似た意味を持つ「気丈」(読み方:きじょう)と「強靭」(読み方:きょうじん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「気丈」と「強靭」という言葉は、どちらも「精神力の強さ」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
気丈と強靭の違い
気丈と強靭の意味の違い
気丈と強靭の違いを分かりやすく言うと、気丈とは精神的な強さを表し、強靭とは精神的な強さだけでなく肉体や物事の強さも表すという違いです。
気丈と強靭の使い方の違い
一つ目の気丈を使った分かりやすい例としては、「葬儀では涙をこらえて気丈に振る舞った」「貧しいながらも気丈に生きる親子を描いた物語です」「入院中も気丈に過ごしていました」「祖母は勝気で気丈な人でした」などがあります。
二つ目の強靭を使った分かりやすい例としては、「リーダーは強靭な精神力でチームをけん引した」「どんな事があっても落ち込まない強靭な人だ」「政府は国土強靱化基本計画を発表した」「強靭な体を手に入れるトレーニングです」などがあります。
気丈と強靭の使い分け方
気丈と強靭という言葉は、どちらも人の内面に関して使われ、精神的に強いことを表します。
気丈とは、心がしっかりしていることを意味します。「気丈に振る舞う」「気丈に過ごす」のように、気持ちをしっかりと保つ様子を表す時に用いられています。
強靭とは、しなやかで強いことを意味します。「落ち込まない強靭な人」のように、精神力が強いさまを表すだけでなく、「強靭な体」のように丈夫で逞しい身体を表したり、「国土強靱化基本計画」のように物事に対しても用いられています。
つまり、気丈は専ら精神的な強さに対して用いられますが、強靭は精神的なことだけでなく肉体や物事に対しても用いられる言葉なのです。
気丈と強靭の英語表記の違い
気丈を英語にすると「stout-hearted」「brave」「firm」となり、例えば上記の「気丈に振る舞う」を英語にすると「act bravely」となります。
一方、強靭を英語にすると「tough」「strong」「tenacious」となり、例えば上記の「強靱な精神力で」を英語にすると「with a tenacious spirit」となります。
気丈の意味
気丈とは
気丈とは、心がしっかりしていること、気持ちをしっかりと保つさまを意味しています。
気丈の読み方
気丈は「きじょう」と読みます。「きたけ」「けじょう」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「気丈に振る舞う」「気丈な人」「気丈に生きる」
「気丈に振る舞う」「気丈な人」「気丈に生きる」などが、気丈を使った一般的な言い回しです。
気丈の使い方
気丈を使った分かりやすい例としては、「心配しながらも気丈に振舞う」「気丈に生きるためには信念が必要です」「気丈に振る舞って涙ひとつ見せない」「気丈な人の特徴にポジティブ思考があります」などがあります。
その他にも、「母は気丈な性格で、いつも元気です」「気丈なことを言って自分を鼓舞している」「彼女の言動から気丈さが感じられた」「手紙には気丈な決意が記されていた」「辛い思いを隠して気丈に振る舞うことに疲れた」などがあります。
気丈という言葉の「気」は心の働きや気持ちを表し、「丈」は強いことやしっかりしていることを表します。気丈とは、心が安定していて揺るがないことや、気持ちをしっかりと保つさまを意味します。褒め言葉にもなるプラスイメージの言葉です。
「気丈者」の意味
気丈を用いた日本語には「気丈者」があり、気持のしっかりしている人を意味します。「気情者」とも書き表します。
気丈の対義語
気丈の対義語・反対語としては、気が弱いことを意味する「気弱」、ちょっとしたことにも怖がったり尻込みしたりすることを意味する「臆病」、気力がなくしっかりしていないことを意味する「腑抜け」などがあります。
気丈の類語
気丈の類語・類義語としては、気持ちがしっかりしていることを意味する「気丈夫」、粘り強くて他からの圧力になかなか屈しないさまを意味する「したたか」、考えや人柄などが堅実で信用できるさまを意味する「しっかり」などがあります。
強靭の意味
強靭とは
強靭とは、しなやかで強いこと、柔軟で粘り強いことを意味しています。
強靭の読み方
強靭の読み方は「きょうじん」です。「きょうしん」「ごうじん」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「強靭な人」「強靭なメンタル」「強靭化」
「強靭な人」「強靭なメンタル」「強靭化」などが、強靭を使った一般的な言い回しです。
強靭の使い方
強靭を使った分かりやすい例としては、「強靭なメンタルを持つアスリート達を尊敬する」「すぐに割れない強靭な爪にしたい」「強靭無敵最強のカードを手に入れてた」「防災や減災により国土強靱化を図る」「落石対策に強靭防護網を張る」「強靭鋼は打撃工具に使われている」などがあります。
その他にも、「強靭な意志があるなら無茶な目標も達成できるはずだ」「強靭な翼を持つペガサスに乗る夢を見た」「バランスの取れた強靭な体を作る方法を教えて下さい」「崖に強靭ワイヤーネットが設置されていた」などがあります。
強靭という言葉の「強」は力や勢いがあることや固く丈夫なさまを表し、「靭」はなめし皮のように丈夫で柔らかなことを表します。強靭とは、強くてしなやかなこと、強くて粘りがあることを意味する言葉です。人の精神や肉体だけでなく、物事に対しても用いられています。
「強靭鋼」の意味
上記の例文にある「強靭鋼」とは、一般に構造用鋼として用いられている鋼のうち,特に強度と靭性を強化したもののことです。自動車など機械類の構造部品、たとえば歯車やボルト、ナットなど強靭性を必要とする用途に広く用いらています。
強靭の対義語
強靭の対義語・反対語としては、もろくて弱いことを意味する「脆弱」、力や勢いが弱いことを意味する「虚弱」、いかにも弱いようすを意味する「か弱い」、力や元気がなさそうであることを意味する「弱弱しい」などがあります。
強靭の類語
強靭の類語・類義語としては、からだが頑丈でいかにも強そうに見えることを意味する「逞しい」、強い体力と不屈な精神力を備えているさまを意味する「タフ」、どんな病気・苦痛・傷・打撃にも耐えうる体であることを意味する「不死身」などがあります。
気丈の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心がしっかりしていること、気の強いことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にあるように、気丈という言葉は「気丈に振る舞う」の言い回しで使われることが多くあります。「気丈に振る舞う」とは、辛い出来事や災難があっても弱音を吐かずに、気持ちをしっかりと保って行動することです。
強靭の例文
この言葉がよく使われる場面としては、しなやかで強いこと、柔軟でねばり強いことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「国土強靭化計画」とは分かりやすくいうと、大規模自然災害時に、人命を守り、迅速に社会経済を回復する強さとしなやかさを持つ国土づくり計画のことです。
気丈と強靭という言葉は、どちらも「精神力の強さ」を表します。さらに強靭は、肉体の強く丈夫なさま、物事の強さやしなやかさも表すことも覚えておきましょう。