似た意味を持つ「推定」(読み方:すいてい)と「推測」(読み方:すいそく)と「推量」(読み方:すいりょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「推定」と「推測」と「推量」という言葉は、相手の心の中や状況を見当をつけたり想像することという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
推定と推測と推量の違い
推定と推測と推量の意味の違い
推定と推測と推量の違いを分かりやすく言うと、推定は客観的な根拠をもとにした判断を表現する時に使い、推測は主観的な根拠をもとにした判断を表現する時に使い、推量は根拠がない判断を表現する時に使うという違いです。
推定と推測と推量の使い方の違い
推定という言葉は、「推定1000年前の化石が発見されたと話題になった」「日本の人口は今後減少していく推定なのだろうか」などの使い方で、ある事実を手掛かりとして判断することを意味します。
推測という言葉は、「彼の残業時間からあまり睡眠が取れていないと推測できる」「推測できうる外出先には連絡したが子どもが一向に帰ってこない」などの使い方で、物事の状態や性質などをある事柄を基準にして判断することを意味します。
推量という言葉は、「他者の感情を推量して間違っていたら恥ずかしい」「推量でものを言うのは後で何が起きるかわからない」などの使い方で、物事の状態や程度、他者の心の中などを想像することを意味します。
推定と推測と推量の使い分け方
推定と推測はどちらも、とある事物を基準に推しはかって判断することを意味する言葉ですが、前者は数値などのデータといった客観的な根拠をもとにするのに対して、後者は物事の状態や周囲の状況など主観的な根拠をもとにして判断がなされます。
一方の推量は、推定や推測とは異なり、根拠とするものはなく、一般的にそう考えられる場合などに使われるため、広く使われている言葉です。
これが、推定、推測、推量の明確な違いです。
推定の意味
推定とは
推定とは、ある事実を手掛かりとして判断することを意味しています。
表現方法は「推定する」「推定される」「推定を受けない」
「推定する」「推定される」「推定を受けない」などが、推定を使った一般的な言い回しです。
推定を使った言葉として、「推定無罪の原則」「嫡出推定」があります。
「推定無罪の原則」の意味
一つ目の「推定無罪の原則」とは、誰であろうとも有罪と宣告されるまでは無罪と推定されることを定めたものです。そのため、有罪判決が確定するまでは、犯罪者としては扱われません。
「嫡出推定」の意味
二つ目の「嫡出推定」とは、夫婦間で子どもができた際、法律上では産んだ妻はもちろん、その夫の子どもと推定することを表す言葉です。
具体的には、婚姻成立から200日が経った場合、もしくは離婚後300日以内に子どもが生まれた場合にそのように推定されるため、夫以外の男性との間で生まれた子どもだとしても、戸籍にはその夫婦の子どもとして扱われます。
推定の対義語
推定の対義語・反対語としては、物事にはっきりした判断をくだすことを意味する「断定」があります。
推定の類語
推定の類語・類義語としては、数量を推定で計算することを意味する「推算」、ある条件や状況を仮に設定することを意味する「想定」、ある事実をもとにして未知の事柄を推し量って論じることを意味する「推論」などがあります。
推測の意味
推測とは
推測とは、物事の状態や性質などをある事柄を基準にして判断することを意味しています。
表現方法は「推測する」「推測されます」「推測できる」
「推測する」「推測されます」「推測できる」などが、推測を使った一般的な言い回しです。
「推測航法」の意味
推測を使った言葉として、「推測航法」があります。これは、進んだ距離、速度やその他要素などで過去や現在の位置を推定して目的地まで船を進める方法を指す言葉で、「自律航法」や「デッドレコニング」などとも呼ばれています。
船だけではなく、自動車や航空機、潜水艦、ミサイルなどだけでなく歩行者が持つスマートフォンにも利用されている方法です。
加えて、自分が知っている場所からどう移動したら現在位置にたどり着くかなどの情報をもとに推測する経路統合は同じような考え方と言えるため、アリやガチョウなどの動物らもこの方法を使って移動をしています。
推測の対義語
推測の対義語・反対語としては、実際の状態を意味する「実態」、証拠をあげて事実を証明することを意味する「立証」があります。
推測の類語
推測の類語・類義語としては、何が起こるかを前もって見当をつけておくことを意味する「予測」、ある事柄をもとにして予測して全体を知ることを意味する「推知」、前もって判断をすることを意味する「予断」などがあります。
推量の意味
推量とは
推量とは、物事の状態や程度、他者の心の中などを想像することを意味しています。
表現方法は「推量される」「推量する」「推量でものを言う」
「推量される」「推量する」「推量でものを言う」などが、推量を使った一般的な言い回しです。
推量を使った言葉として、「壁越し推量」「悪推量」があります。
「壁越し推量」の意味
一つ目の「壁越し推量」とは、状況や事情などを直接見聞きして知ることもないまま推量することを意味する言葉で、「壁越推量」という表記がなされることもあります。
似たような言葉に「揣摩臆測」(読み方:しまおくそく)があり、これも自分勝手に状況を判断して相手の気持ちを推し量ることを意味しますが、「壁越し推量」が物事の状況の勝手な推量を指すのに対して、「揣摩臆測」は人間の感情の憶測に対して使われます。
「悪推量」の意味
二つ目の「悪推量」(読み方:わるずいりょう)とは、悪い方へとどんどん考えることや、悪い面ばかりを推量することを意味する言葉です。
推量の対義語
推量の対義語・反対語としては、実際に測ることを意味する「実測」があります。
推量の類語
推量の類語・類義語としては、あることを元にして推し量って判断することを意味する「推断」、事情や他者の心の中を想像したりすることを意味する「推察」、相手の事情や心情を汲み取ることを意味する「斟酌」(読み方:しんしゃく)などがあります。
推定の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある事実を手掛かりとして判断することを意味する時などが挙げられます。
例文3の「推定樹齢」とは、樹木が芽生えて経過しただろう年数を推し量ったものを意味する言葉です。
推測の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の状態や性質などをある事柄を基準にして判断することを意味する時などが挙げられます。
どの例文の推測も、当人が感じた状況や状態を元に推し量っているため、推定や推量といった言葉に置き換えて使うことはできません。
推量の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の状態や程度、他者の心の中などを想像することを意味する時などが挙げられます。
例文1の「当て推量」とは、確かな根拠もないままいい加減に事実を推し量ることを意味する言葉です。
推定と推測と推量どれを使うか迷った場合は、客観的な根拠をもとにした判断を表す場合は「推定」を、主観的な根拠をもとにした判断を表す場合は「推測」を、根拠がない判断を表す場合は「推量」を使うと覚えておけば間違いありません。