似た意味を持つ「変遷」(読み方:へんせん)と「変化」(読み方:へんか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「変遷」と「変化」という言葉は、どちらも「物事が変わること」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
変遷と変化の違い
変遷と変化の意味の違い
変遷と変化の違いを分かりやすく言うと、変遷とは時の流れとともに移り変わることを表し、変化とは時の流れに関係なく単に変わることを表すという違いです。
変遷と変化の使い方の違い
一つ目の変遷を使った分かりやすい例としては、「今日までの変遷は紆余曲折ありました」「価値観は時代と共に変遷を遂げるものです」「映画界における制作技法の変遷をたどる」「変遷を遂げる時代に柔軟に対応する」などがあります。
二つ目の変化を使った分かりやすい例としては、「いま経済状況に重大な変化が起こっている」「変化球のコツはボールの握り方にあります」「MLBで変化球スイーパーが流行っています」「1次関数における変化の割合の求め方を教えてください」などがあります。
変遷と変化の使い分け方
変遷と変化という言葉は、どちらも物事が変わること、以前と異なっていることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
変遷とは、移り変わりを意味し、時とともに物事が変わっていく様子を表します。ただ変わるのではなく、時代や社会環境の変化に伴って変わっていく事柄について用いられる言葉です。変遷は徐々に移り変わっていくイメージであり、様変わりする様子を流れとして捉えています。
変化とは、状態や性質が変わることを意味します。変遷という言葉が持つ「時の流れ」というニュアンスはなく、ただ単に変わることを表します。そのため、時代の流れに関係なく使用できる言葉であり、日常生活からビジネスシーンまで幅広く用いられています。
二つの言葉を比べると、変遷より変化の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
変遷と変化の英語表記の違い
変遷を英語にすると「transition」「vicissitude」となり、例えば上記の「今日までの変遷」を英語にすると「transition till today」となります。
一方、変化を英語にすると「change」「variation」「turning」となり、例えば上記の「重大な変化」を英語にすると「a significant change」となります。
変遷の意味
変遷とは
変遷とは、時の流れとともに移り変わることを意味しています。
変遷の読み方
変遷の読み方は「へんせん」です。誤って「へんかん」「へんしん」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「時代の変遷」「歴史の変遷」「人生の変遷」
「時代の変遷」「歴史の変遷」「人生の変遷」などが、変遷を使った一般的な言い回しです。
変遷の使い方
変遷を使った分かりやすい例としては、「江戸から東京への変遷をたどる写真展です」「英語指導法の変遷をまとめました」「宗教観の歴史的変遷をたどる」「我が社のビジネスモデルの変遷について説明します」などがあります。
その他にも、「時代の変遷と共に流行は変わります」「市街地の変遷をたどる企画展が開催されています」「様々な変遷を経て今日に至っています」「過去30年の変遷を見てみましょう」「国際関係は時代と共に変遷する」などがあります。
変遷の「変」は訓読みで「かわる」と読み、それまでとは別の状態になることを表します。「遷」は訓読みで「うつる」と読み、物事が時間とともに移り変わることを表す漢字です。変遷とは、時の流れとともに物事や状態が移り変わっていくことを意味します。
「変遷をたどる」の意味
上記の例文にある「変遷をたどる」とは、物事の変化を確かめることを意味する言い回しです。「たどる」とは、筋道を追ったり、手がかりを頼ったりして探し求めていくことです。
変遷の対義語
変遷の対義語・反対語としては、いつまでも変わらないことを意味する「不易」などがあります。
変遷の類語
変遷の類語・類義語としては、時がたつにつれて状態が変化することを意味する「推移」、事態に動きがあって変化することを意味する「変動」、状態・情勢が移り変化してゆくことを意味する「変転」、移り変わることを意味する「変移」などがあります。
変化の意味
変化とは
変化とは、ある状態や性質などが他の状態や性質に変わることを意味しています。
その他にも、「文法で、単語の語形が人称・数・格などに応じて変わること」の意味も持っています。
変化の読み方
変化の読み方は「へんか」のほかに「へんげ」があります。「へんげ」と読むと、神仏や動物などが姿を変えて現れることの意味になるので注意しましょう。
表現方法は「変化する」「変化を嫌う」「変化をもたらす」
「変化する」「変化を嫌う」「変化をもたらす」などが、変化を使った一般的な言い回しです。
変化の使い方
「野球の変化球は何種類ありますか」「監督に変化球の投げ方を教えてもらう」「彼女のイラストの画風に変化が見られた」「二次関数における変化の割合と傾きについて説明します」などの文中で使われている変化は、「ある状態や性質などが変わること」の意味で使われています。
一方、「語形変化しない部分が語幹です」「語形の変化を活用と言います」「英語の授業で不規則変化する動詞を習いました」などの文中で使われている変化は、「単語の語形が人称などに応じて変わること」の意味で使われています。
変化とは、上記の例文にあるように二つの意味がありますが、一般的には「ある状態や性質などが変わること」の意味で使用されています。現在の事柄や事象などが以前と異なった状態である場合に、「変化」という言葉を用いることができます。
「変化球」の意味
上記の例文にある「変化球」とは、野球用語であり、投手の投球が打者の近くで曲がったり、急に落ちたりするボールを意味します。また、比喩的に用いられ、策略を用いて物事を行うことの意味もあります。
「化学変化」の意味
変化を用いた日本語には、「化学変化」があります。物質が互いに作用しあい、それらの物質が消滅するとともに新しいいくつかの物質が生成することを意味します。たとえば、水を電気分解して水素と酸素になることを、化学変化と言います。
変化の対義語
変化の対義語・反対語としては、変わらないことを意味する「不変」などがあります。
変化の類語
変化の類語・類義語としては、入れ変わることや変えることを意味する「変換」、物質や物事の性質が変わることを意味する「変質」、形や状態を変えることを意味する「変態」、決められた物事などを変えることを意味する「変更」などがあります。
変遷の例文
この言葉がよく使われる場面としては、時間とともに移り変わることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、変遷の慣用的な言い回しには、「変遷をたどる」「時代の変遷」「変遷を遂げる」などがあります。
変化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある性質や状態が他の性質や状態に変わること、文法で同一の語が用法に応じて語形を変えることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある変化は、ある性質や状態が他の性質や状態に変わることの意味で用いられています。例文5の変化は、文法で同一の語が用法に応じて語形を変えることの意味で用いられています。「語形変化」とは、語の外形が変化することです。
変遷と変化という言葉は、どちらも「物事が変わること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、時の流れとともに移り変わることを表現したい時は「変遷」を、時の流れに関係なく単に変わることを表現したい時は「変化」を使うようにしましょう。