同じ「じろん」という読み方の「持論」と「自論」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「持論」と「自論」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
持論と自論の違い
持論と自論の意味の違い
持論と自論の違いを分かりやすく言うと、持論とは以前から持っている自分の考え、自論とは持論の誤った書き方という違いです。
持論と自論の使い方の違い
一つ目の持論を使った分かりやすい例としては、「彼女はいつも持論に執着している」「英語教育について持論を述べる」「青臭い持論を展開する人だね」「彼は持論を延々と語っている」「話を聞かないで持論ばかり言う人だ」などがあります。
二つ目の自論を使った分かりやすい例としては、「ひとりよがりな自論ばかり語っている」「自論を述べるのは構わないが押し付けるな」「教師に英語に関する自論をぶつける」「コメンテーターの自論がうざい」などがあります。
持論と自論の使い分け方
持論と自論という言葉は、自分の意見や考えを意味します。もともとは持論という言葉のみが存在し、自論という言葉はありませんでした。しかし、かねてから持っている自分の考えを意味する「持論」に対して、自分の考えの意味を強調する「自論」という言葉が広く使われるようになっています。
持論は辞書に載っている正しい言葉ですが、自論は辞書に載っていない造語です。ビジネスの場や正式な文書には自論という言葉を用いないようにしましょう。
持論と自論の英語表記の違い
持論も自論も英語にすると「cherished opinion」「pet theory」となり、例えば上記の「彼女は持論に執着している」を英語にすると「She holds fast to her pet opinion」となります。
持論の意味
持論とは
持論とは、かねてから主張している自分の意見や説を意味しています。
持論の使い方
持論を使った分かりやすい例としては、「先生は環境問題に対して持論を展開した」「生き方の持論を持つことは大切です」「過去の経験談を話すうちに持論展開となった」「一流のプレイヤーは競技に対する持論を持つ」などがあります。
その他にも、「彼は持論に固執しているようだ」「それはあなたの持論でしょう」「お金は使わないと意味がないという持論があります」「私は時間の使い方に対して持論があります」「介護支援策について持論を展開する」などがあります。
持論の「論」は、物事の道理を説くことや、是非や善悪を述べることを表します。持論とは、そのような論を持つことであり、自分が以前から主張してきた意見や考えを指す言葉です。思いつきの意見や、ころころ変わるような考えは持論とは言いません。
「持論を持つ」の意味
上記の例文にある「持論を持つ」は、常々考えていることがあるさまを意味します。「持」という言葉が重なるために、「頭痛が痛い」のような二重表現だと思われがちですが、意味が重複しているわけではないので正しい表現になります。
「持論を展開する」の意味
持論を用いた言い回しには「持論を展開する」があります。自らの主張を詳しく表明していくことであり、「展開」は物事を繰り広げることを意味します。
表現方法は「持論を述べる」「持論がある」「持論を押し付ける」
上記以外では「持論を述べる」「持論がある」「持論を押し付ける」などが、持論を使った一般的な言い回しです。
持論の対義語
持論の対義語・反対語としては、ある社会の問題について世間の人々の持っている意見を意味する「世論」、ある社会的問題について多数の人々の議論による意見を意味する「輿論」、世間に広く認められると考えられる論を意味する「一般論」、その時代の世論を意味する「時論」などがあります。
持論の類語
持論の類語・類義語としては、普段から主張している意見を意味する「持説」、自分の意見や持論を他に認めさせようとして強く言い張ることを意味する「主張」、ある問題に対する主張や考えを意味する「意見」、堅く信じて守っている事柄を意味する「信条」などがあります。
自論の意味
自論とは
自論とは、自分の持つ考えや主張を表す造語を意味しています。
表現方法は「自論を述べる」「自論を展開する」「自論がうざい」
「自論を述べる」「自論を展開する」「自論がうざい」などが、自論を使った一般的な言い回しです。
自論の使い方
自論を使った分かりやすい例としては、「海外に行かないなら英語は必要ないという自論の持ち主だ」「根拠のない自論はうざいだけです」「彼女の変わった自論を聞くのは面白い」「勝手に自論を押し付けないでよ」などがあります。
その他にも、「これは自論だけどね、水が美味しい店は何でも旨い」「浮気について奇怪な自論を展開する男だ」「気持ちよさそうに自論を語る」「彼はレポートの作成方法に関して変わった自論を持っている」などがあります。
自論とは、辞書に載っていないけれど世間一般で使われている造語です。もともとは前述した「持論」という言葉の誤った書き方ですが、自分の考えや意見を表す言葉として広まっています。ただし、自論は正しい日本語ではありませんので、正式な文書やビジネスの場では使わない方がよいでしょう。
「自論公論」は誤り
自論の誤った使い方に「自論公論」があります。正しくは「時論公論」であり、NHKのニュース解説番組のことです。
自論の対義語
自論の対義語・反対語としては、 世間一般の人々の意見を意味する「公論」、一般に認められ確定的であるとされている説を意味する「定説」などがあります。
自論の類語
自論の類語・類義語としては、自分の意見や説を意味する「自説」、意見や主張として述べている事柄を意味する「所説」などがあります。
持論の例文
この言葉がよく使われる場面としては、いつも持っている意見を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「持論」と「自説」の違いは、持論はその人が持っている考えであることに対して、自説はある事柄に対しての自分の考える説を表す点にあります。
自論の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の持つ考えや主張を表現したい時などが挙げられます。
自論という言葉は、持論という言葉の誤った書き方ですが、自分の持つ意見を表す言葉として広まっている造語です。上記の例文のように使っても通じますが、ビジネスや正式文書などには使わないようにしましょう。
持論と自論という言葉は、どちらも「自分の意見や考え」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、以前から持っている考えを表現したい時は「持論」を、自分の考えを表現したい時は「自論」を使うようにしましょう。
ただし、自論は正しい日本語ではないので、改まった文書には自論という言葉を使わない方がよいでしょう。