似た日本語の「念ずれば通ず」(読み方:ねんずればつうず)と「窮すれば通ず」(読み方:きゅうすればつうず)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「念ずれば通ず」と「窮すれば通ず」という言葉は、間違えやすい日本語なのでご注意下さい。
「念ずれば通ず」と「窮すれば通ず」の違い
「念ずれば通ず」は「窮すれば通ず」の間違い
「念ずれば通ず」と「窮すれば通ず」の違いを分かりやすく言うと、「念ずれば通ず」とは「窮すれば通ず」の間違った使い方、「窮すれば通ず」とは事態が行き詰まって困りきるとかえって思いがけない活路が開けてくることです。
「念ずれば通ず」は誤字
一般的には「念ずれば通ず」という言葉は存在しません。言葉が似ていることから、「窮すれば通ず」のことを間違えて「念ずれば通ず」を使っている人がほとんどです。
「窮すれば通ず」は正しい日本語
正しい言葉である「窮すれば通ず」を使った分かりやすい例としては、「窮すれば通ずなので諦めずに挑戦してみようと思います」「私のサッカー人生は窮すれば通ずでやってきました」「私の好きな言葉は窮すれば通ずです」などがあります。
「窮すれば通ず」という言葉はあっても、「念ずれば通ず」という言葉は存在しません。同時に「窮すれば通ず」という単語の意味について「事態が行き詰まって困りきるとかえって思いがけない活路が開けてくること」と覚えておきましょう。
「窮すれば通ず」の英語表記
「窮すれば通ず」を英語にすると「When you are in real trouble, you will find a way out」となります。
「念ずれば通ず」の意味
「念ずれば通ず」とは
「念ずれば通ず」とは、「窮すれば通ず」の間違った使われ方です。
「念ずれば通ず」という言葉は存在せず、間違った言葉として広まっています。言葉が似ているため、「窮すれば通ず」と混同してしまう人が多いようですが、間違った言葉なので使わないように気を付けましょう。
「念ずれば通ず」と間違えやすい理由
「念ずれば通ず」と「窮すれば通ず」を間違ってしまう理由としては、「念ずれば通ず」の「念ずれば」と「窮すれば通ず」の意味が似ているのが原因です。
「念ずれば」は物事の成就などを強く願うことや耐え忍ぶことをを意味しており、「窮すれば通ず」は事態が行き詰まって困りきるとかえって思いがけない活路が開けてくることを意味しています。
したがって、どちらも耐えてれば活路が開くというニュアンスになっているので混同してしまっているのでしょう。
しかし、「念ずれば」という言葉は使われているものの、「念ずれば通ず」という表現は存在しないので、「念ずれば通ず」は間違った日本語表記になります。
間違った言葉である「念ずれば通ず」の「念」を使った別の言葉としては、注意して確かめることを意味する「念押し」、細部まで注意が行き届いてることを意味する「念が入る」、全く思い残すことがなくなることを意味する「念が晴れる」などがあります。
「窮すれば通ず」の意味
「窮すれば通ず」とは
「窮すれば通ず」とは、事態が行き詰まって困りきるとかえって思いがけない活路が開けてくることを意味しています。
「窮すれば通じる」や「窮すれば通ずる」とすることもできるが、「窮すれば通ず」を使うのが一般的になっているため、こちらを使うようにしましょう。
「窮すれば通ず」の読み方
「窮すれば通ず」の読み方は「きゅうすればつうず」です。誤って「きゅうすればとおず」などと読まないようにしましょう。
「窮すれば通ず」の使い方
「窮すれば通ず」を使った分かりやすい例としては、「私の座右の銘は窮すれば通ずです」「窮すれば通ずで思いついたのがこの方法でした」「土壇場になると良いアイデアが浮かんでくるのは窮すれば通ずと言えるだろう」などがあります。
「窮すれば通ず」は事態が行き詰まって困りきるとかえって思いがけない活路が開けてくることを意味することわざです。ことわざとは、古くから言い伝えられてきた教訓または風刺の意味を含んだ短い言葉のことを意味しています。
「窮すれば通ず」を使う上で注意しなければならないのは、追い込まれた状況でしか使えないという点です。物事が行き詰った際に励ましたり、応援するというニュアンスで使います。また、厳しい状況をみんなで乗り越えた時の労いの言葉としても使うことができます。
「窮すれば通ず」の由来
「窮すれば通ず」の語源は、中国の古典『易経』です。『易経』とは、およそ3000年前に発展した易という学問を経典としてまとめた書物で、この中に「窮すれば即ち変ず、変ずれば即ち通ず、通ずれば即ち久し」という一文がありました。
これを日本語に訳すと「行き詰まったときは何か変わらざるを得なくなる、何かが変わると新しい道が開ける、その繰り返しをしていくことで長く道を続かせることができること」となります。
これが転じて、事態が行き詰まって困りきるとかえって思いがけない活路が開けてくることを「窮すれば通ず」と言うようになりました。
「窮すれば通ず」の類語
「窮すれば通ず」の類語・類義語としては、発明は必要があるところから生まれることを意味する「必要は発明の母」、物事はあれこれ心配するより実行してみれば案外容易いことを意味する「案ずるより産むが易し」などがあります。
「念ずれば通ず」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、「窮すれば通ず」という言葉を間違えて「念ずれば通ず」と表現している時などが挙げられます。
「念ずれば通ず」という言葉は辞書にも載っていませんし、広く使われている言葉ではなく、「窮すれば通ず」を間違えて使っている可能性が高いです。
「念ずれば通ず」という言葉の意味を理解した上で、あえて使っている場合以外は、「念ずれば通ず」ではなく、「窮すれば通ず」と表現するのが正しい使い方になります。
「窮すれば通ず」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、事態が行き詰まって困りきるとかえって思いがけない活路が開けてくることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「窮すれば通ず」はビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「念ずれば通ず」と「窮すれば通ず」どちらを使うか迷った場合は、「念ずれば通ず」は辞書にない言葉なので、辞書に載っている言葉の「窮すれば通ず」を使うようにしましょう。