似た意味を持つ「公明正大」(読み方:こうめいせいだい)と「公平無私」(読み方:こうへいむし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「公明正大」と「公平無私」という言葉は、どちらも「公平であること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
公明正大と公平無私の違い
公明正大と公平無私の意味の違い
公明正大と公平無私の違いを分かりやすく言うと、公明正大とは公平で正しい行動、公平無私とは公平で私利私欲がない様子という違いです。
公明正大と公平無私の使い方の違い
一つ目の公明正大を使った分かりやすい例としては、「彼ほど公明正大な人はいないだろう」「我が社は公明正大に利益を追求する会社です」「従業員の仕事ぶりを公明正大に評価している」「正々堂々と公明正大に試合する」などがあります。
二つ目の公平無私を使った分かりやすい例としては、「検察官は公平無私の証人を探している」「公平無私が政治の鉄則であろう」「その指導者は公平無私だという評判です」「誰にでも公平無私な先生を信頼しています」などがあります。
公明正大と公平無私の使い分け方
公明正大と公平無私という言葉は、どちらも物事を平等に扱ったり、公平であるさまを表す四字熟語ですが、意味や使い方には違いがあります。
公明正大とは、私情にとらわれることなく、公平で堂々としているさまを意味します。「公明正大に利益を追求する」「公明正大に評価する」のように、何の隠しだてもない正しい行動を表す時に使われることが多い言葉です。
公平無私とは、公平であり、私的な感情や利益を交えないさまを意味します。上記の例文にある「公平無私の証人」とは、自分の主観や利益を判断基準から外し、物事を公平に証明しようとする人のことです。
つまり、公明正大とは正しい行いを指す言葉であり、公平無私とは私情をはさまない様子を意味する言葉なのです。
公明正大と公平無私の英語表記の違い
公明正大を英語にすると「fair」「square」「justice」となり、例えば上記の「公明正大な人」を英語にすると「a just man」となります。
一方、公平無私を英語にすると「disinterest」「fair and disinterested」となり、例えば上記の「公平無私の証人」を英語にすると「a disinterested witness」となります。
公明正大の意味
公明正大とは
公明正大とは、公平で私心がなく、隠し事をせず堂々としているさまを意味しています。
公明正大の読み方
公明正大の読み方は「こうめいせいだい」です。誤って「こうみょうせいだい」「こうめいしょうだい」などと読まないようにしましょう。
公明正大の使い方
公明正大を使った分かりやすい例としては、「公明正大な人がトップに立つべきです」「社員の総力をもって公明正大に利益を追求しています」「試合では公明正大にフェアプレイ精神を貫きます」などがあります。
その他にも、「心理テスト診断によると私は公明正大タイプです」「英語教師であった父は公明正大な人でした」「書初めの言葉は座右の銘である公明正大にしました」「公明正大なビジネス展開に努めて参ります」などがあります。
公明正大の「公明」とは、不正や隠しだてがなく公平であること、「正大」とは、意志や言動などが正しく堂々としているさまを表します。公明正大とは、私心がなく平等であるさま、良心に恥じることなく正しいさまを意味します。
公明正大という言葉は、正しく生きる人を表すプラスイメージの四字熟語であり、座右の銘に使われています。また、模範になるようなフェアな姿勢を表すため、企業のスローガンや社訓などにも用いられています。
公明正大の対義語
公明正大の対義語・反対語としては、一方に心をかたむけ公平でないことを意味する「依怙贔屓」(読み方:えこひいき)、正しくないことを意味する「不正」、正当でないことや道理に合わないことを意味する「不当」などがあります。
公明正大の類語
公明正大の類語・類義語としては、心が清く正しく広いさまを意味する「心地光明」、態度や手段が正しくて立派なさまを意味する「正正堂堂」、偏ることなく、公正中立な立場をとることを意味する「不偏不党」などがあります。
公平無私の意味
公平無私とは
公平無私とは、一方に偏ることなく平等で、私心をもたないさまを意味しています。
公平無私の使い方
公平無私を使った分かりやすい例としては、「君子は公平無私であるものだ」「責任者として公平無私の立場を堅持した」「経営者は公平無私であった方が組織がまとまります」「本当に公正無私な意見だろうか」などがあります。
その他にも、「英語検定の面接官は公平無私で任務にあたっています」「書き初めに行書で公平無私と書きました」「ビジネスの交渉は公平無私であるべきです」「公平無私な判定を期待します」などがあります。
公平無私とは、公平であり、私的な感情や利益を交えないさまを意味する四字熟語です。公平無私の「無私」は、文字通り「私心がないこと」であり、私的な感情にとらわれたり、利害の計算をしたりしないことです。
公平無私の由来
公平無私という言葉の由来は、前漢時代に書かれた古代中国の説話集である「韓詩外伝」にあります。この中で、「正直者は道理に従って行動し、理論に逆らわずものを言い、公平無私である」と記されています。
公平無私の対義語
公平無私の対義語・反対語としては、自分の利益を第一に考え満たそうとする気持ちを意味する「私利私欲」、自分の利害だけをはかって他人のことを考えない心を意味する「利己心」などがあります。
公平無私の類語
公平無私の類語・類義語としては、個人的な利益や名誉を優先せず公平に判断するさまを意味する「無私無偏」、厳しく公正を守り、どちらにも偏らない立場を守ることを意味する「厳正中立」、偏らず公正であることを意味する「中正」などがあります。
公明正大の例文
この言葉がよく使われる場面としては、公平で、良心に恥じるところがなく正しいことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「公明正大な人」とは、公平でやましいところがなく、堂々と正しい行いをする人のことです。正義感や道徳心の強い人とも言えます。
公平無私の例文
この言葉がよく使われる場面としては、公平で、自分の個人的な感情や利益をからませないことを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「公正無私」は、公平で私利私欲を交えないさまを表す公平無私の同義語です。公正無私と公平無私の違いは、公正無私は辞書に載っておらず、辞書に載っている公平無私の方が一般的に使われている点です。
公明正大と公平無私という言葉は、どちらも「公平であること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、公平で正しい行動を表現したい時は「公明正大」を、公平で個人的な感情を交えない様子を表現したい時は「公平無私」を使うようにしましょう。