似た意味を持つ「ファクター」と「エレメント」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ファクター」と「エレメント」という言葉は、「要素」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
ファクターとエレメントの違い
ファクターとエレメントの意味の違い
ファクターとエレメントの違いを分かりやすく言うと、ファクターは結果の原因を表現する時に使い、エレメントは基本的な要素を表現する時に使うという違いです。
ファクターとエレメントの使い方の違い
一つ目のファクターを使った分かりやすい例としては、「進めているプロジェクトにとって重要なファクターになっていく」「ヒューマンファクターが後々ヒューマンエラーになり得る」「志望校決定におけるファクターは一つではないらしい」などがあります。
二つ目のエレメントを使った分かりやすい例としては、「すべてのエレメントを表示する設定にする」「十二星座は四つのエレメントに分類される」「オイルエレメントの交換をそろそろ考えている」などがあります。
ファクターとエレメントの使い分け方
ファクターとエレメントはどちらも物事の要素を意味する言葉ですが、示すものが若干異なります。
ファクターは、結果をもたらすような要素、原因を意味する言葉で、特にビジネスシーンではトラブルの原因を表すこともあります。
一方のエレメントも要素を意味しますが、基本的な成分を意味する言葉であるため何かに影響を与えるようなものではないこともあり、必ずしも原因や因子として扱われるファクターとは異なります。
つまり、ファクターはその物事が引き起こされることになった原因を指すのに対して、エレメントは物事の中身やそれを構成する項目を指す言葉として使われるという違いがあり、これは「要因」と「要素」の違いとも言えます。
ファクターとエレメントの英語表記の違い
ファクターを英語にすると「factor」となり、例えば上記の「重要なファクター」を英語にすると「an important factor」となります。
一方、エレメントを英語にすると「element」となり、例えば上記の「すべてのエレメント」を英語にすると「every element」となります。
ファクターの意味
ファクターとは
ファクターとは、結果をもたらすような要素や因子を意味しています。
ファクターの使い方
ファクターを使った分かりやすい例としては、「リスクファクターを減らす努力をするよう言われた」「過去のデータは今後の予想におけるファクターとなるだろう」「他人にとっての副産物は自分にとってのファクターの一つだった」などがあります。
その他にも、「サバイバルファクターは事故発生直後では究明できていなかった」「これまでの成績は検討する上での大きなファクターと考えられる」「評価されるようなファクターを分析して今後に生かす」などがあります。
ファクターは英語で「factor」と表記され、要因や要素、原因を意味する言葉として使われ、その他にも数学においては因数や因子も意味します。カタカナ語として使う場合も同じ意味を持ちます。
「リスクファクター」の意味
上記例文の「リスクファクター」とは、危険な状態を招く可能性のあるものを意味し、医学的には特定の疾病を引き起こす確率が高くなると考えられている要素を指し、経済的には貨幣価値を変動させるようなものを指すなどの使われ方があります。
「サバイバルファクター」の意味
また、上記例文の「サバイバルファクター」とは、鉄道や航空機などの事故において乗客の生死を分けたとされる原因を意味する言葉です。
ファクターの対義語
ファクターの対義語・反対語としては、ある行為などから生じた結末を意味する「結果」、物事の作用が他のものに及ぶことを意味する「影響」があります。
ファクターの類語
ファクターの類語・類義語としては、最も大切な要素を意味する「エッセンス」、きっかけを意味する「モーメント」、根本的な原因を意味する「素因」、本当の原因を意味する「真因」などがあります。
エレメントの意味
エレメントとは
エレメントとは、基本的な要素や成分を意味しています。
エレメントの使い方
エレメントを使った分かりやすい例としては、「哲学者らによって提唱されたエレメントについて学習する」「占星術におけるエレメントは誕生日で決まる星座から調べられる」「文化を構成するエレメントはその文化によって異なる」などがあります。
その他にも、「エレメントにクセがないほど読みやすい文字のように感じる」「幼少期の経験や環境は人格形成のエレメントである」「共通のエレメントを持っていることでその企業の製品であることが一目でわかる」などがあります。
エレメントは英語で「element」と表記され、要素や成分、原理を意味する言葉として使われています。自然界や生物の住む場所を構成するものである四大元素を指すこともあります。
古代ギリシアでは、万物の根源を水とする者、空気とする者、土地とする者、火とする者が存在し、これらを統合して四元素説が唱えられることとなりますが、これら「水」「空気」「土地」「火」の一つ一つをエレメントと呼ぶようになります。
また、一つのフォントに共通したデザインを指す言葉として、ハネやハライなど文字を構成する部分に見られるデザイン上の特徴も指します。例えば、明朝体とゴシック体ではハライなどの線の太さが異なりますが、これがフォントにおけるエレメントの差異です。
エレメントの対義語
エレメントの対義語・反対語としては、一つのものを作り上げている組み合わせを意味する「構造」、組み立てられたものを意味する「組織」があります。
エレメントの類語
エレメントの類語・類義語としては、全体の機能とって重要な役割を果たす部品を意味する「素子」、構成要素となる部分を意味する「コンポーネント」、情報提供における映像や文書などの個々の情報を意味する「コンテンツ」などがあります。
ファクターの例文
この言葉がよく使われる場面としては、結果をもたらすような要素や因子を意味する時などが挙げられます。
例文2の「ノックアウトファクター」とは、選択や採用を行わない理由を意味する言葉です。ボクシングにおける一発のパンチによるノックアウトには、稼いできた小さなポイントの積み重ねでは太刀打ちできないことが由来となった言葉です。
エレメントの例文
この言葉がよく使われる場面としては、基本的な要素や成分を意味する時などが挙げられます。
例文1の「インテリアエレメント」とは、インテリアを構成する家具や照明器具などの要素を指す言葉です。
ファクターとエレメントは、どちらも「要素」を表します。どちらを使うか迷った場合は、結果の原因を表す場合は「ファクター」を、基本的な要素を表す場合は「エレメント」を使うと覚えておけば間違いありません。