似た意味を持つ「標準」(読み方:ひょうじゅん)と「基準」(読み方:きじゅん)と「水準」(読み方:すいじゅん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「標準」と「基準」と「水準」という言葉は、どれも物事を判断したり比較したりする際の尺度を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
標準と基準と水準の違い
標準と基準と水準の意味の違い
水準と基準と標準の違いを分かりやすく言うと、標準とは平均的・理想的であることを意味し、基準とは満たすべきレベルを意味し、水準とはある一定のレベルを意味しているという違いです。
標準と基準と水準の使い分け方
一つ目の「標準」は辞書的な意味では「平均的」になります。しかし実際の使われ方を見ると、標準という言葉には複雑なニュアンスが込められていることが分かります。
つまり、平均という言葉は、釣り合っていることを意味したり、様々な物事を比較して求められた中央値などを意味したりしますが、標準という言葉には普通それ以上の意味合いが含まれます。
例えば「標準体重」は平均体重のことではありません。人が健康的に生活出来るとされている理想的な体重のことです。標準体重の算出には統計的な手法が使われていますし、痩せているのも肥満なのも標準体型ではないですが、しかし単なる平均ではありません。
また「標準語」も、様々な方言を比較検討して求められた中間的な言葉遣いではありません。今の日本の標準語の基礎は、昭和初頭ごろまでの東京の教養人を中心とした国語改良の運動によって築かれたものです。
標準体重も標準語も一種の理想像です。標準体重とは人間が健康に過ごすことが出来る理想的な体重で、標準語とはそれを用いることで日本のどこでも意思疎通に支障をきたすことのない、コミュニケーションにとって理想的な言葉遣いのことです。
二つ目の「基準」は「判断の拠り所」を意味する言葉です。例えば「判断基準」という言葉がありますが、それは物事を判断する際に用いられる尺度のことです。
例えば小学校の通知表では教科ごとに様々な項目が設けられています。国語であれば「文章を正しく読み解くことが出来る」や「正しく読み書きが出来る」などです。こうした項目はそれぞれが、国語という教科の能力を判断する基準になっています。
基準が数値で示されていることもあります。例えば速度制限40km/hの道路では、この数値が法定内速度の基準です。また学校のテストの赤点のラインとなる点数も一つの基準です。
三つ目の「水準」は「一定のレベル」を意味する言葉です。学校の通知表の例で考えれば、1から5という評価はそれぞれが水準を表しています。1や2は低水準、3は平均的な水準、4と高水準、5は特に高水準です。
また具体的な数値で示すことは出来ませんが、「生活水準」や「文化水準」などの言葉もあります。水準とは高いか低いかの程度を問題にしている言葉です。
標準の意味
標準とは
標準とは、理想的、代表的な値やあり方を意味しています。
表現方法は「標準規格」「標準装備」「標準的」
「標準規格」「標準装備」「標準的」などが、標準を使った一般的な言い回しです。
標準の使い方
標準の標の字は「目印や目安」という意味で、準の字は「よりどころにする」という意味です。このような言葉の造りから、標準という言葉は平均的と説明されることがありますが、厳密に考えるとそれ以上のニュアンスが含まれています。
「標準体重」の意味
例えば「標準体重」は、たしかに痩せても太ってもいないという意味で平均的であることを含みます。しかしそれ以上に大切なのは、標準体重が健康に過ごすことの出来る理想的な体重を示しているということです。
健康という理想にとって好ましい体重が、結果として痩せても太ってもいない平均的な体重であるに過ぎないのです。標準という言葉には、「好ましい、理想的」という意味が含まれています。
「参加標準記録」の意味
陸上競技などで大会に参加するために満たすべき要件を「参加標準記録」と言いますが、ここで使われている標準は平均的の意味ではありません。主催者が要求する「大祭参加者なら持っているべき」記録です。これも「好ましい」という意味の「標準」です。
ただし、標準という言葉は単に身勝手な理想という意味ではありません。標準体重は、様々な体型の人を比較して得られた統計的なデータに裏打ちされた理想的な体重であって、単にモデル的な体重ではありません。
参加標準記録も各種競技会での記録を参考に設定されるものであり、決して無理なハードルを押し付けているわけではありません。
標準の類語
標準の類語・類義語としては、物事の基準となるものを意味する「規格」、形式や構成を意味する「フォーマット」などがあります。
標準の標の字を使った別の言葉としては、道路などの目印となる物を意味する「標識」、物事を評価、判断する際に目安となる物を意味する「指標」、そこへたどり着くことを目指されているものを意味する「目標」などがあります。
標準の準の字を使った言葉としては、何らかの物事に則ることを意味する「準拠」、狙いを定めることを意味する「照準」などがあります。
基準の意味
基準とは
基準とは、物事を判断する際の拠り所を意味しています。基準の基も準も、ともに「よりどころ」という意味を持つ字です。基は下にあるイメージで、準はよりかかるというイメージを持っています。
表現方法は「基準を満たす」「基準を設ける」「基準を超える」
「基準を満たす」「基準を設ける」「基準を超える」などが、基準を使った一般的な言い回しです。
基準の使い方
基準という言葉は、全て「判断基準」と言ってしまってもかまいません。例えば「彼はどういう基準で物を考えているのか分からない」の基準は「考えの基準」なので判断基準です。
身近なところで考えると、自動車の例えば速度制限40km/hも基準の一種です。それを超えていると違反とされる判断の基準の数値だからです。また学校のテストの赤点も一種の基準です。それを下回ると補習や留年と判断される目安の点数だからです。
基準は必ずしも平均や標準ではありません。自動車の速度制限超過が常態化しているのは、一般の運転手の感覚からすると、法定速度を厳守すると遅すぎるからです。一般的な40km/hという速度は、事故を減らすために厳しく設定された基準と考えることが出来ます。
逆に学校のテストの赤点は、基本的には緩く設定された基準です。赤点のラインを引き上げると補習や留年の候補の人数が増えてしまいますが、それは避けるべきだからです。
一部の大学など、卒業までに留年が当たり前とされているところでは、赤点の基準は厳しく設定されています。
基準の類語
基準の類語・類義語としては、大切な初歩的な事柄を意味する「基本」、物事を成立させる土台を意味する「基礎」「基盤」などがあります。
水準の意味
水準とは
水準とは、一定のレベルを意味しています。
表現方法は「水準が高い」「同水準」「最低水準」
「水準が高い」「同水準」「最低水準」などが、水準を使った一般的な言い回しです。
水準の使い方
この水準という言葉は程度の高低を問題にしている言葉です。例えば「文化水準」「教育水準」「生活水準」などは、どれも高いか低いかが語られる事柄です。
また、単なる高低だけではなく、発展や発達などと絡められて「一定の水準に達する」や「要求水準を下回る」などのように用いられることもあります。
基準は具体的な数値として示されることも多いですが、水準は具体的な数値として示されることはありません。水準という言葉は、全体的な傾向を示す、ある意味で漠然とした言葉です。
基準は例えば速度制限40km/hのように、数値がそのまま基準になることがあります。しかし「大卒内定率が高水準」は、水準という言葉自体が何らかの数値とイコールであるわけではありません。基準となる数値を上回ったので高水準と評価、形容されているのです。
水準の類語
水準の類語・類義語としては、おおよその目安を意味する「目安」があります。
標準の例文
この言葉がよく使われる場面としては、平均的な物事やあるべき物事を表現したい時などが挙げられます。標準という言葉は日常的によく使われる言葉ですが、そこに込められたニュアンスは意外と複雑で、一言で言い表すことは難しいです。
標準という言葉の辞書的な意味は「平均的」です。しかし数学的な意味での平均ではありません。標準という言葉には「理想的な」というニュアンスが込められています。
例えば例文2の「標準仕様」は、住宅などで追加料金が不要な仕様を意味する言葉です。ここでは「モデルとなる仕様」の意味で「標準仕様」という言葉が使われています。モデルとは手本や見本のことで、「理想的な」という意味に通じています。
基準の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を判断する際の拠り所を表現したい時などが挙げられます。例文1の基準点とは、測量をしたり地図を作製したりする時に使われるもので、色々な種類がありますが、石のオブジェのようなものもあります。
基準は、判断の拠り所となるものなので、しっかりと定められていて、なおかつ論理的である必要があります。例文3は、しっかりとしない判断基準のせいで、不公平な判断をされたことに対する不満を表明しています。
水準の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の程度の高低の程度を表現したい時などが挙げられます。水準は高いか低いかを問題にしている言葉です。「水準が高い/低い」「水準に達する」「水準を満たす」などの表現を覚えておくことが必要です。
ニュースや新聞などで、日本は様々な分野で後れを取っている、各種指標が低水準だと報じられることが度々あります。水準という言葉を意識して生活をすると、世の中の様々な物事の長所や問題点が見えるようになってきます。