似た意味を持つ「復讐」(読み方:ふくしゅう)と「報復」(読み方:ほうふく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「復讐」と「報復」という言葉は、どちらも「仕返しをすること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
復讐と報復の違い
復讐と報復の意味の違い
復讐と報復の違いを分かりやすく言うと、復讐とは個人間の感情的な仕返しを表し、報復とは個人間あるいは国家間の冷静な仕返しを表すという違いです。
復讐と報復の使い方の違い
一つ目の復讐を使った分かりやすい例としては、「いつかあの男に復讐するつもりです」「裏切った二人への復讐を誓った」「復讐劇ドラマにハマっています」「私を侮辱した英語の先生に復讐したい」などがあります。
二つ目の報復を使った分かりやすい例としては、「内部告発をした者は人事面で報復を受ける」「テロリストによる報復攻撃への警戒を呼びかける」「報復として空爆を強化する」「報復措置への警戒感が高まっている」などがあります。
復讐と報復の使い分け方
復讐と報復という言葉は、どちらも受けた仕打ちに対して仕返しをすることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
復讐とは、自らの利益を侵害された個人が、その報復として加害者に対し害悪を与え返すことを意味します。相手に対する憎しみや恨みといった感情から仕返しをする行為であり、感情的な行動であることが多くあります。
一方、報復とは、何かしらの危害を加えらたことに対して、同等の仕返しを相手にしようとすることです。個人間に限らず、国家間の場合にも使用できる言葉であり、計画的で冷静な印象を与える表現です。
つまり、復讐は主に個人間で使用される言葉ですが、報復は個人間だけでなく国家間でも用いることができます。また、復讐は感情的なニュアンスが強く、報復は冷静なニュアンスがあることも、二つの言葉の違いになります。
復讐と報復の使い分け方
復讐も報復も英語にすると「revenge」「retaliation」となり、例えば上記の「復讐する」を英語にすると「take one’s revenge」となります。
復讐の意味
復讐とは
復讐とは、敵討ちをすること、仕返しをすることを意味しています。
復讐の読み方
復讐の読み方は「ふくしゅう」です。誤って「ふくしょう」「ふくけい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「復讐したい」「復讐する」「復讐が怖い」
「復讐したい」「復讐する」「復讐が怖い」などが、復讐を使った一般的な言い回しです。
復讐の使い方
復讐を使った分かりやすい例としては、「パワハラ上司に復讐する効果的な方法はありますか」「非道なセクハラ男を復讐せよ」「シロツメクサの花言葉は復讐です」「ドロドロした人間関係が渦巻く復讐劇を描いた作品です」などがあります。
その他にも、「復讐したい気持ちをリセットして前向きになろう」「復讐代行屋は漫画の世界だけでなく実在するらしい」「この復讐的な外交政策には賛否両論あります」「私は復讐心が強いようです」「合法的な復讐方法を教えます」などがあります。
復讐の書き方は、「往復」「回復」の「復」と、「怨讐」「讐敵」の「讐」を組み合わせて表記します。同じ読み方をする熟語に「復習」がありますが、意味が全く異なるので書き間違いに注意して下さい。
復讐の「復」は受けた事に対してそれに見合う行為を相手に行うこと、「讐」は恨みに思って仕返しをすることを表します。復讐とは、自分や仲間に危害を加えた相手に対し、仕返しをすることを意味する言葉です。
「復讐劇」の意味
復讐を用いた日本語には「復讐劇」があります。殺害された肉親や恋人のために復讐するなど、復讐をモチーフにした演劇作品のことです。「復讐悲劇」とも言います。
復讐の対義語
復讐の対義語・反対語としては、怒りを抑えて人の過ちを許すことを意味する「堪忍」などがあります。
復讐の類語
復讐の類語・類義語としては、仕返しをすることを意味する「仇討ち」、すぐに仕返しをすることを意味する「しっぺ返し」、相手からやられた仕返しにこちらも同じようなことをやることを意味する「やり返す」、復讐することや借りを返すことを意味する「リベンジ」などがあります。
報復の意味
報復とは
報復とは、仕返しをすることを意味しています。
その他にも「国際間で、ある国の不当な行為に対して同様に不当な行為で報いること」の意味も持っています。
表現方法は「報復を受ける」「報復を与える」「報復措置」
「報復を受ける」「報復を与える」「報復措置」などが、報復を使った一般的な言い回しです。
報復の使い方
「内部告発をしたら報復人事されないか心配です」「被害者が加害者に手を下す報復刑が制定されるかもしれない」「つい報復性夜ふかしをしてしまい今日も寝不足だ」「プロ野球にも報復死球はあります」などの文中で使われている報復は、「仕返しをすること」の意味で使われています。
一方、「経済的な報復措置を行う」「政府は報復関税措置を決定しました」「相手国は報復行為を正当化している」「日本に対して報復措置を講じていくと表明した」などの文中で使われている報復は、「ある国に不当な行為で報いること」の意味で使われています。
報復という言葉は、2つの意味があるため、文脈により意味を捉える必要があります。報復の「報」は人がした事に対しそれ相当のお返しをすること、「復」は仕返しをすることを表す漢字であり、報復とは、不当な酷い仕打ちを受けた者が相手にやり返すことを意味します。
「報復性夜ふかし」の意味
上記の例文にある「報復性夜ふかし」とは、中国のSNSで生まれたと言われるネットスラングです。日中の不満を解消するために、その日の睡眠時間を削って好きな事を満喫しようとすることを意味します。「リベンジ夜更かし」とも言います。
「報復関税」の意味
報復を用いた日本語には「報復関税」があります。報復関税とは、ある国が自国の輸出品に不当に高い関税をかけた場合、その報復として相手国からの輸入品に対して高い関税をかけることです。
報復の対義語
報復の対義語・反対語としては、他人の過失や要求などを許してやることを意味する「勘弁」などがあります。
報復の類語
報復の類語・類義語としては、恨みに対して仕返しをすることを意味する「返報」、負けたことのある相手を破って名誉を取り戻すことを意味する「雪辱」、自分を密告した人に仕返しをすることを意味する「お礼参り」などがあります。
復讐の例文
この言葉がよく使われる場面としては、敵を討つこと、仕返しをすることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「復讐心」とは、危害やストレスを与えた相手に対して報復したい、仕返しをしたい気持ちを指す言葉です。例文4の「復讐代行」とは、依頼者から報酬を受け取って、その依頼者が恨みを持っている人に対する復讐を請け負う仕事です。
報復の例文
この言葉がよく使われる場面としては、仕返しをすること、相手国の不当行為を中止させるため同様に不当な行為を行うことを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある報復攻撃とは、先制攻撃を受けた場合に、相手国の戦力を無力化する目的で核戦力を用いて報復のために攻撃を実施することです。例文5の「報復措置」とは、国家間で仕返しをすることであり、他国から受けた不当な行為に対して制裁や復讐を行うことです。
復讐と報復という言葉は、どちらも「仕返しをすること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、個人間の感情的な仕返しを表現したい時は「復讐」を、個人間あるいは国家間の冷静な仕返しを表現したい時は「報復」を使うようにしましょう。