似た意味を持つ「無邪気」(読み方:むじゃき)と「純粋」(読み方:じゅんすい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「無邪気」と「純粋」という言葉は、どちらも「素直な性格」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
無邪気と純粋の違い
無邪気と純粋の意味の違い
無邪気と純粋の違いを分かりやすく言うと、無邪気とは悪意がなくてあどけないさまを表し、純粋とは心が清らかで汚れのないさまを表すという違いです。
無邪気と純粋の使い方の違い
一つ目の無邪気を使った分かりやすい例としては、「無邪気な子供の頃に戻りたい」「あなたの無邪気さレベルを診断しましょう」「少女のような無邪気な女性に魅力を感じる」「娘の無邪気な失言に冷や汗が出た」などがあります。
二つ目の純粋を使った分かりやすい例としては、「他の雑多な微生物から分離し純粋培養する」「純粋な人は感情を素直に表現します」「スズランの花言葉は純粋です」「純粋に学問を追い求める」などがあります。
無邪気と純粋の使い分け方
無邪気と純粋という言葉は、どちらも性格や態度などが捻くれておらず素直なさまを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
無邪気とは、素直でなんの悪気もないことを意味します。汚れやわだかまり、飾り気のない素直な気持ちを表し、あどけない子どもに対して使われることが多い言葉です。また、「無邪気な失言」のように思慮が浅いことを皮肉っていうこともあります。
純粋とは、他のものがまじっていないこと意味します。「純粋培養」とは、細菌などを他の種類と混在させずに一種類だけ培養することです。また、「純粋な人」のように、人に対しては邪念や私欲のないことを表します。「純粋理性批判」や「純粋数学」など哲学や学問などにも用いられる言葉です。
つまり、無邪気とは悪意がなくてあどけない様子を表し、純粋とは心が清らかで汚れのない様子を表現します。また、無邪気はおもに人に対して使用しますが、純粋は人だけでなく物質や哲学などに対しても用いられます。これらが、二つの言葉の明確な違いになります。
無邪気と純粋の英語表記の違い
無邪気を英語にすると「innocent」「lack of affectation」「artlessness」となり、例えば上記の「無邪気な子供」を英語にすると「an innocent child」となります。
一方、純粋を英語にすると「pure」「genuine」「unalloyed」となり、例えば上記の「純粋培養する」を英語にすると「cultivate a pure culture」となります。
無邪気の意味
無邪気とは
無邪気とは、素直で悪気がないこと、いつわりや作為がないことを意味しています。
その他にも、「あどけなく可愛らしいこと」「思慮に欠けること」の意味も持っています。
表現方法は「無邪気な人」「無邪気な笑顔」「無邪気な女性」
「無邪気な人」「無邪気な笑顔」「無邪気な女性」などが、無邪気を使った一般的な言い回しです。
無邪気の使い方
「子どもの無邪気ないたずらが微笑ましい」「英語の先生は無邪気な人です」「彼女を自由が丘に誘ったら無邪気に喜んでくれた」などの文中で使われている無邪気は、「素直で悪気がないこと」の意味で使われています。
一方、「無邪気な女性が好きです」「動物占いで無邪気なひつじと診断された」の文中で使われている無邪気は「あどけなく可愛らしいこと」の意味で、「値段を考えずに無邪気にラーメンを頼んでしまった」の文中で使われている無邪気は「思慮に欠けること」の意味で使われています。
無邪気の「邪気」は、人に害を与えようとする心や悪意を表します。打消しを表す「無」と結び付き、無邪気とは、悪気がなく素直で可愛いらしいさまを意味します。また、思慮が浅く、考えが足りないような言動も表す言葉です。
無邪気という言葉は、世俗にそまっていない、飾り気のない素直な気持ちを持つ子どもに対して使われることが多い言葉です。子どものように素直な大人に対しても使用することができます。ただし、思慮に欠けるというネガティブな意味もあるため、使い方には注意が必要です。
無邪気の対義語
無邪気の対義語・反対語としては、何事をするにも損得を考えて行うさまを意味する「打算的」、自分の利益だけを追求しようとするさまを意味する「利己的」、他人を憎み害を加えようとする気持ちを意味する「悪意」などがあります。
無邪気の類語
無邪気の類語・類義語としては、飾ったり気どったりせずありのままであることを意味する「天真爛漫」、人柄が純真で全く嫌みがないさまを意味する「天衣無縫」、邪心のかけらもなく純粋であることを意味する「純真無垢」などがあります。
純粋の意味
純粋とは
純粋とは、まじりけのないこと、雑多なものがまじっていないことを意味しています。
その他にも、「邪念や私欲のないこと、気持ちに打算や掛け引きのないこと」「そのことだけを一途に行うこと、ひたむきなこと」「哲学で、偶然的なものを含まず、それ自体の内的な普遍性・必然性」の意味も持っています。
表現方法は「純粋と言われる」「純粋な人」「純粋な気持ち」
「純粋と言われる」「純粋な人」「純粋な気持ち」などが、純粋を使った一般的な言い回しです。
純粋の使い方
「国産の純粋はちみつを探しています」「水や塩は異物を含まない純粋な物質です」の文中で使われている純粋は「まじりけのないこと」の意味で、「彼女は心が美しい純粋無垢な人です」「不倫に純粋な愛なんてない」の文中で使われている純粋は「邪念や私欲のないこと」の意味で使われています。
一方、「好きなものを純粋に求める」「英語に対して純粋な情熱を持っている」などの文中で使われている純粋は「ひたむきなこと」の意味で、「カントの純粋理性批判を読み解く」の文中で使われている純粋は「哲学で、内的な普遍性や必然性」の意味で使われています。
純粋とは、上記の例文にあるように複数の意味を持つ言葉です。そのため、文脈により意味を捉える必要があります。純粋の「純」は偽りやまじりけのないさまを表し、「粋」は種類や質の違ったものがまじっていないさまを表します。
「純粋無垢」の意味
上記の例文にある「純粋無垢」とは、清らかでまじりけがないこと、雑多な汚れがまじっていないことを意味します。また、人をだましたり疑ったりすることがないことも表す四字熟語です。「純真無垢」とも言います。
「純粋持株会社」の意味
純粋を用いた日本語には、「純粋持株会社」があります。純粋持株会社とは、持ち株会社の形態の一つであり、自ら製造や販売といった事業は行わず、株式を所有することで他の会社の事業活動を支配することのみを事業目的としています。
純粋の対義語
純粋の対義語・反対語としては、純真でないことやまじりけのあることを意味する「不純」、悪意やたくらみを秘めたよこしまな考えを意味する「邪念」、けがれていることを意味する「不浄」などがあります。
純粋の類語
純粋の類語・類義語としては、他の要素などが混入していないことを意味する「単純」、まじりけのないさまを意味する「純然」、心が清らかで私欲がないことを意味する「清廉」、汚れがないさまを意味する「ピュア」などがあります。
無邪気の例文
この言葉がよく使われる場面としては、素直でなんの悪気もないこと、あどけなく可愛いこと、深い考えのないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「無邪気な人」とは、嘘や偽りはなく、素直な態度や行動をとるような人のことです。例文5のように、無邪気という言葉は、深い考えのないことを皮肉っていうこともあります。
純粋の例文
この言葉がよく使われる場面としては、雑多なものがまじっていないこと、気持ちに打算や掛け引きのないこと、ひたむきなこと、哲学で内的な普遍性や必然性を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「純粋な人」の意味は、自分の気持ちに正直で真っ直ぐな性格の人です。例文5の「純粋理性」とは、カント哲学で、経験から独立した先天的認識能力および先天的意志能力を意味します。
無邪気と純粋という言葉は、どちらも「素直な性格」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、悪意がなくてあどけないさまを表現したい時は「無邪気」を、心が清らかで汚れのないさまを表現したい時は「純粋」を使うようにしましょう。