似た意味を持つ「自己完結」(読み方:じこかんけつ)と「自己解決」(読み方:じこかいけつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「自己完結」と「自己解決」という言葉は、どちらも「自分で決着を付けること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
自己完結と自己解決の違い
自己完結と自己解決の意味の違い
自己完結と自己解決の違いを分かりやすく言うと、自己完結とは自分で物事の結着を付けることを表し、自己解決とは自分で問題やトラブルの結着を付けることを表すという違いです。
自己完結と自己解決の使い方の違い
一つ目の自己完結を使った分かりやすい例としては、「自己完結型水洗トイレを公園に設置します」「この仕事は自己完結型人間に向いているでしょう」「若者は自己完結能力が高いものです」「自衛隊は災害に強い自己完結型組織です」などがあります。
二つ目の自己解決を使った分かりやすい例としては、「自己解決能力か高いかどうか診断します」「自己解決能力がない人に頼られています」「ユーザーの自己解決を促すFAQを作成する」「質問した件ですが自己解決しました」などがあります。
自己完結と自己解決の使い分け方
自己完結と自己解決という言葉は、どちらも他者に頼らずに自分自身で決着を付けることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
自己完結とは、自分ひとりで物事を始末したり、自分自身の中で物事を終わらせることを意味します。上記の例文の「自衛隊は自己完結型組織」とは、自衛隊が食料や電気通信あるいは移動など行動の遂行に必要なインフラを自分たち用意し、業務を遂行することができる組織であることを表しています。
自己解決とは、自分自身で問題に決着を付けることや、疑問のあるところを自分で解きほぐして納得のいくようにすることを意味します。「自己解決を促すFAQ」とは、自分でトラブルや問題を解決できるよう、想定される質問とそれに対する回答が簡潔にまとめられたもののことです。
つまり、二つの言葉は、結着を付ける対象により使い分ける必要があります。自分で結着を付ける対象が物事の場合は自己完結を、問題やトラブルの場合は自己解決を用いるようにしましょう。
自己完結と自己解決の英語表記の違い
自己完結を英語にすると「self-containment」「autonomy」となり、例えば上記の「自己完結型水洗トイレ」を英語にすると「self-containment type flush toilet」となります。
一方、自己解決を英語にすると「self-solving」となり、例えば上記の「自己解決能力」を英語にすると「self problem-solving skills」となります。
自己完結の意味
自己完結とは
自己完結とは、ある物事について、自分自身の中だけで納得したり決着したりしているさまを意味しています。
自己完結の使い方
自己完結を使った分かりやすい例としては、「自己完結型の人に向いてる仕事には何がありますか」「英語の発音は自己完結で習得できるものではありません」「自己完結型救命センターに配属されました」などがあります。
その他にも、「仕事を通して自己完結能力が身に付きました」「自己完結型の男性に魅力を感じます」「自己完結する人の特徴として自信家であることが挙げられます」「共同作業よりも自己完結する仕事が好きです」などがあります。
自己完結の「自己」は自分自身のこと、「完結」は 完全に終了してまとまること、続いていた物事がすっかり終わることです。自己完結とは、自分ひとりで処理することや、自分自身の中だけで決着したり納得しているさまを意味する言葉です。
自己完結という言葉は、自分だけで全て結着できたというポジティブな意味で用いられる場合と、ひとりよがりに決着をつけたというネガティブな意味の場合があります。文脈によりイメージが変わるので、捉え方に注意しましょう。
自己完結の対義語
自己完結の対義語・反対語としては、まだ完全にはでき上がっていないことや未完成を意味する「未完」、他に頼って存在または生活することを意味する「依存」などがあります。
自己完結の類語
自己完結の類語・類義語としては、自分自身や自分の言動に自分で満足することを意味する「自己満足」、他人の意見を無視して自分だけでよいと思い込んでいることを意味する「ひとりよがり」、他をかえりみず自分の都合や立場のみを考えて行動することを意味する「自己中心」などがあります。
自己解決の意味
自己解決とは
自己解決とは、自分自身で問題をうまく処理することを意味しています。
自己解決の使い方
自己解決を使った分かりやすい例としては、「子供の自己解決力を育てよう」「メールの設定は自己解決しました」「自己解決能力が低い後輩が質問ばかりしてくる」「自己解決型の人は悩みを一人で抱えがちです」などがあります。
その他にも、「自己PRで自己解決能力をアピールする」「英語を通じて自己発信力と問題解決力を育みます」「昨日英語の問題は自己解決しました」「自己解決能力がない人とは仕事をしたくありません」などがあります。
自己解決の「解決」は、 事件や問題などをうまく処理すること、 疑問のあるところを解きほぐして納得のいくようにすることを表します。自分自身を表す「自己」と結びつき、自己解決とは、自ら進んで物事に取り組み問題を片付けることを意味する言葉です。
「自己解決力」の意味
上記の例文にある「自己解決力」とは、発生した課題や問題の原因を自ら探り解決策を講じて実行できるスキルのことです。「自己解決能力」とも言います。
自己解決の対義語
自己解決の対義語・反対語としては、紛争や問題がまだ解決されていないことを意味する「未解決」などがあります。
自己解決の類語
自己解決の類語・類義語としては、困難な状態などを切り開いて解決の糸口をつけることを意味する「打開」、自分で問題やもめごとを起こしてから収拾を持ちかけ報酬を受け取ろうとすることを意味する「マッチポンプ」などがあります。
自己完結の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分自身のなかで物事を終わらせることを表現したい時などが挙げられます。
例文2や例文5の「自己完結型人間」とは、自分自身の物差しだけを頼りに行動する人のことです。「型」は事物を類別する際に共通した特徴を表しているタイプを表します。
自己解決の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分自身で問題などを解決することを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「自己解決型」と「他者依存型」のどちらであるかは、心理学用語で「ローカスオブコントロール」と表します。統制の所在であり、行動を統制する意識が自己にあるか他者にあるかを分類する考え方のことです。
自己完結と自己解決という言葉は、どちらも「自分自身で決着を付けること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、自分で物事の結着を付けることを表現したい時は「自己完結」を、自分で問題やトラブルの結着を付けることを表現したい時は「自己解決」を使うようにしましょう。