似た意味を持つ「苦肉の計」(読み方:くにくのけい)と「苦肉の策」(読み方:くにくのさく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「苦肉の計」と「苦肉の策」という言葉は、どちらも苦しまぎれに考えついた手段や方法のことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「苦肉の計」と「苦肉の策」の違い
「苦肉の計」と「苦肉の策」の意味の違い
「苦肉の計」と「苦肉の策」の違いを分かりやすく言うと、「苦肉の計」とは一般的に使われていない、「苦肉の策」とは一般的に使われているという違いです。
「苦肉の計」と「苦肉の策」の使い方の違い
一つ目の「苦肉の計」を使った分かりやすい例としては、「彼女が行った苦肉の計は見事なものでした」「苦肉の計で吸収合併に合意することしました」「苦肉の計でランチのお弁当を売ることする」などがあります。
二つ目の「苦肉の策」を使った分かりやすい例としては、「この状況を打破するためには苦肉の策を講ずるしかありません」「苦肉の策として縁のあった友人に声を掛けることにしました」「彼女は苦肉の策に頼らなければならなかった」などがあります。
「苦肉の計」と「苦肉の策」の使い分け方
「苦肉の計」と「苦肉の策」はどちらも同じ意味を持つ言葉で大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「苦肉の計り」は三国志時代に使われていた表現で現代の日本ではほとんど使われていません。
一方、「苦肉の策」は様々な場面で使われている表現で、現代の日本で一般的に使われているというのが違いです。
「苦肉の計」と「苦肉の策」の英語表記の違い
「苦肉の計」も「苦肉の策」も英語にすると「desperate measure」「last resort」「pis aller」となり、例えば上記の「彼女は苦肉の策に頼らなければならなかった」を英語にすると「She had to resort to desperate measures」となります。
「苦肉の計」の意味
「苦肉の計」とは
「苦肉の計」とは、苦しまぎれに考えついた手段や方法のことを意味しています。その他にも、敵を欺くために自分の身や味方を苦しめてまで行う謀の意味も持っています。
「苦肉の計」の使い方
「苦肉の計」を使った分かりやすい例としては、「納品日が迫ってきているので、苦肉の計で徹夜をすることにしました」「苦肉の計だがお金を貸してくれる親戚を探す」などがあります。
「苦肉の計」は現代の日本においてはほとんど使われていない言葉です。同じ意味を持つ「苦肉の策」に置き換えて使うのが一般的になっています。
「苦肉の計」の語源
「苦肉の計」の語源は「三国志演義」の中で使われている「苦肉計」という兵法です。「苦肉計」とは自軍が劣勢のときに使う敗戦計の一つで、人は自分を故意に傷つけることはないという人間の心理を利用して、自分や身内をあえて傷つけて相手を騙すことを意味しています。
この兵法を利用して、火を放って曹操軍の船を焼き払い、孫権と劉備の連合軍は大勝利を得ました。これが転じて、敵を欺くために自分の身や味方を苦しめてまで行う謀のことを「苦肉の計」と言うようになりました。
「苦肉の計」の類語
「苦肉の計」の類語・類義語としては、敵を欺く手段として我が身を苦痛に陥れてまで行なう謀のことを意味する「苦肉の謀」(読み方:くにくのはかりごと)、追い詰められたあげくに考え出した案のことを意味する「窮策」(読み方:きゅうさく)などがあります。
「苦肉の策」の意味
「苦肉の策」とは
「苦肉の策」とは、苦しまぎれに考え出した手立てのことを意味しています。
表現方法は「苦肉の策として」「苦肉の策を講じる」
「苦肉の策として」「苦肉の策を講じる」などが、「苦肉の策を」を使った一般的な言い回しになります。
「苦肉の策」の使い方
「苦肉の策」を使った分かりやすい例としては、「この計画成功させるために苦肉の策を考える」「苦肉の策を講じたが良い結果には結び付きませんでした」「苦肉の策だがゴールキーパーも上がって得点を決めるしかありません」などがあります。
「苦肉の策」は日常生活だけではなく、ビジネスシーンなどのかしこまった場面でも使うことが可能です。
「苦肉の策」の由来
「苦肉の策」は本来、敵を欺くために自分の身や味方を苦しめてまで行う謀の意味で使われていた言葉です。しかし、これが転じた苦しまぎれに考え出した手立てのことの意味で使う方が多くなり、誤用だったもののこちらの意味が主流になりました。
「苦肉の策」と「狗肉の策」の混同に注意
「苦肉の策」を同じ読み方である「狗肉の策」と間違えないように注意しましょう。「狗肉」とは犬の肉のことを意味しており、「狗肉の策」としてしまうと意味の通じない言葉になってしまいます。
「苦肉の策」の類語
「苦肉の策」の類語・類義語としては、やむを得ない後悔が残るような思い悩まされる選択のことを意味する「苦渋の選択」、非常の場合にやむなく使う手段のことを意味する「非常手段」などがあります。
「苦肉の計」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、苦しまぎれに考えついた手段や方法のことを表現したい時などが挙げられます。
「苦肉の計」は現代の日本ではほとんど使われていない表現になります。
「苦肉の策」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、苦しまぎれに考え出した手立てのことを表現したい時などが挙げられます。
例文4の「苦肉の策を講じる」という言い回しはよく使われている表現方法です。
「苦肉の計」と「苦肉の策」はどちらも苦しまぎれに考えついた手段や方法のことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に使われている「苦肉の策」の方を使うようにしましょう。