似た意味を持つ「順次」(読み方:じゅんじ)と「随時」(読み方:ずいじ)と「逐次」(読み方:ちくじ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「順次」と「随時」と「逐次」という言葉は、時間に沿って物事を行うという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
順次と随時と逐次の違い
順次と随時と逐次の意味の違い
順次と随時と逐次の違いを分かりやすく言うと、順次は順を追うことを表現する時に使い、随時は好きな時を表現する時に使い、逐次は決まった順を追うことを表現する時に使うという違いです。
順次と随時と逐次の使い方の違い
順次という言葉は、「ホームページは順次更新していく予定だ」「規模を順次拡大していく」などの使い方で、順を追って物事を行うことを意味します。
随時という言葉は、「予約状況を随時確認する」「随時連絡をお待ちしています」などの使い方で、好きな時間のうち時々、もしくはいつでもといったことを意味します。
逐次という言葉は、「逐次処理していく必要がある」「逐次通訳の練習から始める」などの使い方で、決まった順番で物事が行われることを意味します。
順次と随時と逐次の使い分け方
順次と逐次はどちらも順を追って物事が進むことを意味する言葉ですが、順次は物事が行われる順番に決まりがない時に使い、逐次は一つ一つ順が決まっている時に使います。
また、随時は順に何かをすると言った意味はないため、順次と逐次という言葉とは大きく意味が変わります。
これらが、順次、随時、逐次の明確な違いです。
順次の意味
順次とは
順次とは、順序に従って物事をする様子を意味しています。その他、仏教用語として使うことで来世を意味する言葉でもあります。
表現方法は「順次発送」「順次提出」「順次配布」「順次発売」「順次導入」
「順次発送」「順次提出」「順次配布」「順次発売」「順次導入」などが、順次を使った一般的な言い回しです。
上記以外の順次を使った言葉として、「順次業」「順次処理」があります。
「順次業」の意味
一つ目の「順次業」とは、現世で作った善悪の業のうち、その報いを次の世で受けるものを意味する言葉です。順生業ともいい、仏教用語の一つです。
そもそも自身の成したその結果を受ける速度によって、生きているうちに結果を得ることができる順現業、次に生まれ変わって受ける順次業、次の次以降の生で受ける順後業の三つに分けられており、この三つをまとめて三時業と言います。
「順次処理」の意味
二つ目の「順次処理」とは、プログラミングの基本となる処理方法の一つです。コンピュータに処理してもらいたい内容を並べていく作業を指します。
他にも、ある条件によって実行する内容を変更する分岐処理と、ある処理を繰り返し実行する反復処理があり、これら三つが基本とされています。
順次の類語
順次の類語・類義語としては、順序を追っていくことを意味する「順繰り」(読み方:じゅんぐり)があります。
随時の意味
随時とは
随時とは、その時の条件に従うことや気が向いた時を意味しています。その他にも制限のない様子や、好きな時にいつでもといった意味もあります。
表現方法は「随時報告」「随時確認」「随時更新」
「随時報告」「随時確認」「随時更新」などが、随時を使った一般的な言い回しです。
上記以外の随時を使った言葉として、「随時調整契約」「随時改定」があります。
「随時調整契約」の意味
一つ目の「随時調整契約」とは、電力会社が電力の安定供給などを目的に企業との間で結ぶ契約の一つです。電力不足に陥る可能性が考えられた時、電気料金の割引を受ける代わりに、電力会社からの事前通告で電力の使用の一部や全てを抑制する契約です。
企業によって契約している電力のうちどのくらいを調整可能かという条件を付けて契約をしています。
「随時改定」の意味
二つ目の「随時改定」とは、社会保険料の見直しや変更に関する決定の一つで、固定賃金が大きく変動した際に行われる変更です。もともと原則として年に1度見直しが行われていますが、随時改定によって保険料が相応になるように変更されます。
あくまで固定賃金に変動があった場合が対象となるため、残業代やその他の手当が増えたために保険料が増えるといったことにはなりません。
随時の対義語
随時の対義語・反対語としては、一定の時刻や一定の時期を意味する「定時」があります。
随時の類語
随時の類語・類義語としては、物事がしばしばある様子を意味する「往々」、その時その時を意味する「折々」、あらかじめ定めた時でなくその時々に応じて行うことを意味する「臨時」があります。
逐次の意味
逐次とは
逐次とは、順を追って次々に物事がなされる様子を意味しています。
表現方法は「逐次報告」「逐次通訳」「逐次投入」
「逐次報告」「逐次通訳」「逐次投入」などが、逐次を使った一般的な言い回しです。
上記以外の逐次を使った言葉として、「逐次刊行物」「逐次反応」があります。
「逐次刊行物」の意味
一つ目の「逐次刊行物」とは、新聞や雑誌など共通の名称のもとで、終わる時期を予定せずに順を追って継続して刊行される出版物を指す言葉です。
逐次刊行物は、定期刊行物と不定期刊行物に大きく分けられ、新聞のように決まった日に刊行されるものは前者の定期刊行物にあたります。
「逐次反応」の意味
二つ目の「逐次反応」とは、化学反応などにおいて、前段階の生成物が次の反応物質となって次々に起こる反応を意味する言葉です。
仮に1,2,3の物質があるとして、1が何かを加えて反応を起こして出来上がったものが2となり、さらにそこに同じものを加えて出来上がったものが3となる反応が逐次反応ですが、全く新しいものに変わるのではなく1や2の要素を残したまま3へと変化している状態です。
逐次の類語
逐次の類語・類義語としては、「連続的」、物事が次から次へと続く様子を意味する「次々」があります。
順次の例文
この言葉がよく使われる場面としては、順序に従って物事をする様子を意味する時などが挙げられます。
例文1のように手順が決まっている場合であれば逐次という言葉に置き換えて使うことができますが、例文2や例文3のように特に順が決まっていないものに関しては順次という言葉しか使うことができません。
随時の例文
この言葉がよく使われる場面としては、好きな時を意味する時などが挙げられます。
随時という言葉が好きな時を意味する言葉であっても、例文1のように「時々」を表すのか、例文2や3のように「いつでも」を表すのかは文脈で判断しなければなりません。
逐次の例文
この言葉がよく使われる場面としては、順を追って物事がなされる様子を意味する時などが挙げられます。
例文1の「逐次通訳」とは、話し手が区切りの良いところまで話した内容を通訳者が訳す、という行動を繰り返していく通訳方法で、二人が同時に話すことはありません。
例文2の「戦力の逐次投入」とは、もともとガダルカナル作戦において日本が小出しに戦力を投入したことで撤退を余儀なくされたことから、失敗の原因の一つとして今日でもビジネス用語としても使われるようになった言葉です。
順次と随時と逐次どれを使うか迷った場合は、順を追うことを表す場合は「順次」を、好きな時間を表す場合は「随時」を、決められた順を追うことを表す場合は「逐次」を使うと覚えておけば間違いありません。