似た意味を持つ「パトロン」と「タニマチ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「パトロン」と「タニマチ」という言葉は、「様々な面で援助する人」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
パトロンとタニマチの違い
パトロンとタニマチの意味の違い
パトロンとタニマチの違いを分かりやすく言うと、パトロンは異性への特別な援助も表現する時に使い、タニマチは才能ある個人や団体への援助を表現する時に使うという違いです。
パトロンとタニマチの使い方の違い
一つ目のパトロンを使った分かりやすい例としては、「主要なパトロンであった企業の心を掴み続けていきたい」「パトロンがいなければ後世に残る芸術作品は生まれなかったのだろう」「パトロンにお金を貢がれることに罪悪感がある」などがあります。
二つ目のタニマチを使った分かりやすい例としては、「力士は優勝するとタニマチからご祝儀を貰えるらしい」「タニマチになるための試験などはないが年寄株の購入には莫大な金銭を必要とする」「タニマチには女性もいる」などがあります。
パトロンとタニマチの使い分け方
パトロンとタニマチはどちらも、金銭や物資の援助を行う人を表す言葉で、同じような意味で使われていますが、ニュアンスは若干異なります。
パトロンは、芸術家に対する援助を行う人を表す言葉として多く使われていました。今日では、金銭だけでなく物資や人脈による援助者や、得意客を指す言葉としても使われていますが、特に異性に対する援助を行う人に対して使われています。
一方のタニマチは、もともと相撲業界で使われていた言葉で、力士の面倒を見ることを意味していました。今では芸能界などでも幅広く使われている言葉ですが、後援会やファンクラブという言葉が使われることの方が多くなりました。
つまり、どちらも金銭や物資の援助をする人を表しますが、パトロンは異性との間に特別な関係を望んで援助を行う人にも使われ、タニマチは異性との間に特別な関係を望まずに援助を行う人に使われることが多いという違いがあります。
また、芸術家に対する援助者やごひいきを表す言葉としてパトロンを、力士に対する援助者を表す言葉としてタニマチを使うと区別されることもあります。
パトロンとタニマチの英語表記の違い
パトロンを英語にすると「patron」「patroness」となり、例えば上記の「主要なパトロン」を英語にすると「main patrons」となります。
一方、タニマチを英語にすると「tanimachi」「patron」となり、例えば上記の「タニマチからのご祝儀」を英語にすると「tips from tanimachi」となります。
パトロンの意味
パトロンとは
パトロンとは、芸術家や芸能人などを経済的に支援する人を意味しています。
その他にも、異性に対する援助を行い、面倒を見る人を意味する言葉としても使われています。
表現方法は「パトロンになる」「パトロンになってくれる人」「パトロンがいる女」
「パトロンになる」「パトロンになってくれる人」「パトロンがいる女」などが、パトロンを使った一般的な言い回しです。
パトロンの使い方
「芸能人のパトロンは今でも存在するらしい」「芸術家のパトロンになれば後世に残る自分のための作品が生まれる」「パトロンに対する見返りがほぼないこともあった」などの文中で使われているパトロンは、「経済的支援をする人」の意味で使われています。
一方、「パトロンにバッグを買ってもらったと自慢げだった」「彼女ほど容姿端麗であればパトロンくらいいる」「パトロンの存在を明かさないまま彼女と付き合っている」などの文中で使われているパトロンは、「異性の面倒を見る人」の意味で使われています。
パトロンは英語で「patron」「patroness」と表記され、前者は男性の支援者に、後者は女性の支援者を対象として使われます。もとは芸術家の保護者や支援者といった意味で使われていました。
父を意味する「pater」から派生したラテン語の「patronus」が語源となった言葉で、古代から世界各地で芸術分野にはパトロンの存在が要となっており、それら支援活動は「芸術パトロネージュ」と呼ばれています。
今日では旅館などの贔屓客、常連やお得意様と呼ばれる人たちを、スポーツ業界では観客やファンをパトロンと呼ぶこともあり、利益の配当を受け取る権利を持つことになります。
また、上記例文の「パトロンにバッグを買ってもらった」のように使われる場合は、異性に対して特別な関係性を求めて援助を行う人を指すため、不健全なイメージを与える言葉と認識されることがあります。
パトロンの類語
パトロンの類語・類義語としては、文化や芸術活動への企業による支援を意味する「メセナ」、自分の気に入った者に対して力添えをすることを意味する「ひいき」、金銭を苦労せずに得る手段として認識される対象を意味する「金づる」などがあります。
タニマチの意味
タニマチとは
タニマチとは、後援者やひいきを意味しています。
タニマチの使い方
タニマチを使った分かりやすい例としては、「昔は力士と豪遊するタニマチの姿も繁華街では見られた」「タニマチは関取のために数百万を飛ばす覚悟が必要だろう」「相撲業界におけるタニマチからのご祝儀を要らないと言う人もいる」などがあります。
その他にも、「タニマチを作るなと口酸っぱく言っていた監督がいた」「タニマチという言葉ではなく別の言い方をすることが多い」「タカラジェンヌのタニマチになるには息子娘のように面倒を見る必要がある」などがあります。
タニマチは漢字で「谷町」と書き表す言葉で相撲業界用語です。相撲だけでなく、プロレスなどのスポーツ業界、歌舞伎や演歌、宝塚歌劇団などの芸能界でも使われています。
タニマチの由来
現在の大阪市中央区にある谷町が語源となった言葉ですが、この町の外科医が力士に小遣いを与えたり無償治療を行い面倒を見たことや、谷町の別の医師が相撲好きで力士から治療費を受け取らなかったことに由来するなど諸説あります。
相撲取りのタニマチになるメリット
相撲取りという特別な才能を持つ人たちを連れて歩いて施しを与えるところを他者に見せつけることで、自分に大きな力があることをアピールすることができることがタニマチにとってのメリットと言えます。
具体的に、力士らの飲食費はもちろん、私生活における金銭援助、アルバイトの紹介、相撲チケットの購入や客集めなどの援助を行います。その他にも、力士らが巻き込まれたトラブルの処理も行います。
こういった援助をそのまますぐに頂く「ごっつぁん体質」という言葉も、タニマチという言葉とよく使われていますが、相撲業界以外で「ごっつぁん体質」が使われることはありません。
タニマチの類語
タニマチの類語・類義語としては、事業などの資金を出してくれる人を意味する「スポンサー」、商人や芸人などを贔屓にして引き立て面倒をよく見ることを意味する「愛顧者」、特定の選手やチームを応援する人々を意味する「応援者」などがあります。
パトロンの例文
この言葉がよく使われる場面としては、芸術家や芸能人などを経済的に支援する人を意味する時などが挙げられます。
例文4や例文5のように、異性に対して援助を行い、面倒を見る人を意味する言葉としても使われています。
タニマチの例文
この言葉がよく使われる場面としては、後援者やひいきを意味する時などが挙げられます。
例文1から例文3のように相撲業界の隠語として使われることがほとんどですが、例文4や例文5のようにスポーツ業界や芸能界でも使われることがあります。
パトロンとタニマチは、どちらも「様々な面で援助する人」を表します。どちらを使うか迷った場合は、異性への特別な援助もを表す場合は「パトロン」を、才能ある個人や団体への援助を表す場合は「タニマチ」を使うと覚えておけば間違いありません。