似た意味を持つ「視線」(読み方:しせん)と「目線」(読み方:めせん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「視線」と「目線」という言葉は、どちらも目の向きを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
視線と目線の違い
視線と目線の意味の違い
視線と目線の違いを分かりやすく言うと、視線とは感情を含んだ目付きの意味も持ち、目線とはある立場からの考え方の意味も持つという違いです。
視線と目線の使い方の違い
一つ目の視線を使った分かりやすい例としては、「嘘がバレないように視線をそらす」「破損した視線誘導標を補修する」「異性からの視線を感じる」「視線入力機器は非常に高価です」「クラスメイトの視線が痛い」などがあります。
二つ目の目線を使った分かりやすい例としては、「人と目線を合わせるのが苦手です」「目線を落として盗み見した」「目線カメラの映像をSNSにアップする」「利用者目線の説明が不足していました」「子どもの目線に立つ」などがあります。
視線と目線の使い分け方
視線と目線という言葉は、どちらも目の向きを意味します。視線は以前から一般的に使われていた言葉であることに対して、目線はもともと演劇業界の用語であり一般的に使われるようになったのは最近であるという違いがありますが、二つの言葉は意味や使い方にも違いがあります。
視線とは、目の向きの意味のほかに、他人を見る目付きや気持ちが表れた目付きの意味も持っています。上記の例文にある「クラスメイトの視線が痛い」とは、非難まじりの視線を感じて心に苦痛を感じている様子を表します。この意味での視線は目線に置き換えることは出来ません。
目線とは、目の向きの意味のほかに、その立場における物の考え方や捉え方の意味も持っています。上記の例文にある「子どもの目線に立つ」とは、子どもの立場になって物事を考えたり価値判断をすることです。この意味での目線は視線に置き換えることは出来ません。
つまり、視線と目線という言葉は共通する意味のほかに、それぞれ別の意味を持つことが二つの言葉の明確な違いになります。
視線と目線の英語表記の違い
視線も目線も英語にすると「one’s eyes」「one’s gaze」「line of sight」となり、例えば上記の「視線をそらす」を英語にすると「avert one’s gaze」となります。
視線の意味
視線とは
視線とは、目の向き、目で見ている方向を意味しています。
その他にも、他人を見る目つき、他人が見る目付き、ある気持ちの表れた目付きの意味も持っています。
表現方法は「視線を向ける」「視線を感じる」「視線を送る」
「視線を向ける」「視線を感じる」「視線を送る」などが、視線を使った一般的な言い回しです。
視線の使い方
「ふとした時に他人からの視線を感じる」「視線誘導標のデザインには種類があります」「視線入力装置で意思を伝える」「好きな女性からの視線を感じる」などの文中で使われている視線は、「目で見ている方向」の意味で使われています。
一方、「周囲の視線が気になる」「痛々しい視線を向けられた」「チェックリストで視線恐怖症診断する」「視線をそらす心理が知りたい」などの文中で使われている視線は、「他人が見る目付き、気持ちの表れた目付き」の意味で使われています。
視線とは、実際に見ている対象と目を結んだ線のことであり、見ている方向を意味します。この意味が派生して、物を見るときの目の様子や、気持ちが表れた目付きの意味でも使われるようになりました。
「視線誘導標」の意味
上記の例文にある「視線誘導標」とは、車道の側方に沿って道路線形等を知るうえで目印になるものを意味します。ドライバーの視線を誘導することから「視線誘導標」と呼ばれるようになりました。
「視線恐怖」の意味
視線という言葉を用いた日本語には「視線恐怖」があります。対人恐怖症の一種であり、他人の視線を気にし過ぎて対人関係が円滑に結べなくなった状態を言います。
視線の類語
視線の類語・類義語としては、眼球の角膜や水晶体を通り眼底の黄斑部中心窩に入る直線を意味する「視軸」、鋭く光る目や鋭い目つきを意味する「炯眼」、目の表情や視線を意味する「眼差し」などがあります。
目線の意味
目線とは
目線とは、視線のことを意味しています。
その他にも、その立場における物の考え方や捉え方の意味も持っています。
表現方法は「目線が高い」「目線を合わせる」「同じ目線」
「目線が高い」「目線を合わせる」「同じ目線」などが、目線を使った一般的な言い回しです。
目線の使い方
「カメラに目線ください」「どの写真もカメラ目線だね」「聞き手と目線を合わせる」「思い出す時には目線は左上を向く」「イラストで目線を表現したい」「目線カメラで動画を撮影する」の目線はなどの文中で使われている目線は、「視線のこと」の意味で使われています。
一方、「商品開発にユーザー目線は不可欠です」「国民目線の施策ではない」「電話応対でもお客様の目線に立つ」「上から目線の対応に腹を立てる」などの文中で使われている目線は、「その立場における物の考え方」の意味で使われています。
目線とは、もともと映画や演劇などで用いられ、演技者が目を向ける方向を意味しました。転じて、一般に視線を指す言葉になり、広く使われるようになっています。また、ある立場から見た考え方や捉え方の意味でも多く使われています。
「カメラ目線」の意味
上記の例文にある「カメラ目線」は、被写体がカメラを意識して見る目を意味します。また「目線カメラ」とは、耳や頭に取り付けて目線で映像が撮影できるカメラのことです。
「上から目線」の意味
目線という言葉を用いた日本語には「上から目線」があります。自分の方が立場が上であるかのような言動を意味する俗語です。人に対して露骨に見下した態度を取ることであり、マイナスイメージの言葉です。
目線の類語
目線の類語・類義語としては、ある立場からの物事の考え方を意味する「見方」、物を見る方法を意味する「見様」、物事に対する考え方や価値判断を意味する「見解」、考えや分別を意味する「了見」などがあります。
視線の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目が物を見ている方向、他人を見る目付き、ある気持ちの表れた目付きを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある視線は、目が物を見ている方向の意味で使われています。例文3から例文5の目線は、他人を見る目付きや気持ちが表れた目付きを意味します。例文4の「視線を感じる」とは、自分に見られていると感じることです。
目線の例文
この言葉がよく使われる場面としては、視線のこと、その立場における物の考え方や捉え方を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2の文中にある目線は視線の意味で、例文3から例文5の文中にある目線は物の考え方や捉え方の意味で使われています。例文5の「大人目線」とは、大人の立場における価値判断を意味します。
視線と目線という言葉は、どちらも目が見ている方向を表します。さらに「視線」には感情を含んだ目付きの意味があり、「目線」にはその立場における物の考え方の意味があることを覚えておきましょう。