似た意味を持つ「出る杭は打たれる」(読み方:でるくいはうたれる)と「出過ぎた杭は打たれない」(読み方:ですぎたくいはうたれない)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「出る杭は打たれる」と「出過ぎた杭は打たれない」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「出る杭は打たれる」と「出過ぎた杭は打たれない」の違い
「出る杭は打たれる」と「出過ぎた杭は打たれない」の意味の違い
「出る杭は打たれる」と「出過ぎた杭は打たれない」の違いを分かりやすく言うと、「出る杭は打たれる」とは才能や手腕があって抜きん出ている人はそうでない人から憎まれること、「出過ぎた杭は打たれない」とは才能や手腕があまりにも突出していると人から憎まれなくなることという違いです。
「出る杭は打たれる」と「出過ぎた杭は打たれない」の使い方の違い
一つ目の「出る杭は打たれる」を使った分かりやすい例としては、「出る杭は打たれるというので、少し様子を見ることにしました」「サラリーマンの世界では出る杭は打たれるといことがしばしある」などがあります。
二つ目の「出過ぎた杭は打たれない」を使った分かりやすい例としては、「出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれません」「出過ぎた杭は打たれないという言葉を聞いて妙に納得してしまった」などがあります。
「出る杭は打たれる」と「出過ぎた杭は打たれない」の使い分け方
「出る杭は打たれる」と「出過ぎた杭は打たれない」は似ている言葉ですが、対義語で意味は全く異なっているので間違えないように注意しましょう。
「出る杭は打たれる」は才能や手腕があって抜きん出ている人はそうでない人から憎まれることと、余計なことをする人は非難されて制裁を受けることの二つの意味を持つ言葉になります。
一方、「出過ぎた杭は打たれない」は才能や手腕があまりにも突出していると人から憎まれなくなることを意味しており、「出る杭は打たれる」の反対の意味を持つ言葉です。
また、「出る杭は打たれる」は昔から使われている言葉で辞書に載っているのに対して、「出過ぎた杭は打たれない」は造語で辞書に載っていない言葉というのも違いの一つになります。
「出る杭は打たれる」と「出過ぎた杭は打たれない」の英語表記の違い
「出る杭は打たれる」は日本語特有の表現なので直訳した英語はありませんが、近い表現として、「A nail that stands will be hammered down」「Keep your head down」などがあります。一方、「出過ぎた杭は打たれない」は造語なので、英語表記はありません。
「出る杭は打たれる」の意味
「出る杭は打たれる」とは
「出る杭は打たれる」とは、才能や手腕があって抜きん出ている人はそうでない人から憎まれることを意味しています。その他にも、余計なことをする人は非難されて制裁を受けることの意味も持っています。
「出る杭は打たれる」の読み方
「出る杭は打たれる」の読み方は「でるくいはうたれる」です。誤って「でるこうはうたれる」などと読まないようにしましょう。
「出る杭は打たれる」の使い方
「出る杭は打たれる社会で生きていくのは難しい」「日本社会では出る杭は打たれる傾向があります」などの文中で使われている「出る杭は打たれる」は、「才能や手腕があって抜きん出ている人はそうでない人から憎まれること」の意味で使われています。
一方、「出る杭は打たれるというので、今はでしゃばらない方がいいだろう」「出る杭は打たれるので発言には気を付けよう」などの文中で使われている「出る杭は打たれる」は、「余計なことをする人は非難されて制裁を受けること」の意味で使われています。
「出る杭は打たれる」は才能や手腕があって抜きん出ている人はそうでない人から憎まれることや余計なことをする人は非難されて制裁を受けることの二つの意味を持つことわざです。
簡単に言うならば、自分より才能をある人を攻撃して陥れたり、自分達と違う考え方や行動をしようとする人を排除するということを例えています。したがって、「出る杭は打たれる」はマイナスなイメージを持つ言葉です。
「出る杭は打たれる」の由来
「出る杭は打たれる」の由来は並べて打った杭です。「杭」とは、地中に打ち込んで支柱や目印にする棒のことで、並べて打った杭が1本だけ高ければ、他の杭に揃うよう打たれてしまいます。
この「杭」を人の才能や手腕に比喩して、才能や手腕があって抜きん出ている人はそうでない人から憎まれることを「出る杭は打たれる」と言うようになりました。
「出る杭は打たれる」の言い換え語は「出る釘は打たれる」
「出る杭は打たれる」は「出る釘は打たれる」と表記することも可能になっています。文化庁が発表した平成18年度に行われた国語に関する世論調査では、「出る杭は打たれる」を使う人が73.1%、「出る釘は打たれる」を使う人が19.0%という結果が出ています。
「出る杭は打たれる」の類語
「出る杭は打たれる」の類語・類義語としては、地位や名声の高い人ほど他から妬まれて身を滅ぼしやすいことを意味する「高木は風に折らる」、余計ことを言わなければ災いを招かないで済むことを意味する「雉も鳴かずば打たれまい」(読み方:きじもなかずばうたれまい)などがあります。
「出過ぎた杭は打たれない」の意味
「出過ぎた杭は打たれない」とは
「出過ぎた杭は打たれない」とは、才能や手腕があまりにも突出していると人から憎まれなくなることを意味しています。
「出過ぎた杭は打たれない」の言い換え語は「出すぎた杭は打たれない」
「出過ぎた杭は打たれない」は「出すぎた杭は打たれない」とひらがなで表記することも可能です。
「出過ぎた杭は打たれない」の使い方
「出過ぎた杭は打たれない」を使った分かりやすい例としては、「この界隈を変えるために出過ぎた杭は打たれないを目指そうと思う」「出過ぎた杭は打たれないという言葉はとても共感できる」などがあります。
「出過ぎた杭は打たれない」の由来
「出過ぎた杭は打たれない」は現代でも使われている言葉ですが、辞書には載っていない造語になります。この言葉を生み出したのはしたのは、パナソニックの創設者であり経営の神様と異名を持つ、松下幸之助(読み方:まつしたこうのすけ)さんです。
正確に言うと、「出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない」となります。日本社会では出る杭は打たれると言われており、人より才能があったり人と違うことをしている人がいれば憎まれたり、叩かれたりするのが現状です。
しかし、打たれても打たれてもめげずに努力を続け、あまりにも出過ぎた杭になれば討つことができなくなります。このことが転じて、才能や手腕があまりにも突出していると人から憎まれなくなることを「出過ぎた杭は打たれない」と言うようになりました。
「出る杭は打たれる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、才能や手腕があって抜きん出ている人はそうでない人から憎まれることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、余計なことをする人は非難されて制裁を受けることを表現いたい時にも使います。
例文1と例文2の「出る杭は打たれる」は才能や手腕があって抜きん出ている人はそうでない人から憎まれること、例文3から例文5の「出る杭は打たれる」は余計なことをする人は非難されて制裁を受けることの意味で使っています。
「出過ぎた杭は打たれない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、才能や手腕があまりにも突出していると人から憎まれなくなることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にあるように、「出過ぎた杭は打たれない」は辞書に載っている言葉ではなく、造語になります。
「出る杭は打たれる」と「出過ぎた杭は打たれない」は対義語なので意味は異なっています。
どちらの言葉を使うか迷った場合、才能や手腕があって抜きん出ている人はそうでない人から憎まれることを表現したい時は「出る杭は打たれる」を、才能や手腕があまりにも突出していると人から憎まれなくなることを表現したい時は「出過ぎた杭は打たれない」を使うと覚えておきましょう。