持ちがあってこそ「叱る」という行為は成り立ちます。
叱るの語源
叱るという漢字は、左側に口を書き、右側には漢数字の七のような字を書きます。この「七」のような字形は、元々は十字の形をしていました。つまり、叱るという漢字は、元々は「叶」という字ととてもよく似ているものだったのです。
これは、「口で言って、相手を切りつける」という意味を持っている漢字でした。口で発した言葉によって、相手を十字に切りつけるという意味です。
そのことから、叱るという言葉は、もう同じ間違いをしないように胸に刻んで欲しいという思いをこめて注意するということを意味するようになりました。
叱るは職場で目上の上司が部下に使う
叱るという言葉は、目上の人が自分よりも立場が下の者に対して使う言葉です。
目下の人から目上の人や、立場が上の人に対して「叱る」という言葉は使われません。目上の人がその経験の深さから、下の者を指導する際に「叱る」という言葉を使います。
「上司を叱る」「親を叱る」「先輩を叱る」は誤り
具体例を挙げると、職場であれば上司から部下、子育てであれば親から子供、部活であれば先輩から後輩に対して指導するのが「叱る」になります。
表現方法は「部下を叱る」「子供を叱る」「後輩を叱る」
「部下を叱る」「子供を叱る」「後輩を叱る」などが、叱るを使った一般的な言い回しです。
叱るの使い方
叱るを使った分かりやすい例としては、「職場で部下を叱るときは頭ごなしに叱ってはならない」「1歳児の我が子は叱られても何とも思っていないようだ」「後輩を叱った後はちゃんとフォローしてあげる人を用意しよう」などがあります。
叱るの類語
叱るの「叱」という字を使った単語としては、他人の失敗などを咎めることを意味する「叱責」、大声を張り上げてしかりつけることを意味する「叱咤」、しかる声やしかる言葉を意味する「叱声」などがあります。
怒るの例文
この言葉がよく使われる場面としては、不満や不快なことがあって、腹を立てている様子を表したい時などが挙げられます。時には、自然環境などに対して「まるで怒っているようだ」と比喩的に使ったりすることもあります。
怒るという言葉は、不満に思う気持ちが盛り上がっていることだけでなく、勢いが激しい様子を表すこともあります。怒るの「怒」という字を使った「怒涛」「怒張」などがこれにあたります。
また、角張ってゴツゴツしている様子を「怒り」という言葉で表現することもあります。例えば「怒り肩」という表現がありますが、これは角張っている肩のことを意味しています。
怒りというのは、身分や立場など関係なく、生き物が生まれながらに持っている感情です。立場が下の者が上の者に対して怒りの気持ちを抱くこともあります。怒るという気持ちは、誰もが持っている人間の感情のひとつであると覚えておくようにしましょう。
叱るの例文
この言葉がよく使われる場面としては、目上の人が自分よりも立場が下の人に対して何かを窘めたり、注意したりする時などが挙げられます。怒りの感情ではなく、理性を持って指導をする際に「叱る」という言葉を使います。
叱るという言葉は、立場が下の人が上の人に対して使うことは出来ないものです。相手の言動や行動が間違っている場合や、他人に迷惑をかけているような場合に、目上の人が目下の人に二度と同じことをしないように責めることを「叱る」と言います。
叱るという言葉を使う場合には、叱る本人は理性的でなくてはいけません。感情的ではなく、冷静な状態で相手の良くない点などを指摘しなくては「叱る」という表現には該当しませんので注意が必要です。