【腐敗】と【発酵】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「腐敗」(読み方:ふはい)と「発酵」(読み方:はっこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「腐敗」と「発酵」という言葉は、どちらも「微生物の力によって食品が変化すること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




腐敗と発酵の違い

腐敗と発酵の違いを分かりやすく言うと、腐敗とは食品が人間にとって有害に変化する現象、発酵とは食品が人間にとって有益に変化する現象という違いです。

一つ目の腐敗を使った分かりやすい例としては、「速やかに対処しなければ腐敗はすぐに広がるだろう」「種々の細菌が食品の腐敗に関与している」「日本も腐敗防止法を制定すべきだと思いませんか」などがあります。

二つ目の発酵を使った分かりやすい例としては、「腸活のために発酵食品を毎日欠かさず摂っています」「発酵性食物繊維が豊富な食べ物を一覧表にしました」「発酵食品はなぜ身体に良いか説明してもらった」などがあります。

腐敗と発酵という言葉は、どちらも微生物の作用によって食品や物質が変化する現象を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

腐敗とは、微生物の働きによって有機物が分解され、食品などが不快な臭いや味になる現象を意味します。また、比喩的に、組織や人間の道徳的に堕落することを表す際にも使用されています。人間にとって有害である場合に使用されるマイナスイメージの言葉です。

発酵とは、微生物の働きによって物質や食品が変化する現象を意味しますが、特に、人間にとって有用な変化が起こることを言います。発酵はプラスイメージの言葉であり、「発酵食品」は、免疫力が高まる、腸内環境を改善する、美味しくなるなどのメリットがあります。

つまり、腐敗とは人間にとって有害な微生物の作用であり、発酵とは人間にとって有益な微生物の作用です。二つの言葉は、人にとって好ましいか好ましくないかという点において、相反する意味を持つ言葉だと言えるでしょう。

腐敗を英語にすると「rot」「decay」「corruption」となり、例えば上記の「腐敗はすぐに広がるだろう」を英語にすると「rot can spread quickly」となります。

一方、発酵を英語にすると「fermentation」となり、例えば上記の「発酵食品」を英語にすると「fermented food」となります。

腐敗の意味

腐敗とは、有機物が微生物の作用によって分解され、有毒物質を生じたり悪臭を放つようになったりすることを意味しています。

その他にも、「精神が堕落し、悪徳がはびこること」の意味も持っています。

「放置していたら腐敗菌が増殖していました」「腐敗した異木の果実を手に入れる」「生ゴミの腐敗臭で頭が痛くなりました」などの文中で使われている腐敗は、「有機物が微生物によって分解され、有毒物質を生じたりすること」の意味で使われています。

一方、「腐敗した証券業界を暴いたルポルタージュを読む」「腐敗行為を未然に防止する」「政府は腐敗を根絶するために取り組んでいます」などの文中で使われている腐敗は、「精神が堕落し悪徳がはびこること」の意味で使われています。

腐敗の読み方は「ふはい」です。誤って「ふばい」などと読まないようにしましょう。

腐敗とは、上記に例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。腐敗の「腐」は食べ物が微生物の作用によって悪臭あるものに変化すること、「敗」は崩れてだめになることを表す漢字です。

腐敗を用いた日本語には「腐敗認識指数」があります。腐敗認識指数とは、各国の公的部門の腐敗度を、0(極めて腐敗している)から100(極めてクリーン)まで指数化したものです。点数が高いほど汚職が少ないことを表します。

腐敗の対義語・反対語としては、微生物の働きによって食物が人間にとって有益に作用することを意味する「発酵」などがあります。

腐敗の類語・類義語としては、腐って形がくずれるこを意味する「腐乱」、食物が傷ついたり腐ったりして悪くなることを意味する「傷む」、身持ちに締まりのないことを意味する「自堕落」、道徳的な気風がすたれて健全な精神を失うことを意味する「退廃」などがあります。

発酵の意味

発酵とは、微生物の働きで有機物が分解され、特定の物質を生成する現象、狭義には無酸素状態で糖質が分解されることを意味しています。

発酵を使った分かりやすい例としては、「パンに発酵バターを塗る」「発酵玄米の作り方を教えてもらう」「発酵性食物繊維を含むヨーグルトはありますか」「日本の伝統的な発酵食品一覧を英語で作成しました」などがあります。

その他にも、「洗顔後は発酵導入美容液を付けます」「発酵あんこは炊飯器で簡単に作れます」「発酵性食物繊維によっておならが増える」「発酵性食物繊維を多く含む食品の一つにオートミールがあります」などがあります。

発酵の読み方は「はっこう」です。同じ読み方をする熟語に「発光」や「発行」などがありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。

発酵の「発」は外に現れ出ることや生じさせることを表し、「酵」は酒をかもすことを表します。発酵とは、微生物の作用によって有機物が変化して何らかの物質が生成する現象を言いますが、特にその作用が人間にとって有用である場合に用いられる言葉です。

発酵を用いた日本語には「発酵性食物繊維」があります。発酵性食物繊維とは、腸内細菌によって発酵しやすい食物繊維のことであり、特に腸内の善玉菌のエサになるとされるものです。発酵性食物繊維の多い食品には、玄米、豆類、海藻類、イモ類などが挙げられます。

発酵の対義語・反対語としては、有機物が微生物などの作用によって劣化することを意味する「腐敗」などがあります。

発酵の類語・類義語としては、油脂が保存中に酸素などの作用を受けて劣化することを意味する「酸敗」、飲食物が腐って酸っぱくなるを意味する「饐える」(読み方:すえる)、魚肉などが腐ることを意味する「あざれる」などがあります。

腐敗の例文

1.実は、腐敗と発酵の区別は微生物の種類によって分けているわけではありません。
2.孤独死による人間の腐敗は、特殊清掃業者に依頼して処理してもらうしかないだろう。
3.腐敗臭は、一般的な消臭スプレーを吹きかけるだけでは決して消えません。
4.腐敗認識指数の国別ランキングをみると、英語圏の国々は比較的クリーンな政治を行っているようだ。
5.裏金事件にけじめをつけなかった政党に対し、国民は選挙の場で政治腐敗を拒むことになるでしょう。

この言葉がよく使われる場面としては、微生物の作用によって有機物が悪臭を発して分解されること、制度や組織などの内実が精神的に堕落することを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「政治腐敗」とは、政治家や公務員が、権力を利用して不当な利益を得ることを意味し、代表的な物に賄賂があります。また、政治権力を手に入れようとしたりするものが不正な手段を用いることも指す言葉です。

発酵の例文

1.お料理教室の先生が、発酵の仕組みをわかりやすく説明してくれました。
2.オーブンレンジの発酵機能を使って、パン作りに挑戦してみようと思います。
3.発酵食品を食べ続けると、腸内環境が改善されて便秘解消の効果が期待できます。
4.インバウンドのお客様に、日本酒のアルコール発酵に必要な微生物について英語で説明しました。
5.発酵食品であっても、適切に管理されていなければ雑菌が繁殖して腐ることがあります。

この言葉がよく使われる場面としては、酵母やカビなどの微生物が有機物を分解または酸化還元して、有機酸類やアルコールなどに変えることを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「発酵」と「腐る」の違いは、発酵は物質が微生物の力によって人間に有益に変化することに使われ、腐るは物質が微生物の力によって有害に変化することに使用される点です。

腐敗と発酵という言葉は、どちらも「微生物の力によって食品が変化する現象」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人にとって有害な微生物の作用を表現したい時は「腐敗」を、人にとって有用な微生物の作用を表現したい時は「発酵」を使うようにしましょう。

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