似た意味を持つ「自身」(読み方:じしん)と「自分」(読み方:じぶん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「自身」と「自分」という言葉は、どちらも「当の本人」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
自身と自分の違い
自身と自分の意味の違い
自身と自分の違いを分かりやすく言うと、自身とは代名詞を強調する意味があり、自分とは一人称代名詞の意味があるという違いです。
自身と自分の使い方の違い
一つ目の自身を使った分かりやすい例としては、「あなた自身で確認してください」「その問題は私たち自身で解決すべきだろう」「間違っていると彼自身も感じているはずです」「自身の強みを正確に認識する」などがあります。
二つ目の自分を使った分かりやすい例としては、「友人に恵まれた自分は幸せ者です」「自分が何とかしましょう」「アプリで自分の現在地を知らせる」「自分の電話番号が分からなくなってしまった」「自分で買わないけどもらって嬉しいものは何ですか」などがあります。
自身と自分の使い分け方
自身と自分という言葉は、どちらも当の本人を表し、「おのれ」「自己」といった意味を持ちます。この意味で使われている上記の「自身の強みを認識する」は、「自分の強みを認識する」と言い換えることができます。
さらに、二つの言葉はそれぞれ特有の意味を持っています。自身という言葉は、「あなた自身」「彼自身」などの使い方で、代名詞を強調する役割を持っています。自分という言葉にはこの意味がないため、「あなた自身」の自身を自分に置きかることはできません。
また、自分という言葉は「私」「俺」「僕」のような一人称代名詞の役割を持っています。自身という言葉にはこの意味がないので、「自分は幸せ者だ」「自分が行きます」の自分を自身に置き換えることはできません。
自身と自分という言葉には、共通する意味と特有の意味があることに注意しましょう。
自身と自分の英語表記の違い
自身も自分も英語にすると「oneself」「self」となり、例えば上記の「あなた自身で」を英語にすると「by yourself」となります。
自身の意味
自身とは
自身とは、自分みずから、自分を意味しています。
その他にも、「他の何ものでもなくそれみずからの意で、他の語に付けてそれを強調する語」の意味も持っています。
表現方法は「自身を律する」「自身をいたわる」「自身で行う」
「自身を律する」「自身をいたわる」「自身で行う」などが、自身を使った一般的な言い回しです。
自身の使い方
「ビジネスや自身の成長のために改善を繰り返す」「自分自身を一言で表すとお調子者です」「私自身の将来について悩んでいます」などの文中で使われている自身は、「自分みずから、自分」の意味で使われています。
一方、「SNSは自身の体験や思いを発信するツールです」「ご自身の健康を把握していますか」「思いをあなた自身の言葉で伝えよう」「自身番は町人によって運営されました」などの文中で使われている自身は、「他の何ものでもなく、それみずから」の意味で使われています。
自身の読み方は「じしん」です。同じ読み方をする熟語に「自信」や「地震」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
自身とは、大きく二つの意味があり、「おのれ」「自己」という意味と「そのもの」「自体」という意味があります。多くは代名詞に「自身」をつけ、その代名詞を強調する意味合いとして使用されています。「自分自身」は、自分のことを強めていう語です。
「自身番」の意味
自身を用いた日本語には「自身番」があります。自身番とは、江戸時代に武家地の辻番に対し、大都会の町地に設けられた自警組織の一つです。地主らが町内を守ったことが始まりのため、この名称が生まれたと言われています。
自身の対義語
自身の対義語・反対語としては、一緒になって物事をする一方の人を意味する「相手」、自分以外のほかのものを意味する「他者」などがあります。
自身の類語
自身の類語・類義語としては、一人称の人代名詞を意味する「われ」、その事に直接関係のある人を意味する「本人」、紛れもなくそのようであることを意味する「そのもの」、そのものだけについて言うことを意味する「自体」などがあります。
自分の意味
自分とは
自分とは、反射代名詞、その人自身、おのれを意味しています。
その他にも、「一人称の人代名詞、われ、わたくし」の意味も持っています。
表現方法は「自分に自信がない」「自分を責める」「自分を信じる」
「自分に自信がない」「自分を責める」「自分を信じる」などが、自分を使った一般的な言い回しです。
自分の使い方
「自分に似合う髪型を教えてください」「自分に自信がないので恋愛できません」「自分が嫌いすぎて辛い」「自分のパソコンのスペックを調べる」「自分に向いてる仕事を診断してください」「自分勝手な人だな」などの文中で使われている自分は、「その人自身、おのれ」の意味で使われています。
一方、「自分は恵まれている方だと思います」「自分はモラハラ妻かもしれません」「話し合いには自分が行きます」「自分はあなたのロボットではありません」などの文中で使われている自分は、「一人称の人代名詞」の意味で使われています。
自分とは、「その人」や「おのれ」を意味し、一人称や二人称などの人称に関係なく、着目している人やもの自身を指す代名詞です。また、 一人称の人代名詞として「われ」「わたくし」を意味する言葉です。
「自分勝手」の意味
上記の例文にある「自分勝手」とは、他人の事は考えず、自分の都合だけを考えることを意味します。「身勝手」「手前勝手」などと言い換えることができます。
「自分史」の意味
自分を用いた日本語には「自分史」があります。自分史とは、自分自身の歴史のことであり、自分のこれまでの人生あるいは反省を綴ったものです。著名人の書く自伝や自叙伝に対して、庶民の個人史という意味合いで用いられています。
自分の対義語
自分の対義語・反対語としては、ほかの人や別の人を意味する「他人」、相手の人や相手方を意味する「先方」などがあります。
自分の類語
自分の類語・類義語としては、自分を強めていう語を意味する「自分自身」、おのれや自身を意味する「自己」、反射代名詞でその人またはそのもの自身を意味する「己」、当事者や当人を意味する「本人」などがあります。
自身の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分みずから、自己、その人、そのもの自体を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある自身は、「自分みずから、自己」の意味で用いられています。例文3から例文5の自身は、「その人、そのもの自体」の意味で使用されています。
自分の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自称、わたくし、その人自身、自己を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある自分は、一人称として用いられ「わたくし」「わたし」「ぼく」「俺」などと言い換えることができます。例文2から例文5の自分は、その人自身を表現しています。
自身と自分という言葉は、どちらも「何かをする当の本人」を表します。さらに「自身」は他の語に付いて強調する語として、「自分」は一人称の代名詞として使用することができることを覚えておきましょう。