【漁夫の利】と【犬兎の争い】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「漁夫の利」(読み方:ぎょふのり)と「犬兎の争い」(読み方:けんとのあらそい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「漁夫の利」と「犬兎の争い」という言葉は、どちらも第三者が利益を横取りすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「漁夫の利」と「犬兎の争い」の違い

「漁夫の利」と「犬兎の争い」の意味の違い

「漁夫の利」と「犬兎の争い」の違いを分かりやすく言うと、「漁夫の利」とは争っているうちに利益を横取りすること、「犬兎の争い」とは弱った隙を見て利益を横取りすることという違いです。

「漁夫の利」と「犬兎の争い」の使い方の違い

一つ目の「漁夫の利」を使った分かりやすい例としては、「結局何も知らずに現れた彼女が漁夫の利を占めました」「結局のところ漁夫の利で得したのは彼だけです」「相手の足を引っ張るだけでは漁夫の利になりかねないので気を付けよう」などがあります。

二つ目の「犬兎の争い」を使った分かりやすい例としては、「犬兎の争いによって大儲けすることができました」「優勝候補が潰し合ってくれたおかげで私は楽に勝つことができました、まさに犬兎の争いだろう」などがあります。

「漁夫の利」と「犬兎の争い」の使い分け方

「漁夫の利」と「犬兎の争い」はどちらも第三者が利益を横取りすることを意味しており大きな違いはありません。

あえて違いを挙げるならば、「漁夫の利」は争っているうちに利益を横取りするというニュアンスで使うのに対して、「犬兎の争い」は弱った隙を見て利益を横取りするというニュアンスで使うというのが違いです。

「漁夫の利」と「犬兎の争い」の英語表記の違い

「漁夫の利」を英語にすると「profiting while others fight」「fish in troubled waters」となります。一方、「犬兎の争い」を英語にすると「Two dogs fight for a bone, and the third runs away with it」となります。

「漁夫の利」の意味

「漁夫の利」とは

「漁夫の利」とは、両者が争っているのにつけ込んで第三者が利益を横取りすることを意味しています。

「漁夫の利」の読み方

「漁夫の利」の読み方は「ぎょふのり」です。誤って「りょうふのり」などと読まないようにしましょう。

「漁夫の利」の使い方

「漁夫の利」を使った分かりやすい例としては、「漁夫の利にならないためには常に冷静でいることが大切です」「派閥争いで互いに足を引っ張りあった結果、弱小派閥のトップが新社長に就任しました。まさに漁夫の利だ」などがあります。

「漁夫の利」の由来

「漁夫の利」の由来は中国の史書『戦国策』です。趙の国が燕の国を攻撃しようとしている時に、燕の蘇代が趙の恵文王に会ってとある話をしました。

ある日ハマグリが殻を空けて日向ぼっこをしていたところ、シギが飛んできてハマグリの肉を食べようとしたが、ハマグリ殻を閉じてシギのくちばしを挟みました。両者が喧嘩しているところ漁師が通りかかり、両方を簡単に捉えたのです。

そして、今趙と燕が争えば、ハマグリとシギのように第三者である秦が漁夫の利を得るだろうと言いました。これを聞いて趙は燕を攻めることを中止したのです。このことが転じて、両者が争っているのにつけ込んで第三者が利益を横取りすることを「漁夫の利」と言うようになりました。

「漁夫の利」の特徴は、当事者ではなく第三者が利益を得るという点です。また、利益をそのまま奪うのではなく横取りするので、ずる賢いというニュアンスも持っていると覚えておきましょう。

「漁夫の利」の類語

「漁夫の利」の類語・類義語としては、両者が争っている間に第三者に利益を横取りされ共倒れになることを意味する「鷸蚌の争い」(読み方:いつぼうのあらそい)、骨をおらずに多くの利益を得ることを意味する「濡れ手で粟」などがあります。

「犬兎の争い」の意味

「犬兎の争い」とは

「犬兎の争い」とは、両者が争ってともに弱ったところで第三者に利益を横取りされることを意味しています。

「犬兎の争い」の読み方

「犬兎の争い」の読み方は「けんとのあらそい」です。誤って「いぬうさぎのあらそい」などと読まないようにしましょう。

「犬兎の争い」の使い方

「犬兎の争い」を使った分かりやすい例としては、「犬兎の争いを一度経験するとまた狙いたくなってしまいます」「競合他社社と争ったせいで業績が落ちてしまったが、そのせいで新参企業が大儲けしたらしい、まさに犬兎の争いだ」などがあります。

「犬兎の争い」の由来

「犬兎の争い」の由来は中国の史書『戦国策』です。この中に、とても足の早い犬が、素早い兎を追いかけまわしたが話がありました。犬と兎は何度も山を駆け登ったため、力尽きて地面に倒れてしまいました。

そこを、たまたま農夫が通りかかり、何の苦労もせず獲物を手に入れることができたというお話です。このことが転じて、両者が争ってともに弱ったところで第三者に利益を横取りされることを「犬兎の争い」と言うようになりました。

「犬兎の争い」はただ横取りするのではなく、弱ったところを横取りするというニュアンスがあると覚えておきましょう。

「犬兎の争い」の類語

「犬兎の争い」の類語・類義語としては、苦労しないでよいものを得ることを意味する「棚から牡丹餅」(読み方:たなからぼたもち)、争っているもの同士が両方とも倒れてその争いとは関係ない人が利益を得ることを意味する「田父之功」などがあります。

「漁夫の利」の例文

1.同期が足の引っ張り合いをしている間に私が出世しました。まさに漁夫の利です。
2.一連の騒動で得したのは直接関与してあの企業でした。これが漁夫の利と言うものか。
3.対立候補の二人が足を引っ張りあったおかげで、漁夫の利で第三勢力が当選することになりました。
4.兄と弟がアイスをどっちが食べるか喧嘩しているうちに、妹がさっと食べてしまったのはまさに漁夫の利です。
5.私と友人が彼を巡って醜い争いをしているうちに、最近サークルに入ってきた彼女に漁夫の利で取られてしまいました。
6.どの案でプレゼンに臨むか部内で争っていたが、Aチームは上司のパワハラ、Bチームは担当者のセクハラとそれぞれが足の引っ張り合いを始め、漁夫の利で我がCチームのプランに決まった。
7.上の兄弟は昔から仲が悪く事あるごとに争っていたが、大体いつも妹が漁夫の利を得ることが多かったように思える。
8.このまま我々が争いを続けていれば、その隙を狙って第三者が漁夫の利を狙ってくることもあり得るだろう。
9.いつもはやられっぱなしの我々であるが、今回は彼らのかねてからの因縁を利用して漁夫の利を得る作戦をたてた。
10.出世争いにおいていつも漁夫の利で成り上がってきた私からすれば、このような駆け引きは日常茶飯事であった。

この言葉がよく使われる場面としては、両者が争っているのにつけ込んで第三者が利益を横取りすることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「漁夫の利」は第三者に利益を取られた場合に使う言葉です。

「犬兎の争い」の例文

1.フルマラソンで優勝候補の二人がゴール付近で大失速、その結果ダークホースと言われた私が優勝することができました。まさに犬兎の争いです。
2.大手企業同士が争っており、犬兎の争いを狙っていたが、途中で気付かれてしまい利益を得ることができませんでした。
3.優勝候補同士が準決勝で対戦し、激戦の末に勝利したものの勝利チームの投手は凄く疲弊していた。その結果、決勝戦では三番手のチームがあっさり勝利しました。まさに犬兎の争いだろう。
4.大国が貿易戦争した結果、我が国にも需要が流れてきました。これが犬兎の争いと言うものだろう。
5.大手のファーストフード店が犬兎の争いによってこの町から撤退しまった。その結果昔からある町の定食屋が大繁盛しました。
6.選挙戦では野党候補者同士がいがみ合って犬兎の争いをしているうちに与党の候補者が大幅にリードしているようだ。
7.優勝候補同士が潰しあいをしてくれたおかげで、我々のチームが優勝することができた。犬兎の争いとはまさにこのことを言うのだろう。
8.相手は大国だから我が国が正面突破しても叶う相手ではない。ここは大国のライバル国を焚きつけて犬兎の争いをさせるのはどうだろうか?
9.上の兄たちが喧嘩をしている間に犬兎の争いでお菓子を独り占めしようとしたら二人に気づかれてしまった。
10.ライバル企業らが価格競争をしている間に、我々はじっくりと力を蓄えるべきだ。ここは犬兎の争いといこうではないか。

この言葉がよく使われる場面としては、両者が争ってともに弱ったところで第三者に利益を横取りされることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「犬兎の争い」は第三者に利益を取られた場合に使う言葉です。

「漁夫の利」と「犬兎の争い」はどちらも第三者が利益を横取りすることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、争っているうちに利益を横取りすることを表現したい時は「漁夫の利」を、弱った隙を見て利益を横取りすることを表現したい時は「犬兎の争い」を使うと覚えておきましょう。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター