似た意味を持つ「精緻」(読み方:せいち)と「精密」(読み方:せいみつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「精緻」と「精密」という言葉は、どちらも「細かいこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
精緻と精密の違い
精緻と精密の意味の違い
精緻と精密の違いを分かりやすく言うと、精緻とは人の手による細かさを表し、精密とは機械的な細かさや正確さを表すという違いです。
精緻と精密の使い方の違い
一つ目の精緻を使った分かりやすい例としては、「草花が精緻な筆使いで描かれている」「教師が英語を精緻化の手法で説明する」「予算管理を精緻化するシステムを導入しました」「広告における精緻化見込みモデルの役割」などがあります。
二つ目の精密を使った分かりやすい例としては、「精密検査の費用の目安を教えてください」「スマホやゲーム機は精密機械です」「カラオケの精密採点Aiで高得点が出た」「精密バイスの使い方がわかりません」などがあります。
精緻と精密の使い分け方
精緻と精密という言葉は、どちらも注意が行き届いていて、詳しく細かいことを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
精緻とは、とても詳しいさまや非常に細かいことを意味します。芸術分野や心理学あるいはビジネスの分野など、人の手が加わったものに対して使うことが多い言葉です。「精緻化見込みモデル」とは、説得に対する聞き手側の態度変容に関する人間の情報処理ルートのモデリングのことです。
精密とは、注意が行き届き詳しく細かいさま、細部まで正確なさまを意味します。工業分野や科学的文脈の中で使用されることが多く、「精密機器」「精密機械」とは細かな部品を組み合わせて作られた機器のことです。
つまり、精緻と精密の違いは使用される対象物にあります。精緻は人の手が加わったものに対して使われ、精密は機械的なものに対して使われる傾向があることを覚えておきましょう。
精緻と精密の英語表記の違い
精緻も精密も英語にすると「fine」「minute」「detailed」となり、例えば上記の「精緻な筆使い」を英語にすると「minute brushwork」となります。
精緻の意味
精緻とは
精緻とは、極めて詳しく細かいこと、たいへん綿密なことを意味しています。
精緻の読み方
精緻の読み方は「せいち」です。誤って「しょうち」「せいびん」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「精緻なもの」「精緻なデータ」
「精緻なもの」「精緻なデータ」などが、精緻を使った一般的な言い回しです。
精緻の使い方
精緻を使った分かりやすい例としては、「統計学には精緻な数字やデータが必要です」「社会にもたらした変化を精緻に測定する」「精緻化リハーサルにより英語の感覚領域を広げる」「精緻なビジネスプランを立てる」などがあります。
その他にも、「精緻化見込みモデルで爆買いを解明する」「精緻で可憐な花籠を買いました」「精緻で華麗な装飾を施す」「とても精緻なつくりで美しい細工です」「英文を細心精緻に読み解く」などがあります。
精緻の「精」は訓読みで「くわしい」と読み、念入りで細かいことを表します。「緻」は訓読みで「こまかい」と読み、きめが細かいことや行き届いて詳しいことを表す漢字です。精緻とは、非常に細かく、すみずみまで行き届いていることを意味する言葉です。
「精緻化」の意味
精緻を用いた日本語には「精緻化」があります。精緻化とは、より詳しく細かい状態にすること、より綿密な作りにすることを意味します。心理学においては、覚えるべき情報に関連する別の情報を付け加えながら覚えることを「精緻化」と言います。
精緻の対義語
精緻の対義語・反対語としては、作り方などが大ざっぱなことを意味する「粗末」などがあります。
精緻の類語
精緻の類語・類義語としては、細かく行き届いて綿密なことを意味する「細緻」、きわめて細かい所まで行き届いていることを意味する「細密」、巧みで細部にわたってよくできていることを意味する「巧緻」などがあります。
精密の意味
精密とは
精密とは、極めて細かい点にまで注意が行き届いていることを意味しています。
その他にも、「細部にいたるまで正確な寸法で作られていること」の意味も持っています。
表現方法は「精密機械」「精密な」「精密農業」
「精密機械」「精密な」「精密農業」などが、精密を使った一般的な言い回しです。
精密の使い方
「人間ドックの結果で要精密検査になってしまった」「CTで肺を精密に調べることができます」「抵抗の影響を受けない精密な測定が可能です」などの文中で使われている精密は、「細かい点にまで注意が行き届いていること」の意味で使われています。
一方、「使いやすい精密ドライバーを探しています」「精密マルチキャッチを格安で買いました」「精密機器の使い方に慣れていません」「精密採点DX-Gで高得点を取るコツがあります」などの文中で使われている精密は、「細部まで正確な寸法で作られていること」の意味で使われています。
精密の「密」は訓読みで「ひそか」「こまかい」と読み、細かく行き届いていることを表す漢字です。くわしいことを表す「精」と組み合わさり、精密とは、非常に細かい点にまで注意深く及んでいることを意味します。また、細かなところまで正確な寸法で作られていることも意味します。
「精密検査」の意味
精密を用いた日本語には「精密検査」があります。精密検査とは、細かい点までくわしく調べることであり、特に、健康診断で不審な点があった場合に、具体的な病状や原因などをつきとめるためにする検査のことを言います。
精密の対義語
精密の対義語・反対語としては、いいかげんで大ざっぱなことを意味する「粗雑」などがあります。
精密の類語
精密の類語・類義語としては、すみずみまで注意が行き届いていることを意味する「綿密」、注意が行き届いていて手落ちのないことを意味する「緻密」、きびしく目を行き届かせていて隙がないさまを意味する「厳密」などがあります。
精緻の例文
この言葉がよく使われる場面としては、非常に細かい点にまで注意が行き届いて整っていることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、精緻の慣用的な言い回しには「精緻にする」「精緻化」「精緻になる」などがあります。例文5の「精緻華麗」とは、作りが極めて細かく、華やかで美しいことを意味します。
精密の例文
この言葉がよく使われる場面としては、詳しく細かいこと、細かく行き届くこと、工作物の細部にいたるところまで正確で巧みにできていることを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「精密機械」とは、比較的複雑な機構を持ち、部品および組立に高い精度を必要とする機械の総称です。「精機」「精密機器」とも言い、測定機器・カメラ・顕微鏡・時計などがこれに当たります。
精緻と精密という言葉は、どちらも「細かいこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人の手による細かさを表現したい時は「精緻」を、機械的な細かさや正確さを表現したい時は「精密」を使うようにしましょう。