【万難を排して】と【万全を期して】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「万難を排して」(読み方:ばんなんをはいして)と「万全を期して」(読み方:ばんぜんをきして)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「万難を排して」と「万全を期して」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。




「万難を排して」と「万全を期して」の違い

「万難を排して」と「万全を期して」の意味の違い

「万難を排して」と「万全を期して」の違いを分かりやすく言うと、「万難を排して」とは何としてものこと、「万全を期して」とは少しも手落ちがないようにすることという違いです。

「万難を排して」と「万全を期して」の使い方の違い

一つ目の「万難を排して」を使った分かりやすい例としては、「明日の忘年会は万難を排して出席します」「私は万全を排してでも彼女との約束を守るつもりです」「万難を排してでもこの契約を結びたい」「万難を排して目的を遂げる決心をしました」などがあります。

二つ目の「万全を期して」を使った分かりやすい例としては、「私たちは万全を期して試合に臨む」「万全を期してコンサートのリハーサルを行う」「社内コンペに万全を期して挑んだものの失敗に終わってしまった」「私たちは試合のために万全を期して厳し練習をしました」などがあります。

「万難を排して」と「万全を期して」の使い分け方

「万難を排して」と「万全を期して」は似た言葉ですが、意味は異なっているので間違えないように注意しましょう。

「万難を排して」は何としてもやどんなことがあってものことを意味しており、何としてもやり遂げたいと強く願う場合に使う言葉です。

一方、「万全を期して」は少しも手落ちがないようにすることを意味しており、手落ちや抜かりがないように完璧な状態にする場合に使う言葉になります。

「万難を排して」と「万全を期して」の英語表記の違い

「万難を排して」を英語にすると「at any cost」「at all costs」となり、例えば上記の「万難を排して目的を遂げる決心をしました」を英語にすると「I will accomplish my purpose at any cost」となります。

一方、「万全を期して」を英語にすると「leave nothing to chance」「take every precaution」「make absolutely sure」となり、例えば上記の「私たちは試合のために万全を期して厳し練習をしました」を英語にすると「We practiced hard and left nothing to chance for the match」となります。

「万難を排して」の意味

「万難を排して」とは

「万難を排して」とは、何としてものことを意味しています。

「万難を排して」の読み方

「万難を排して」の読み方は「ばんなんをはいして」です。誤って「まんなんをはいして」などと読まないようにしましょう。また、「はいして」は「廃して」や「配して」と間違えやすいですが、誤用なので気をつける必要があります。

表現方法は「万難を排して参加」「万難を排して馳せ参じます」「万難を排して臨む」

「万難を排して参加」「万難を排して馳せ参じます」「万難を排して臨む」などが、「万難を排して」を使った一般的な言い回しになります。

「万難を排して」の使い方

「万難を排して」を使った分かりやすい例としては、「町内会のボランティアには万難を排して参加するように言われている」「明日の飲み会は万難を排してでも参加する予定です」「今日の試合は万難を排してでも結果を残したい」などがあります。

「万難を排して」は、様々な困難やあらゆる障害のことを意味する「万難」に、押し退けることや退けることを意味する「排する」が合わって、様々な困難やあらゆる障害があっても押し退けるという意味になり、これが転じて、何としてものことの意味で使われるようになりました。

「万難を排して」は、「参加する」「遂行する」「出席する」「実行する」などのように、行動を表す動詞とセットで使うのが特徴です。

「万難を排して」は自分だけではなく、「来年6月に結婚式を行うので万難を排してご参加ください」のように、相手に対して使うこともできます。ただし、何としても参加してくださいという意味になるので、目上の人に対しては使えないと覚えておきましょう。

また、「万難を排してご参加ください」と言われても強制参加という意味はないので、「せっかくのお誘いですが」「大変申し訳ありませんが」などのような丁寧言葉で返事をすれば、断っても問題ありません。

「万難を排して」の類語

「万難を排して」の類語・類義語としては、どんなことがあってものことを意味する「何が何でも」、どうやってでものことを意味する「何としても」、何がなんでものことを意味する「是が非でも」などがあります。

「万全を期して」の意味

「万全を期して」とは

「万全を期して」とは、少しも手落ちがないようにすることを意味しています。

「万全を期して」の読み方

「万全を期して」の読み方は「ばんぜんをきして」です。誤って「まんぜんをきして」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「万全を期して臨む」「万全を期して休む」「万全を期してください」

「万全を期して臨む」「万全を期して休む」「万全を期してください」「万全を期して参ります」などが、「万全を期して」を使った一般的な言い回しになります。

「万全を期して」の使い方

「万全を期して」を使った分かりやすい例としては、「今回の試験は万全を期して臨んだものの失敗に終わりました」「このような事故が起こらないように万全を期して安全対策を行なう」「体調は回復したものの万全を期して今日一日お休みすることにしました」などがあります。

「万全を期して」は少しも手落ちのないことや極めて完全なことを意味する「万全」に、そうなるようにはかることを意味する「期して」が合わさり、少しも手落ちがないようにすることの意味で使われている言葉です。

「万全を期して」は日常生活とビジネスシーンどちらでも使うことができます。特にビジネスシーンでは、仕事にぬかりがないよう準備を行なう場合や、準備万端なので絶対に失敗することはありませんと宣言する場合に使います。

また、「万全を期して」は敬語表現ではないので、目上の人に対して使う場合は前後の文章に敬語表現を入れるようにしましょう。

「万全を期して」は「万全を期してお休みすることにしました」「怪我で数か月欠場していた選手が万全を期して復帰した」などのように、体調に対しても使うことができる言葉です。

「万全を期して」の類語

「万全を期して」の類語・類義語としては、注意した上にも注意することを意味する「念には念を入れる」、用心の上にも用心深く物事を行うことを意味する「石橋の叩いて渡る」、前もって用心していれば失敗することがないことを意味する「転ばぬ先の杖」などがあります。

「万難を排して」の例文

1.来月行われる社内交流会は、万難を排してでもご参加ください。
2.私の人生がかかった試験なので、万難を排して成功させる必要があります。
3.万難を排してご参加くださいと言われたが、その日は大好きなバンドのコンサートがあるので、参加するつもりはありません。
4.学生時代の親友が結婚式を挙げるので、遠方から万難を排して駆けつけました。
5.来年の6月に結婚式を挙げることになりました。万難を排してご参加ください。
6.明日の説明会には社長も出席されることになったので、動線やホール内の不審物のチェックなど、万全を期して対応に当たってくれ。
7.いつも忘年会に参加しない同僚が万難を排してでも参加したいと言っていたが、何か魂胆があるのだろうか。
8.町内会長から町内のボランティア活動には万難を排して参加するように言われているが、そもそもボランティアとは自発的なものではないのか。
9.たとえ日々の仕事で疲れていても、周りで面白いことであれば万難を排してでも行くのがこの男の流儀であった。
10.私にとっては初めての大型案件だったので、多少の不安はあっても、万難を排してこの仕事を引き受けたいと思ったのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、何としてものことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「万難を排して」は何としてもやり遂げたいことがある場合に使う言葉です。

「万全を期して」の例文

1.万全を期して対応しているものの、問い合わせの数が多すぎて対応できていない状況です。
2.熱はだいぶ下がったものの、万全を期して今週いっぱいはお休みすることにしました。
3.1発勝負のトーナメントでは何が起こるか分からないなので、万全を期して試合に臨むつもりです。
4.左足アキレス腱断裂という大怪我をしたため、万全を期して今シーズンは全休することにしました。
5.本イベントは熱中症対策には万全を期しており、安全面に配慮した運営をしています。
6.明日の説明会には社長も出席されることになったので、動線やホール内の不審物のチェックなど、万全を期して対応に当たってくれ。
7.我々のチームも万全を期して試合に臨んだものの、相手チームの猛攻勢になす術もなく、大敗を喫してしまいました。
8.いくら万全を期してリハーサルを行ったとしても、本番には魔物が棲んでいるもので、台詞が出てこないこともあるのだ。
9.初のデザインコンペには万全を期して準備をしたものの、有名デザイナーの所属する大手の圧勝で終わってしまう。
10.我が社のチームは大手との契約を獲得するため、万全を期して何度もプレゼンのリハーサルを行いました。

この言葉がよく使われる場面としては、少しも手落ちがないようにすることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「万全を期して」は体調に対しても使うことができる言葉です。

「万難を排して」と「万全を期して」は似た言葉ですが意味は異なっています。どちらの言葉を使うか迷った場合、何としてものことのことを表現したい時は「万難を期して」、少しも手落ちがないようにすることを表現したい時は「万全を期して」を使うと覚えておきましょう。

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