【致しました】と【いたしました】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「致しました」(読み方:いたしました)と「いたしました」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「致しました」と「いたしました」という言葉は、どちらもしたの謙譲語を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「致しました」と「いたしました」の違い

「致しました」と「いたしました」の意味の違い

「致しました」と「いたしました」の違いを分かりやすく言うと、「致しました」とは単独の動詞として使う、「いたしました」とは補助動詞として使うという違いです。

「致しました」と「いたしました」の使い方の違い

一つ目の「致しました」を使った分かりやすい例としては、「開店の準備は全てこちらで致しました」「食卓からとても美味しそうな匂いが致しました」「たくさんの努力を致しました」などがあります。

二つ目の「いたしました」を使った分かりやすい例としては、「本日はよろしくお願いいたします」「私は彼女の意見に賛同いたしました」「今回件承知いたしました」などがあります。

「致しました」と「いたしました」の使い分け方

「致しました」と「いたしました」はどちらも「した」の謙譲語を意味する言葉ですが、使い方に違いがあるので注意が必要です。

結論から言ってしまうと、「致しました」は単独の動詞で使うことが多いのに対して、「いたしました」は補助動詞として使うことが多いのが違いになります。

「致しました」は、「開店の準備は全てこちらで致しました」「たくさんの努力を致しました」などのように、「〇〇した」という単独の動詞として使うのが一般的です。

一方、「いたしました」は、「承知いたしました」「ご迷惑をお掛けいたしました」などのように、動詞のあとに続く補助動詞として使うのが一般的になっています。

しかし、あくまで多いだけなので、補助動詞として「致しました」を使って問題ありません。

また、「致しました」よりも「いたしました」の方が使う場面が多いというのも違いの一つになります。

「致しました」と「いたしました」の英語表記の違い

「致しました」や「いたしました」を直訳した英語はないのですが、近い表現として、「した」を英語にした「did」があります。

「致しました」の意味

「致しました」とは

「致しました」とは、したの謙譲語を意味しています。

表現方法は「感激致しました」「完了致しました」「確認致しました」

「感激致しました」「完了致しました」「確認致しました」「お届致しました」「手配致しました」などが、「致しました」を使った一般的な言い回しになります。

「致しました」の使い方

「致しました」を使った分かりやすい例としては、「先程お電話致しました山田と申します」「事故の原因を報告致しました」「新キャンペーンを開催致しました」「隣の家からとても良いい匂いが致しました」などがあります。

「致しました」は「お電話致しました」「匂いが致しました」「開催致しました」などのように「〇〇した」の形で、単独の動詞として使うのが一般的になっています。

「致しました」は「した」を謙譲語にした敬語

「致しました」は「した」を謙譲語にした敬語になります。2007年までは敬語の種類は主に、丁寧語、尊敬語、謙譲語の3つでしたが、2007年以降は丁重語と美化語が増え、細かく5つに分けるようになりました。

謙譲語とは自分の行動を相手よりも下の立場として表現することにより相手への敬意を示すことを意味しています。また、謙譲語を使う上で注意しなければならないのは、自分の行為に対して使えないという点です。

その他の敬語を紹介すると、尊敬語とは話し手が聞き手や話題の主のその動作や状態などを高めて待遇すること、丁寧語とは丁寧な言い方をすることによって相手への敬意を示すことを意味しています。

また、美化語とは丁寧語の一種で丁寧語Ⅱとも言われており、表現をより上品にするための配慮を表すことで、丁重語とは謙譲語の一種で謙譲語Ⅱとも言われており、自分や身内の行動を謙る場合に使う言葉になります。

具体例を挙げると、「ご手配」は謙譲語、「お手配」は美化語です。

このように「致しました」は敬語なので、ビジネスシーンにおいて上司や取引先などの目上の人に対しても使うことができます。

「いたしました」の意味

「いたしました」とは

「いたしました」とは、したの謙譲語を意味しています。

表現方法は「承知いたいました」「お知らせいたしました」「提出いたしました」

「承知いたいました」「お知らせいたしました」「提出いたしました」「作成いたしましたので送付いたします」「確認いたしました」などが、「いたしました」を使った一般的な言い回しになります。

「いたしました」の使い方

「いたしました」を使った分かりやすい例としては、「お送りしてきた資料を拝見いたしました」「時間変更の件承知いたしました」「魅力を感じたので貴社を希望いたしました」「この度は大変ご迷惑をお掛けいたしました」などがあります。

「いたしました」は「した」を謙譲語にした敬語

「いたしました」は「した」を謙譲語にした敬語になります。そのため、ビジネスシーンにおいて上司や取引先などの目上の人に対しても使うことができます。

「いたしました」は「承知いたいました」「確認いたしました」「お持ちいたしました」などのように、補助動詞とてして使うのが一般的です。

補助動詞とは別の動詞に後続することにより文法的機能を果たす動詞で、それ自体の本来の意味は保っていないものを指しています。

また、「いたしました」は補助動詞として様々な場面で使うことができるので、「致しました」よりも使われる頻度が多いです。

「致しました」の例文

1.彼女からとてもいい香りが致しました。どのシャンプーを使っているのだろうか。
2.当日の準備はこちらで致しますので、手ぶらでご来場ください。
3.契約更新お断りの電話は、先日私から致しましたので、今後の連絡は不要です。
4.ご希望に沿ったサンプル品をお送り致しましたので、内容に不備がないかご確認ください。
5.ご依頼されました作業が完了致しましたので、ご報告に参りました。
6.昔は「この番組はご覧のスポンサーの提供でお送り致しました。」という言い回しをよく聞いたものだが、近ごろはあまり聞かないなとふと思った。
7.商談会の展示会場のおおよその設営の方はこちらで致しましたので、あとはそちらの機材の搬入の方をお願いいたします。
8.以上で契約の手続きの方は無事に完了致しましたので、あとはこちらで書類を確認した後に詳しい資料をお送りいたします。
9.「お邪魔を致しました」とその場から離れようと思ったときに、せっかくだからもう一時間付き合ってくれないかと誘われてしまった。
10.クライアント様が次の約束がありお店を出なくてはならないとのことなので、こちらで事前にタクシーを手配致しました。

この言葉がよく使われる場面としては、したの謙譲語を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「致しました」は単独の動詞と使うことが多いです。

「いたしました」の例文

1.明日の忘年会の時間変更について承知いたしました。私からみんなに連絡しておきます。
2.この度はうちの息子が大変ご迷惑をお掛けいたしました。本当に申し訳ございません。
3.お送りしてきた資料を確認いたしましたことを、このメールにて報告させていただきます。
4.今週中にはお届けいたしますので、もう暫くお待ちください。
5.ご不便はおかけいたしましたことを、大変申し訳なく思っております。
6.先ほどお電話をさせていただきましたが、ご不在でしたので、取り急ぎメールにて失礼いたします。先日ご相談した件につきまして、ご連絡いただけますと幸いです。
7.課題の論文ははかどらず締切ギリギリに提出いたしましたので、ちゃんと期日までに到着したかとても心配しておりました。
8.さっそく履歴書の方を拝見いたしましたが、残念ながら弊社の求める人材像に合わず、採用の方は見送らせていただくことになりました。
9.部下はプレゼンの資料についてしっかり確認いたしましたと言っていたのに、何一つ頭に入っていないものだから、本当に確認したのか疑わしい気持ちになった。
10.今制作中のゲームアプリのサンプル版を作成いたしましたので、どのようなものか実際に触ってご確認くださいますようお願いいたします。

この言葉がよく使われる場面としては、したの謙譲語を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「いたしました」は補助動詞と使うことが多いです。

「致しました」と「いたしました」はどちらも「した」の謙譲語を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、単独の動詞として使う時は「致しました」を、補助動詞として使う時は「いたしました」と覚えておきましょう。

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