【賜る】と【承る】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「賜る」(読み方:たまわる)と「承る」(読み方:うけたまわる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「賜る」と「承る」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。




「賜る」と「承る」の違い

「賜る」と「承る」の意味の違い

「賜る」と「承る」の違いを分かりやすく言うと、「賜る」とはもらうの謙譲語、「承る」とは受けるの謙譲語という違いです。

「賜る」と「承る」の使い方の違い

一つ目の「賜る」を使った分かりやすい例としては、「部長から記念の品を賜る」「国王からありがたいお言葉を賜る」「社長からたいそうな品を賜る」「殿様から褒美として土地を賜る」「受賞者は女王陛下に拝謁を賜った」どがあります。

二つ目の「承る」を使った分かりやすい例としては、「先程お客様からクレームを承る」「御用命承る」「残念ながらこの件は承ることができません」「以下の内容でご注文承りました」「ご意見を承りたい」などがあります。

「賜る」と「承る」の使い分け方

「賜る」と「承る」は発音が似ている言葉ですが、意味は異なっているので間違えないように注意しましょう。

「賜る」はもらうの謙譲語と与えるの尊敬語の意味を持っているのに対して、「承る」は受ける、聞く、伝え聞くの謙譲語の意味で使うというのが違いです。

分かりやすく説明すると、目上の人から何かをもらった時は「賜る」を使い、目上の人から何かを聞いたり、引き受けたりした時は「承る」を使うと覚えておきましょう。

「賜る」と「承る」の英語表記の違い

「賜る」を英語にすると「grant」「bestow」「give」となり、例えば上記の「受賞者は女王陛下に拝謁を賜った」を英語にすると「The prizewinners were granted an audience with the her Majesty the Queen」となります。

一方、「承る」を直訳した英語表現はないのですが、近い表現として「hear」「I got it」などがあり、例えば上記の「ご意見を承りたい」を英語にすると「I’d like to hear your opinion」となります。

「賜る」の意味

「賜る」とは

「賜る」とは、もらうの謙譲語のことを意味しています。その他にも、与えるの尊敬語の意味も持っています。

表現方法は「ご愛顧を賜る」「賜りますよう」

「ご愛顧を賜る」「賜りますよう」などが、「賜る」を使った一般的な言い回しになります。

「賜る」の使い方

「お客様には日頃からご愛顧を賜っております」「社長から記念の品を賜る」「上司のご意見を賜る」などの文中で使われている「賜る」は、「もらうの謙譲語」の意味で使われています。

一方、「臣下に金一封を賜る」「女王陛下からありがたい言葉を賜る」などの文中で使われている「賜る」は、「与えるの尊敬語」の意味で使われています。

「賜る」は二つの意味を持つ言葉ですが、どちらの意味でも使われています。もらうの謙譲語の意味では目上の人から何かをいただく場合に使い、与えるの尊敬語の意味では目上の人が何かをくださる場合に使うと覚えておきましょう。

「ご指導ご鞭撻を賜る」のように形のないものにも使える

また、「賜る」は「記念の品を賜る」のような形のあるものだけではなく、「ご指導ご鞭撻を賜る」のように形のないものに対しても使えるというのが特徴です。

「賜る」の類語

「賜る」の類語・類義語としては、授け与えることを意味する「授与」、目上の者が目下の者に特別に与えることを意味する「授ける」、もらうことの謙った言い方を意味する「頂戴する」などがあります。

「承る」の意味

「承る」とは

「承る」とは、受けるの謙譲語のことを意味しています。その他にも、聞くや伝え聞くの謙譲語の意味も持っています。

表現方法は「注文を承る」「予約を承る」「依頼を承る」

「注文を承る」「予約を承る」「依頼を承る」「仕事を承る」などが、「承る」を使った一般的な言い回しになります。

「承る」の使い方

「7月7日にご予約承りました」「当社の規定に違反するためご依頼を承ることができません」などの文中で使われている「承る」は、「受けるの謙譲語」の意味で使われています。

一方、「先生からありがたいお話を承りました」「承ったところによると社長の奥様が退院されたそうです」などの文中で使われている「承る」は、「聞くや伝え聞くの謙譲語」の意味で使われています。

「承る」はビジネスシーンにおいてよく使われている言葉です。また、謙譲語なので上司や取引先などの目上の人に対しても使うこともできます。

「承りました」というフレーズで使うのが一般的

「承る」のビジネスシーンでの主な使い方としては、伝言や依頼を受けた際に「承りました」というフレーズで使うのが一般的です。

「承る」の類語

「承る」の類語・類義語としては、他人が自分の話を聞いてくれることを敬っていうことを意味する「清聴」(読み方:せいちょう)、依頼や要求などを聞き入れることを意味する「承知する」、自分が責任をもってその物事を受け持つことを意味する「引き受ける」などがあります。

「賜る」の例文

1.今後とも、先生のご指導ご鞭撻を賜りたく願っております。
2.定年退職祝いとして、会長から記念の品を賜りました。
3.本日はこのような会にご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
4.天皇皇后両陛下からありがたいお言葉を賜りました。
5.この度の戦果として、活躍した武将に領地をを賜りました。
6.先々代の社長のころから、近藤様にはご愛顧を賜り、深く感謝申し上げます。
7.わたくしどもは認知工学に関しましては門外漢でありますため、広くご教授を賜りたく存じます。
8.わたしは皇帝から直接ありがたいお言葉を賜ることができて、まさに感慨無量の境地であった。
9.一庶民である男が国王から称号を賜ったのは、国の歴史上初めてのことだったが、反対する者はいなかった。
10.この本の出版に当たりましては、鈴木教授や編集者の田中さんから強大なご支援を賜りました。

この言葉がよく使われる場面としては、もらうの謙譲語を表現したい時などが挙げられます。その他にも、与えるの尊敬語を表現したい時にも使います。

例文1から例文3の「賜る」はもらうの謙譲語のこと、例文4と例文5の「賜る」は与えるの尊敬語のことを意味しています。

「承る」の例文

1.この度お問合せいただいた件についてですが、ご注文確定後でしたのでキャンセルを承ることはできません。
2.あいにく部長は外出しております。私でよろしければご用件を承ります。
3.本日のご予約は私、佐藤が承りました。当日はお気をつけてお越しくださいませ。
4.尊敬する社長からありがたいお言葉を承りました。これを糧に今後も頑張ります。
5.承ったところによると、昨日部長の奥様の手術が無事成功したそうです。
6.先日のセミナーに関しましては、ご参加の皆様から様々な意見を承りました。今後の運営の参考とさせていただきます。ご協力ありがとうございました。
7.業者の営業マンはどんなご要望でも承るのでと言っていたのに、いざ要望を出してみるとあれがダメこれがダメと言い出してきた。
8.最初は断る気でいましたが、だんだんお話を承っておりますと、同情の気持ちが芽生え、今回だけは仕事を受けることになりました。
9.仕事についての悩みを思い切って部長に相談したところ、率直な意見を承ることができて、大変勉強になりました。
10.部長への電話だったが、わたしでよろしければご用件を承りますがと言ったところ、突然電話を切られてしまい不審に思ったのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、受けるの謙譲語を表現したい時などが挙げられます。その他にも、聞くや伝え聞くの謙譲語を表現したい時にも使います。

例文1から例文3の「承る」は受けるの謙譲語のこと、例文4の「承る」は聞くの謙譲語のこと、例文5の「承る」は伝え聞くの謙譲語のことの意味で使っています。

「賜る」と「承る」は発音が似た言葉ですが意味は異なっています。どちらの言葉を使うか迷った場合、もらうの謙譲語を表現したい時は「賜る」を、受けるの謙譲語を表現したい時は「承る」を使うと覚えておきましょう。

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