似た意味を持つ「ほだされる」と「身につまされる」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ほだされる」「身につまされる」という言葉は、どちらも人の気持ちや立場などに引きつけられて自分も同じように感じてしまうことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ほだされる」と「身につまされる」の違い
「ほだされる」と「身につまされる」の意味の違い
「ほだされる」と「身につまされる」の違いを分かりやすく言うと、「ほだされる」とは相手から直接的な説得をされること、「身につまされる」とは相手から直接的な説得がないことという違いです。
「ほだされる」と「身につまされる」の使い方の違い
一つ目の「ほだされる」を使った分かりやすい例としては、「彼の健気な気持ちにほだされる」「相手にほだされて別れることができません」「情にほだされてお金を貸してしまいました」「彼女の熱情にほだされて一肌脱ぐことにしました」などがあります。
二つ目の「身につまされる」を使った分かりやすい例としては、「明日は我が身と身につまされる」「彼女の苦労話で身につまされる」「今回の生放送は身につまされる視聴者も多かったはずだ」「彼の話しに身につまされる」などがあります。
「ほだされる」と「身につまされる」の使い分け方
「ほだされる」と「身につまされる」はどちらも人の気持ちや立場などに引きつけられて自分も同じように感じてしまうことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「ほだされる」は情に引きつけられて心や行動の自由が縛られることを意味しており、相手から直接的な説得をされて身動きが取れなくなる場合に使います。
一方、「身につまされる」は他人の不幸が我が事のように辛く感じることを意味しており、相手から直接的な説得はないものの、自分の身に置き換えて感じてしまうときに使う言葉というのが違いです。
また、「身につまされる」は結局は他人事としていて、その時に感じるだけの気持ちであることが多いでしょう。
「ほだされる」と「身につまされる」の英語表記の違い
「ほだされる」を英語にすると「bond」「moved」となり、例えば上記の「彼女の熱情にほだされて一肌脱ぐことにしました」を英語にすると「Overcome Moved by her fervor, I agreed to help her」となります。
一方、「身につまされる」を英語にすると「sympathize with」となり、例えば上記の「彼の話しに身につまされる」を英語にすると「I sympathized with hisr story」となります。
「ほだされる」の意味
「ほだされる」とは
「ほだされる」とは、情に引きつけられて心や行動の自由が縛られることを意味しています。
「ほだされる」の漢字表記
「ほだされる」を漢字にすると、「絆される」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限りひらがなの「ほだされる」を使うようにしましょう。
表現方法は「情にほだされる」「熱意にほだされる」「人にほだされる」
「情にほだされる」「熱意にほだされる」「人にほだされる」などが、「ほだされる」を使った一般的な言い回しになります。
「ほだされる」の使い方
「ほだされる」を使った分かりやすい例としては、「彼女の情にほだされてしまった」「彼にほだされて別れるのを辞めました」「部下の熱意にほだされて企画の手伝いをすることにしました」「彼女の優しさにほだされて付き合うことにしました」などがあります。
「ほだされる」は情に引きつけられて心や行動の自由が縛られること、つまり、人情に引かれてそうしてしまったというニュアンスで使います。
ただし、「絆される」は自由が縛られるという意味を持つ言葉ですが、強制するや騙されるというニュアンスはないので注意しましょう。あくまでも、相手の情に引かれてそうしてしまった場合に使う言葉です。
「ほだされる」の語源
「ほだされる」の語源は「ほだす」です。「ほだす」とは繋ぎとめることや自由を束縛することを意味する言葉で、これに受身の助動詞である「れる」が合わさり、情に引きつけられて心や行動の自由が縛られることの意味で使われるようになりました。
「ほだされる」の類語
「ほだされる」の類語・類義語としては、他人の身の上になってその感情をともにすることを意味する「ほだされる」、物事をなしつづける気力がなくなることを意味する「根負け」、相手の思うままに動かされることを意味する「丸め込まれる」などがあります。
「身につまされる」の意味
「身につまされる」とは
「身につまされる」とは、他人の不幸が我が事のように辛く感じることを意味しています。
表現方法は「身につまされる思い」「身につまされる話」
「身につまされる思い」「身につまされる話」などが、「身につまされる」を使った一般的な言い回しになります。
「身につまされる」の使い方
「身につまされる」を使った分かりやすい例としては、「この事件の全貌を知り、身につまされるような思いをしました」「大地震の被害者の話を直接聞いたが、身につまされる思いでした」「彼の話を聞くと身につまされる境遇だった」などがあります。
「身につまされる」は他人の不幸が我が事のように辛く感じることで、他人境遇が自分のことのように感じて同情や哀れみを覚えた場合に使う言葉です。
ただし、個人的には縁のない場合でも自分の身に置き換えて感じてしまうときに使います。そのため、結局は他人事としていてそのとき感じるだけの気持ちのことです
また、他人の幸運に影響されるのではなく、失敗や不幸などのマイナスなイメージに対してのみ使う言葉になります。
「身につまされる」の語源
「身につまされる」の語源は「つまされる」です。「つまされる」とは強く心を動かされることや自分の身にひきくらべて同情や哀切の念が起こることを意味しています。
これに、自分のことを意味する「身」が合わさり、他人の不幸が我が事のように辛く感じることを「身につまされると言うようになりました。
「身につまされる」の類語
「身につまされる」の類語・類義語としては、あまりにも気の毒で見ているのが非常につらいことを意味する「見るに忍びない」、他人事だと呑気に思ってはいられないことを意味する「人事でない」などがあります。
「ほだされる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、情に引きつけられて心や行動の自由が縛られることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「ほだされる」は人情に引かれてそうするというニュアンスで使う言葉です。
「身につまされる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人の不幸が我が事のように辛く感じることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「身につまされる」はマイナスのイメージで使う言葉です。
「ほだされる」と「身につまされる」はどちらも人の気持ちや立場などに引きつけられて自分も同じように感じてしまうことを表します。
どちらの言葉を使うか迷った場合、相手から直接的な説得をされるのが「ほだされる」、相手から直接的な説得がないのが「身につまされる」と覚えておきましょう。