似た意味を持つ「相乗効果」(読み方:そうじょうこうか)と「相乗作用」(読み方:そうじょうさよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「相乗効果」と「相乗作用」という言葉は、どちらも「複数の要因が働いて、高い結果が出ること」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
相乗効果と相乗作用の違い
相乗効果と相乗作用の意味の違い
相乗効果と相乗作用の違いを分かりやすく言うと、相乗効果とは好ましい結果が出ることを表し、相乗作用とは強い作用が出ることを表すという違いです。
相乗効果と相乗作用の使い方の違い
一つ目の相乗効果を使った分かりやすい例としては、「意識の高いメンバーは互いに相乗効果をもたらします」「恋愛感情は相乗効果によって高まるものです」「うま味の相乗効果を利用した料理はたくさんあります」などがあります。
二つ目の相乗作用を使った分かりやすい例としては、「マイナスイオンとオゾンの相乗作用により消臭の効果が期待できます」「教員の熱意と生徒のやる気との相乗作用で実績を上げている」「過度の血圧降下は両薬剤の相乗作用によるものです」などがあります。
相乗効果と相乗作用の使い分け方
相乗効果と相乗作用という言葉は、どちらも人や事物などが他と組み合わさることによって、単体で得られる以上の結果を上げることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
相乗効果とは、複数の要因が同時に働いて、単体で得られる以上の効果を上げることを意味します。望ましい結果や好ましい結果が生じる時に用いられるプラスイメージの言葉です。ビジネスシーンでは「シナジー効果」と言い換えられることがあります。
相乗作用とは、複数の要因が重なり、個々に働く時の作用の和よりも多くの効力を出すことを意味します。相乗効果とほぼ同じ意味を持ちますが、一般的にはあまり用いられず、主に薬品学の分野で使われている言葉です。強い作用にフォーカスした表現であり、好ましくない結果にも用いられています。
つまり、相乗効果は好ましい結果が生じることを表現し、相乗作用は好ましい作用だけでなく好ましくない強い作用も表します。また、相乗効果は日常生活からビジネスシーンまで広く使われていますが、相乗作用は一般的に使われていません。これらが二つの言葉の違いになります。
相乗効果と相乗作用の英語表記の違い
相乗効果も相乗作用も英語にすると「synergy」「synergism」となり、例えば上記の「相乗作用をもたらす」を英語にすると「bring synergy」となります。
相乗効果の意味
相乗効果とは
相乗効果とは、二つ以上の要因が同時に働いて、個々の要因がもたらす以上の結果を生じることを意味しています。
表現方法は「相乗効果を生み出す」「相乗効果を発揮する」「相乗効果をもたらす」
「相乗効果を生み出す」「相乗効果を発揮する」「相乗効果をもたらす」などが、相乗効果を使った一般的な言い回しです。
相乗効果の使い方
相乗効果を使った分かりやすい例としては、「相乗効果を狙って運動と食事制限を実践しています」「複数で協力し合うことにより相乗効果が得られる」「英語のテキストと音声アプリは相乗効果を生む」などがあります。
その他にも、「英語と第2外国語の勉強は相乗効果をもたらす」「人生と子育ての相乗効果を発揮するようになる」「予想していた相加効果以上の相乗効果を得る」「だし以外のうま味相乗効果の使い方を紹介します」などがあります。
相乗効果の「相乗」は、二つ以上の数を掛け合わせること、二つ以上の要因が同時に働くことです。また、「効果」は、 ある働きかけによって現れる望ましい結果を表します。相乗効果とは、複数の要素が組み合わさることによって、単体で得られる以上の高い結果が出ることを意味します。
相乗効果という言葉は、ふつう良い結果をもたらす時に用いられ、悪い意味で使われることはありません。ビジネスでは、相乗効果で結果がプラスに働くことは「シナジー効果」と言い換えることができますが、結果がマイナスに働く場合は「アナジー効果」と呼び、言葉を使い分けています。
相乗効果の対義語
相乗効果の対義語・反対語としては、長所や利点などが差し引かれてなくなることを意味する「相殺」、性質の異なるものが互いに融和してそれぞれの性質を失うことを意味する「中和」などがあります。
相乗効果の類語
相乗効果の類語・類義語としては、筋肉などの共動作用や薬品などの相乗作用を意味する「シナジー」、複数のものが組み合わされて予想しなかった効果の生じることを意味する「化学反応」などがあります。
相乗作用の意味
相乗作用とは
相乗作用とは、二つ以上の要因が組み合わさると、単独のときの作用の和よりも強力な作用を発揮する現象を意味しています。
相乗作用の使い方
相乗作用を使った分かりやすい例としては、「薬力学的相乗作用が期待される」「この薬の組み合わせは相乗作用と相加作用どちらになるだろうか」「相乗作用に留意して複数の薬品を調剤する」などがあります。
その他にも、「うま味の相乗作用を知り、料理に応用する」「英語圏における金融と実体経済の相乗作用を分析する」「仲間は個々の成長に相乗作用をもたらす」「看護の知識とスキルで相乗作用を生み出す」などがあります。
相乗作用とは、いくつかの要因が重なると、個々に働く時の作用の和よりも多くの効力を表わす作用を意味する四字熟語です。相乗作用の「作用」は、他のものに力を及ぼして影響を与えることや、その働きを表します。
相乗作用という言葉は、特に、薬学分野で用いられています。いくつかの薬品を組み合わせた場合に、個々の薬品の作用よりも多くの効力を発揮する作用を表します。
相乗作用の対義語
相乗作用の対義語・反対語としては、、今までの行きがかりを一切捨てて元の何もない状態に戻すことを意味する「ご破算」、互いに差し引いて損得がなくなることを意味する「帳消し」などがあります。
相乗作用の類語
相乗作用の類語・類義語としては、いくつかの要素が重なり合ってや互いに作用し合ってを意味する「あいまって」、有効需要を増加させたときに増加させた額より大きく国民所得が拡大する現象を意味する「乗数効果」などがあります。
相乗効果の例文
この言葉がよく使われる場面としては、二つ以上の要因が同時に働いて、個々の要因がもたらす以上の効果を出すことを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「相乗効果を図る」とは、単体で得られる以上の結果を期待して何かを行うことです。「図る」は、考えをめぐらすことや計画することを表します。
相乗作用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、いくつかの要因が重なると、個々に働く時の作用の和よりも多くの効力を表わす作用を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「相加作用」と「相乗作用」の違いは、相加作用は単に各薬品の効果が出ることに対し、相乗作用は単に薬品を組み合わせた以上の新たな作用が出ることを表します。
相乗効果と相乗作用という言葉は、どちらも「複数の要因が働いて、高い結果が出ること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、好ましい結果が出ることを表現したい時は「相乗効果」を、強い作用が出ることを表現したい時は「相乗作用」を使うようにしましょう。