同じ「しんし」という読み方の「真摯」と「紳士」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「真摯」と「紳士」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
真摯と紳士の違い
真摯と紳士の意味の違い
真摯と紳士の違いを分かりやすく言うと、真摯とは真面目で熱心な態度を表し、紳士とは礼儀正しい立派な人を表すという違いです。
真摯と紳士の使い方の違い
一つ目の真摯を使った分かりやすい例としては、「苦情に対して真摯な態度で応じる」「仕事と真摯に向き合う」「調査結果を真摯に受け止める」「担当者の真摯な対応に安心しました」などがあります。
二つ目の紳士を使った分かりやすい例としては、「初老の紳士に道を教えてもらった」「これは法的義務のない紳士協定です」「紳士の振る舞いを心掛けています」「彼の紳士な対応に好感を抱く」などがあります。
真摯と紳士の使い分け方
真摯と紳士という言葉は、どちらも「しんし」と読みますが、意味は大きく異なります。
真摯とは、真面目で熱心なことを意味し、一生懸命に物事に取り組む様子を表します。上記の例文の「真摯な対応」とは、人やトラブルなどに対して誠実に真心のこもった態度で接することを意味します。
紳士とは、社会的地位のある人や、礼儀正しく教養の高い立派な男性を意味します。上記の例文の「紳士な対応」とは、礼儀正しく人と接したり、教養があり洗練された男性らしく物事に対処することを意味します。
つまり、真摯とは人の態度や姿勢を表し、紳士とはどのような人かを表す言葉です。真摯と紳士という言葉は、意味が全く異なる同音異義語のため、互いに置き換えて使うことは出来ません。
真摯と紳士の英語表記の違い
真摯を英語にすると「serious」「sincere」となり、例えば上記の「真摯な態度」を英語にすると「sincere manner」となります。一方、紳士を英語にすると「gentleman」「adult male」となり、例えば上記の「初老の紳士」を英語にすると「an elderly gentleman」となります。
真摯の意味
真摯とは
真摯とは、真面目で熱心なことを意味しています。
表現方法は「真摯に取り組む」「真摯に向き合う」「真摯に対応」
「真摯に取り組む」「真摯に向き合う」「真摯に対応」などが、真摯を使った一般的な言い回しです。
真摯の使い方
真摯を使った分かりやすい例としては、「彼は何事にも真摯に取り組む人です」「勉強に真摯に向き合うことで合格しました」「顧客からのクレームを真摯に受け止める」「真摯に対応いただき感謝しております」などがあります。
その他にも、「目の前の問題と真摯に向き合う」「私たちの要望に真摯に対応してくださった」「真摯に取り組む姿勢が大切です」「今回の件は真摯に受け止め精進して参ります」「オリンピック選手の真摯な姿勢に感動した」などがあります。
真摯とは、一所懸命に物事に取り組むこと、真面目に物事に打ち込むさまを意味します。ビジネスシーン、学業やスポーツの場面などにおいて、熱心な姿勢を表す時に用いられるプラスイメージのある言葉です。
真摯の対義語
真摯の対義語・反対語としては、真面目でないことを意味する」「不真面目」、誠意や情味に欠けていることを意味する「不実」、誠実でないことを意味する「不誠実」、言葉や態度が軽々しくて思慮の深さや誠実さが感じられないことを意味する「軽薄」などがあります。
真摯の類語
真摯の類語・類義語としては、私利私欲を交えず真心をもって人や物事に対することを意味する「誠実」、情が深く誠実なことを意味する「篤実」、極めて誠実なことを意味する「至誠」、真心をこめてよくつとめることを意味する「忠実」などがあります。
紳士の意味
紳士とは
紳士とは、上流社会の人を意味しています。
その他にも、「上品で礼儀正しく教養の高い立派な男性」、「成人の男性」の意味も持っています。
表現方法は「紳士の振る舞い」「紳士な人」「紳士だね」
「紳士の振る舞い」「紳士な人」「紳士だね」などが、紳士を使った一般的な言い回しです。
紳士の使い方
「叔父は紳士の品格を漂わせている」「いかにも紳士が乗りそうな車だ」「紳士らしいテーブルマナーを身に付ける」「ステイタスの高い紳士と結婚したい」「ゴルフは紳士淑女のたしなみです」などの文中で使われている紳士は、「上流社会の人」の意味で使われています。
一方、「彼は紳士気取りの俗物だ」「素敵な紳士と結婚したい」などの文中で使われている紳士は「教養の高い立派な男性」の意味で、「紳士靴売り場はどこですか」「青山で紳士服を買う」などの文中で使われている紳士は「成人の男性」の意味で使われています。
紳士の由来
紳士という言葉は、「搢紳」という中国語に由来します。「搢」は差し挟むこと、「紳」は衣冠束帯の大帯を意味し、官位の高い身分ある人が礼装の際に笏を大帯に差し挟んだところから、貴人の代称でした。
近代日本ではジェントルマン(gentleman)の訳語として使われ始め、地位や財産のある男性を表し、さらには知性や教養が豊かで、礼節や信義をわきまえた男性を指す言葉となりました。現在では、広く成人の男性の意味でも使われています。
「紳士淑女」の意味
上記の例文にある「紳士淑女」(読み方:しんししゅくじょ)とは、礼儀正しくて気品のある男女を意味します。紳士と淑女という対語から成る四字熟語です。
「紳士協定」の意味
紳士という言葉を用いた日本語には「紳士協定」があります。法的な拘束力を持たない非公式の国際協定や、団体や個人の間で、互いに相手を信頼して公式手続きを踏まずに取り決めた約束のことです。また、暗黙の了解となっている不文律の意味でも使われる言葉です。
紳士の対義語
紳士の対義語・反対語としては、品格の高い女性を意味する「淑女」、高貴な身分の婦人を意味する「貴婦人」、貴婦人や淑女を意味する「レディー」、 度量や品性に欠けている人を意味する「小人」などがあります。
紳士の類語
紳士の類語・類義語としては、紳士を意味する「ジェントルマン」、学識と人格に優れた立派な人を意味する「君子」、成年に達した人間を意味する「成人」、成長して一人前になった人を意味する「大人」などがあります。
真摯の例文
この言葉がよく使われる場面としては、真面目で熱心なことを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「真摯に向き合う」とは、物事に対して逃げずに真面目に考えたり、問題などに正面から対処することを表します。「向き合う」とは、互いに正面を見て対することを意味します。
紳士の例文
この言葉がよく使われる場面としては、上流社会の人、礼儀に厚く学徳や気品を備えた人、成人男性を表現したい時などが挙げられます。
例文1の文中にある紳士は、「上流社会の人」の意味で、例文2から例文4の文中にある紳士は「礼儀に厚く学徳や気品を備えた人」の意味で使われています。例文5の文中にある紳士は「成人男性」の意味で使われています。
真摯と紳士という言葉は、どちらも「しんし」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事に熱心に取り組むさまを表現したい時は「真摯」を、礼儀正しく立派な人や成人男性を表現したい時は「紳士」を使うようにしましょう。