似た意味を持つ「自己呈示」(読み方:じこていじ)と「自己開示」(読み方:じこかいじ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「自己呈示」と「自己開示」という言葉は、どちらも「自分の見せ方」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
自己呈示と自己開示の違い
自己呈示と自己開示の意味の違い
自己呈示と自己開示の違いを分かりやすく言うと、自己呈示とは自分をより良く見せようとすること、自己開示とは自分をありのままに見せることという違いです。
自己呈示と自己開示の使い方の違い
一つ目の自己呈示を使った分かりやすい例としては、「男子は運動において自己呈示をしがちです」「恋愛感情を抱くほど自己呈示動機は高くなります」「自己呈示しない人などいるのだろうか」「自己呈示の社会心理学を研究する」などがあります。
二つ目の自己開示を使った分かりやすい例としては、「自己開示はコミュニケーションの過程です」「自己開示しない人の特徴に慎重であることが挙げられます」「誰にでも自己開示できる人が羨ましい」「自己開示はメリットだけでなくデメリットもあります」などがあります。
自己呈示と自己開示の使い分け方
自己呈示と自己開示という言葉は、どちらも心理学用語であり、他者に対して自分を示すことを表します。二つの言葉は似たような表現をしますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
自己呈示とは、自分をより良く見せようとする振る舞いを意味します。初対面の人に感じが良いと思われたい、気になる異性から好かれたい、ビジネスの場では仕事ができると思われたいなど、目的をもって自分の印象を操作しようとする言動を自己呈示と言います。
自己開示とは、他人に自分をありのまま見せることを意味します。自分に関するプライベートな情報を相手に話したり、強みだけでなく弱みもさらけ出す行為を表します。自己開示は、人間関係を築くうえで必要なプロセスだと言われています。
つまり、自己呈示は自分を良く見せようとすることであり、自己開示はありのままの自分を見せることです。二つの言葉は、印象を操作しようとする意図があるか否かにおいて、相反する意味を持つ言葉だと言えるでしょう。
自己呈示と自己開示の英語表記の違い
自己呈示を英語にすると「self-presentation」となり、例えば上記の「運動における自己呈示」を英語にすると「self-presentation in exercise」となります。
一方、自己開示を英語にすると「self-disclosure」となり、例えば上記の「自己開示はコミュニケーションの過程です」を英語にすると「self-disclosure is a process of communication 」となります。
自己呈示の意味
自己呈示とは
自己呈示とは、自分にとって望ましい印象を与えようとして意図的に振る舞うことを意味しています。
自己呈示の読み方
自己呈示の読み方は「じこていじ」です。誤って「じきていじ」「じこていし」などと読まないようにしましょう。
自己呈示の使い方
自己呈示を使った分かりやすい例としては、「自己呈示には5つの種類があります」「自己呈示のメリットと注意点をお話します」「英語能力について自己呈示する」「自己呈示規範内在化尺度をテーマにした論文を書く」などがあります。
その他にも、「対人不安における自己呈示欲求について解説します」「主張的自己呈示を具体例を挙げて説明します」「恋愛感情と自己呈示動機は相関性があります」「今はSNSを使って自己呈示する時代です」などがあります。
自己呈示とは、他人に対して自分をより良く見せようと振る舞ったり、好ましい印象を与えようとすることを意味します。「自己」は自分自身、「呈示」は差し出して見せることを表す熟語です。心理学では「セルフ・プレゼンテーション」とも呼ばれています。
「主張的自己呈示」と「防衛的自己呈示」の違い
自己呈示には「主張的自己呈示」と「防衛的自己呈示」があります。「主張的自己呈示」は、肯定的な印象を得るために振る舞うことです。一方の「防衛的自己呈示」は、失敗をしてしまった時に行う、自分へのネガティブなイメージを回避するための行為です。
自己呈示の対義語
自己呈示の対義語・反対語としては、自分を劣ったものとしていやしめることを意味する「卑下」、控え目な態度をとることを意味する「謙遜」などがあります。
自己呈示の類語
自己呈示の類語・類義語としては、第三者への自分の印象を好都合なものになるよう情報の出し方を操作することを意味する「印象操作」、他人が自分をどう見ているかを気にしすぎる状態を意味する「自意識過剰」、他者から認められたいという欲求を意味する「承認欲求」などがあります。
自己開示の意味
自己開示とは
自己開示とは、自分自身に関する情報を、何の意図もなく、言語を介してありのままに伝えることを意味しています。
自己開示の使い方
自己開示を使った分かりやすい例としては、「初対面の人に自己開示することが苦手です」「自己開示の目的は何ですか」「上手な自己開示のやり方を教えて欲しい」「恋愛に自己開示は有効です」などがあります。
その他にも、「自己開示の返報性を恋愛に活用する」「自己開示のストレスで涙が出ることがあります」「私は英語の方が不思議と自己開示しやすい」「自己開示してくれる女性は自分に気があるのだろうか」などがあります。
自己開示とは、臨床心理学者シドニー・ジュラードによって提唱された心理学用語です。自己開示は、他人に自分のことをさらけ出すことであり、自分の強みだけでなく弱点なども含めて示すことです。自己開示の「開示」は、はっきり示すことを意味します。
「自己開示の返報性」の意味
上記の例文にある「自己開示の返報性」とは、自分が自己開示をした時にに、相手も相応の秘密を開示しなければいけない気持ちになる心理現象のことです。心理テクニックとして、日常生活や恋愛の場面だけでなくビジネスにも活用されています。
自己開示の対義語
自己開示の対義語・反対語としては、節操を知り自分をひけらかさないことを意味する「自己韜晦」(読み方:じことうかい)、控え目で慎ましいことを意味する「謙虚」などがあります。
自己開示の類語
自己開示の類語・類義語としては、自分の存在や価値をことさら人前で見せつけようとすることを意味する「自己顕示」、自分を人々や世論などに広く訴えることを意味する「自己アピール」、対面の人などに自分の名前や職業などを自分で知らせることを意味する「自己紹介」などがあります。
自己呈示の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他者から見られる自分の印象を操作しようとすることを表現したい時などが挙げられます。
例文3について、自己呈示には相手に良い印象を与えて惹きつけるメリットがある一方、見せかけの印象が見破られた場合に否定的な評価を受けるリスクがあるというデメリットがあります。
自己開示の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人に自分のことをさらけ出すこと表現したい時などが挙げられます。
例文4や例文5について、自己開示をすると、自分を理解してもらえて信頼関係を築きやすくなったり、他者と打ち解けやすくなるというメリットがあります。
自己呈示と自己開示という言葉は、どちらも「自分の見せ方」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、自分を良く見せようとすることを表現したい時は「自己呈示」を、自分をありのままに見せることを表現したい時は「自己開示」を使うようにしましょう。