似た意味を持つ「無作為」(読み方:むさくい)と「無造作」(読み方:むぞうさ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「無作為」と「無造作」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
無作為と無造作の違い
無作為と無造作の意味の違い
無作為と無造作の違いを分かりやすく言うと、無作為とは偶然であるさまを表し、無造作とは大雑把であるさまを表すという違いです。
無作為と無造作の使い方の違い
一つ目の無作為を使った分かりやすい例としては、「対象者を無作為に選んでアンケートを行う」「渡航者の2%を無作為に抽出して検査を行う」「世論調査を無作為抽出法で実施する」「グループを無作為化して試験しました」などがあります。
二つ目の無造作を使った分かりやすい例としては、「人を無造作に信用してはいけません」「読みかけの本を机に無造作に置く」「無造作ヘアのやり方を動画で研究しています」「無造作に扱うと型崩れをおこします」などがあります。
無作為と無造作の使い分け方
無作為と無造作という言葉は、字面がよく似ているため混同して使用されることがありますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
無作為とは、意志で作り出すのではなく、偶然に任せることを意味します。英語の「ランダム」であり、特に、確率論や統計学で標本をとるのに意志を交えないことを表します。研究の対象者を複数のグループにランダムに分け、治療法などの効果を検証することを「無作為化比較試験」と言います。
無造作とは、気軽に物事を行うこと、念入りではなく大雑把なことを意味します。もともとは、たやすいことや容易であることを表しましたが、丁寧ではないという意味で使用されることが多い言葉です。また、昨今では「無造作ヘア」のように、わざと自然体にみせるようにすることも表します。
つまり、無作為とは意図しないことですが、無造作は意図的に行う場合もあります。二つの言葉は、似ていますが意味は大きく異なりますので、きちんと使い分けるようにしましょう。
無作為と無造作の英語表記の違い
無作為を英語にすると「random」「unintended」となり、例えば上記の「無作為に選ぶ」を英語にすると「choose at random」となります。一方、無造作を英語にすると「easy」「off-hand」「careless」となり、例えば上記の「無造作に」を英語にすると「with ease」となります。
無作為の意味
無作為とは
無作為とは、作為がないこと、偶然に任せることを意味しています。
無作為の読み方
無作為の読み方は「むさくい」です。誤って「むさい」「ぶさくい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「無作為に選ぶ」「無作為に抽出する」「無作為に取り出す」
「無作為に選ぶ」「無作為に抽出する」「無作為に取り出す」などが、無作為を使った一般的な言い回しです。
無作為の使い方
無作為を使った分かりやすい例としては、「無作為に選ばれた市民が討議を行った」「英語力調査を全国無作為抽出で行う」「無作為化によってバイアスを減らす」「母集団から標本を無作為に抽出する」などがあります。
その他にも、「今回は無作為抽出法で調査します」「次のステップで無作為化対照試験を行います」「無作為化比較試験で効果を検証しよう」「各学年から1学級ずつ無作為に選ぶことにしました」などがあります。
無作為の「作為」とは、つくり上げること、ことさら手を加えることです。打消しの接頭語である「無」と結び付き、無作為とは、なりゆきに任せて手を加えないこと、意思が関与せず偶然に任せることを意味します。
「無作為抽出法」の意味
無作為を用いた日本語には「無作為抽出法」があります。無作為抽出法とは、 母集団から標本を抜き出す方法の一つであり、特別の意図を働かせずに母集団から標本を抜き出す方法のことです。「任意抽出法」「ランダムサンプリング」とも言います。
無作為の対義語
無作為の対義語・反対語としては、人が自分の意志で作り出すことを意味する「作為」、わざとすることを意味する「故意」、必ずそうなることを意味する「必然」などがあります。
無作為の類語
無作為の類語・類義語としては、手にふれるものや行き当たるものすべてを意味する「手当たり次第」、思いのままにまかせることを意味する「任意」、無作為や任意であることを意味する「ランダム」などがあります。
無造作の意味
無造作とは
無造作とは、たやすいことを意味しています。
その他にも「技巧をこらさないこと、念入りでないこと」の意味も持っています。
表現方法は「無造作に置く」「無造作に置かれている」「無造作に置かれる」
「無造作に置く」「無造作に置かれている」「無造作に置かれる」などが、無造作を使った一般的な言い回しです。
無造作の使い方
「彼のリクエストを無造作に聞き入れてしまった」「仕事を無造作に片付ける」「無造作に解ける問題はつまらない」「思っていたよりも無造作に処理できた」などの文中で使われている無造作は、「たやすいこと」の意味で使われています。
一方、「英語のテキストを無造作に置く」「メンズワックスで無造作ヘアを作る」「無造作パーマなら女子ウケ間違いないだろう」「美容院で無造作マッシュをオーダーする」などの文中で使われている無造作は、「念入りでないこと」の意味で使われています。
無造作は「無雑作」とも書きますが、一般的には「無造作」と表記されています。
無造作の「造作」は、つくり出すこと、つくり上げることを表します。否定を表す「無」と結び付き、無造作とは、容易であること、技巧をこらしていないことを意味します。二つの意味がありますが、日常的には「気負わず事に当たるさま」を表す言葉です。
「無造作ヘア」の意味
無造作を用いた日本語には「無造作ヘア」があります。無造作ヘアとは、ヘアワックスなどを用いて気流れをふわっとさせることにより、無造作な印象を与える髪型のことです。これに関連して、「無造作パーマ」「無造作センターパート」「無造作マッシュ」などがあります。
無造作の対義語
無造作の対義語・反対語としては、注意深くて軽々しく行動しないことを意味する「慎重」、注意深く入念にすることを意味する「丁寧」などがあります。
無造作の類語
無造作の類語・類義語としては、簡単に事を行うさまや容易に事態が進展するさまを意味する「やすやす」、骨を折ったりするようなところが少しもないさまを意味する「楽々」、たやすくやってのけるさまや容易を意味する「軽々」、いいかげんで大ざっぱなことを意味する「粗雑」などがあります。
無作為の例文
この言葉がよく使われる場面としては、作為を加えないこと、任意であることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「無作為に過ごす」とは、何かしようとせずに偶然に身を任せて時間を費やすことを意味します。例文3の「ランダム」と「無作為」の違いは、英語か日本語かの違いであり、ほぼ同じような意味で使用されています。
無造作の例文
この言葉がよく使われる場面としては、たやすいさまや簡単で手軽であること、念入りでないさまうや簡潔なことを表現したい時などが挙げられます。
例文1例文2にある無造作は、たやすいさまや簡単で手軽であることの意味で用いられています。例文3から例文5の無造作は、念入りでないさまや簡潔なことの意味で用いられています。例文4の「無造作に置く」とは、気を遣わずに雑に物を置く様子を表しています。
無作為と無造作という言葉は、似ていますが意味は大きく異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、意図しないことや偶然である様子を表現したい時は「無作為」を、簡単であったり大雑把な様子を表現したい時は「無造作」を使うようにしましょう。