似た意味を持つ「為政者」(読み方:いせいしゃ)と「偽善者」(読み方:ぎぜんしゃ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「為政者」と「偽善者」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
為政者と偽善者の違い
為政者と偽善者の意味の違い
為政者と偽善者の違いを分かりやすく言うと、為政者とは政治を行う人、偽善者とは偽善をする人という違いです。
為政者と偽善者の使い方の違い
一つ目の為政者を使った分かりやすい例としては、「彼は慎重な為政者として知られている」「為政者には判断力が必要だ」「民のために動ける為政者になりたい」「為政者の政治判断と民意がかけ離れている」などがあります。
二つ目の偽善者を使った分かりやすい例としては、「彼は口のうまい偽善者だから気をつけろ」「いい人ぶる偽善者は嫌いだ」「私は偽善者じゃなく根っからの善人です」「彼女は困った時に助けてくれない偽善者だ」などがあります。
為政者と偽善者の使い分け方
為政者と偽善者という言葉は、字面や言葉の響きが似ていることから、混同して使われることがありますが意味は異なります。為政者とは政治を行う人を意味し、偽善者とはうわべをいかにも善人らしく見せようとする人を意味します。
上記の例文の「民のために動ける為政者」とは、国家や社会の人々のために政治を行う者を表します。一方、「困った時に助けてくれない偽善者」とは、普段は困ったことがあれば助けるよと言っていても、実際そのような状況になったら助けてくれない善人ぶる人のことを意味します。
為政者と偽善者の英語表記の違い
為政者を英語にすると「administrator」「statesman」「politician」となり、例えば上記の「慎重な為政者」を英語にすると「a wary statesman」となります。
一方、偽善者を英語にすると「hypocrite」「pretender」となり、例えば上記の「口のうまい偽善者」を英語にすると「smooth-tongued hypocrite」となります。
為政者の意味
為政者とは
為政者とは、政治を行う者を意味しています。
為政者の読み方
為政者は「いせいしゃ」と読みます。「為」という漢字が、「偽」という漢字に似ていることから「ぎせいしゃ」と読み間違ことがあるので、注意しましょう。
為政者の語源
為政者という言葉の「為」とは行うことや、ある行為をすることを表し、「政」とは 国家や社会を正しくおさめることや、まつりごとを表します。為政者とは、まつりごとを為す人のことであり、政治を行う者の意味を持ちます。
表現方法は「為政者が治める世」「為政者目線」「為政者の保身」
「為政者が治める世」「為政者目線」「為政者の保身」などが、為政者を使った一般的な言い回しです。
為政者の使い方
為政者を使った分かりやすい例としては、「為政者が世を治める」「その時代は治水が為政者の最重要課題であった」「為政者の歴史における役割を論じる」「徳により天下を治めた為政者だった」などがあります。
その他にも、「君主に為政者としてふさわしい正義を求める」「国を治める為政者になりたい」「戦国時代の大名で最も優れた為政者は誰か」「古代ローマ帝国の為政者の功罪を考える」「為政者の成れの果ては愚政者なのか」などがあります。
為政者と政治家の違い
為政者と似た意味の言葉に政治家があります。政治家は政治に携わっている人のことですが、為政者は、とくに政権を握っている人の意味合いを持ちます。政治家のなかでも、政権を握っている一部の人を為政者ということを覚えておきましょう。
為政者の対義語
為政者の対義語・反対語としては、特別な地位・財産などのない普通の人々を意味する「庶民」、国家や社会を構成している多くの人々を意味する「民衆」、労働者や農民などの勤労階級を意味する「大衆」などがあります。
為政者の類語
為政者の類語・類義語としては、政治を職業とし専門的にこれに携わる人を意味する「政治家」、国民を代表して国政を議する人を意味する「代議士」などがあります。
偽善者の意味
偽善者とは
偽善者とは、偽善を行う人を意味しています。
表現方法は「偽善者でもいい」「偽善者が嫌い」「偽善者と言われた」
「偽善者でもいい」「偽善者が嫌い」「偽善者と言われた」などが、偽善者を使った一般的な言い回しです。
偽善者の使い方
偽善者を使った分かりやすい例としては、「あなたは恥ずべき偽善者です」「偽善者の特徴のひとつに自尊心が高いことがある」「偽善者度がわかる心理テストだ」「偽善者キャラのレッテルを貼られている」などがあります。
その他にも、「偽善者な自分に苛立ちを覚える」「真の善人と偽善者の見分け方を教えて欲しい」「悪人と偽善者はどちらがマシなのだろうか」「偽善者の優しいでしょアピールがうざい」「あの人は口先ばかりの偽善者だ」などがあります。
偽善者の語源
偽善者いう言葉の「偽善」とは、表面を飾って正しいように、あるいは善人のように見せかけることを意味します。偽善者とは、うわべだけ善人らしく見せようとする人のことです。例えば、ボランティアなどしたくないのに良い人だと思われたくて活動することなどです。
「やらない善よりやる偽善」が有名
偽善という言葉を用いた有名なセリフに「やらない善よりやる偽善」があります。口先だけで善い事を言うだけよりも、実際に行動する偽善の方が、結果として困っている人の役に立つことを表した言葉です。
偽善者の対義語
偽善者の対義語・反対語としては、わざと悪を装うことを意味する「偽悪」、悪者のように振る舞うことや悪ぶること意味する「悪がる」などがあります。
偽善者の類語
偽善者の類語・類義語としては、表面はさりげなく見せて実は油断のならない者を意味する「食わせ者」、表面は君子らしく見せかけるが実際は君子でない人を意味する「偽君子」、本性を隠しておとなしそうなふりをすることを意味する「猫かぶり」などがあります。
為政者の例文
この言葉がよく使われる場面としては、政治を行う人、為政家を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「為政者の保身」とは、為政者の地位や名誉などを守ることを表しています。例文2にある通り、単に政治に携わる人は政治家、その中でも政権を握っているは為政者と使い分けられています。
偽善者の例文
この言葉がよく使われる場面としては、偽善を行う人、偽善家を表現したい時などが挙げられます。
例文2では、本心からのやさしさが伴わずに他人に優しくする人のことを「偽善者」と表現しています。例文5にある「偽善者ぶる」とは誤った使い方です。良い子のふりをするな、という意味では「善人ぶるなよ」という表現になります。
為政者と偽善者という言葉は、音の響きが似ていますが、意味や使い方は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、政治を行う人表現したい時は「為政者」を、偽善をする人を表現したい時は「偽善者」を使うようにしましょう。