似た意味を持つ「疑義」(読み方:ぎぎ)と「疑念」(読み方:ぎねん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「疑義」と「疑念」という言葉は、どちらも「疑うこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
疑義と疑念の違い
疑義と疑念の意味の違い
疑義と疑念の違いを分かりやすく言うと、疑義とは疑問に思う事柄、疑念とは疑問に思う気持ちという違いです。
疑義と疑念の使い方の違い
一つ目の疑義を使った分かりやすい例としては、「審査の結果に疑義を抱く」「厚生労働省は疑義解釈資料を公開しました」「疑義照会の書き方を教えてください」「治療計画の適切性に疑義が生じる」などがあります。
二つ目の疑念を使った分かりやすい例としては、「政府の対応に疑念を抱く」「疑念が生じるのも無理はない」「疑念が確信に変わる出来事がありました」「若干の疑念が残る調査結果であった」などがあります。
疑義と疑念の使い分け方
疑義と疑念という言葉は、どちらも疑うことを表し、「疑義を抱く」「疑念を抱く」など同じような表現をしますが、意味や使い方には違いがあります。
疑義とは、意味や内容が不明瞭であること、疑問に思われる部分、内容のはっきりしない点を意味します。例えば、行政機関などに対して、不明点がある旨を意思表示することを「疑義申し立て」と言います。
疑念とは、本当にそうだろうかと疑問に思う気持ち、疑問に思う心を意味します。心の状態を表し、内面的な意味合いが強い言葉です。「疑念が残る」とは、ある事案について話の片がついているものの、疑わしいという考えが消え去らないさまを表します。
つまり、疑義とは疑問に思う事柄であり、疑念とは疑問に思う心を意味します。二つの言葉はよく似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
疑義と疑念の英語表記の違い
疑義も疑念も英語にすると「doubt」「question」「suspicion」となり、例えば上記の「疑義を抱く」を英語にすると「have doubts」となります。
疑義の意味
疑義とは
疑義とは、意味や内容がはっきりしないこと、疑問に思われる点を意味しています。
疑義の読み方
疑義の読み方は「ぎぎ」です。誤って「ぎき」「ぎよし」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「疑義が生じる」「疑義を抱く」「疑義を呈する」
「疑義が生じる」「疑義を抱く」「疑義を呈する」などが、疑義を使った一般的な言い回しです。
疑義の使い方
疑義を使った分かりやすい例としては、「安全性の科学的根拠に疑義が生じる」「政府の方針に疑義を抱く」「疑義注記の調べ方がわかりません」「メタボ健診の有効性に疑義を呈する報告書が提出された」などがあります。
その他にも、「疑義事項に対する説明を求めます」「局からの疑義照会はFAXで受付けています」「疑義照会をしたらドクターに怒られるかもしれない」「診療報酬改定に関する疑義解釈資料を送付します」などがあります。
疑義の「疑」は訓読みで「うたがう」と読み、本当かどうか怪しいと思うことを表し、「義」は意味や種子を表します。疑義とは、事柄の内容がはっきりしないこと、疑問に思われることを意味する言葉です。ややかしこまった固い表現であり、日常会話ではあまり使われていない言葉です。
「疑義照会」の意味
疑義を用いた日本語には、「疑義照会」があります。疑義照会とは、医師の処方箋に疑問や不明点がある場合に、薬剤師が処方医に問い合わせて確認することを意味します。疑義照会は、薬剤師の責務の一つであり、薬剤師法24条によって義務付けられています。
疑義の対義語
疑義の対義語・反対語としては、特に証明などをしなくても明らかであることを意味する「自明」などがあります。
疑義の類語
疑義の類語・類義語としては、本当かどうか正しいかどうか疑わしい事柄を意味する「疑問」、疑問に思う点を意味する「疑点」、犯罪の事実があるのではないかという疑いを意味する「嫌疑」などがあります。
疑念の意味
疑念の意味
疑念とは、疑わしく思う気持ち、疑いを意味しています。
表現方法は「疑念を抱く」「疑念が生じる」「疑念を持つ」
「疑念を抱く」「疑念が生じる」「疑念を持つ」などが、疑義を使った一般的な言い回しです。
疑念の使い方
疑念を使った分かりやすい例としては、「合否判定に疑念を抱くのも無理はない」「自分は騙されているのではと疑念を持つ」「出自にいくぶんの疑念があるようだ」「彼女に対して不信感と疑念を持つようになりました」などがあります。
その他にも、「疑念を晴らすために丁寧に説明しました」「不公平ではないかとの疑念が生じる」「妥当性については疑念を感じる」「彼の根拠のない自信に疑念を抱く」「英語の採点にミスがあったのではと疑念が生じる」などがあります。
疑念とは、事実とちがうのではないか、間違っているのではないかと思う気持ちを意味します。「疑念を抱く」「疑念を持つ」のような使い方で、疑わしく思う気持ちを表します。疑念の「念」は、思い詰めた考えや気持ちを意味する漢字です。
「疑念を晴らす」の意味
上記の例文にある「疑念を晴らす」とは、疑う気持ちを取り除いてはればれとした気持ちにさせることを意味する言い回しです。「晴らす」とは心のわだかまりを取り除くことです。
疑念の対義語
疑念の対義語・反対語としては、固く信じて疑わないことを意味する「確信」、ただひたすらに信じることを意味する「盲信」などがあります。
疑念の類語
疑念の類語・類義語としては、疑う心や疑いを意味する「疑心」、本当かどうか不正があるのではないかなどと疑いをもつことを意味する「疑惑」、疑わしく思うことを意味する「不審」などがあります。
疑義の例文
この言葉がよく使われる場面としては、意味や内容などがはっきりしないこと、疑問に思われる事柄を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、疑義の慣用的な言い回しには「疑義申し立て」「疑義を呈する」「疑義を生じる」「疑義を抱く」などがあります。「疑義申し立て」とは、不明点がある旨を意思表示することを意味します。
疑念の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事が本当かどうかと疑う心を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、疑念の慣用的な表現には「疑念を抱く」「疑念を持つ」「疑念が生じる」「疑念を拭う」などがあります。「疑念を抱く」とは疑わしい気持ちをもつことを意味し、「疑念が生じる」とは今までなかった疑いの気持ちが現れることを意味します。
疑義と疑念という言葉は、どちらも「疑うこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、疑問に思う事柄を表現したい時は「疑義」を、疑問に思う気持ちを表現したい時は「疑念」を使うようにしましょう。