似た意味を持つ「不退転の決意」(読み方:ふたいてんのけつい)と「不退転の覚悟」(読み方:ふたいてんのかくご)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不退転の決意」と「不退転の覚悟」という言葉は、どちらも信念を持って強く心に決めることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「不退転の決意」と「不退転の覚悟」の違い
「不退転の決意」と「不退転の覚悟」の意味の違い
「不退転の決意」と「不退転の覚悟」の違いを分かりやすく言うと、「不退転の決意」とは自分の意志をはっきりと決めること、「不退転の覚悟」とは前もって厳しい困難な事態を予測して強く心を決めることという違いです。
「不退転の決意」と「不退転の覚悟」の使い方の違い
一つ目の「不退転の決意」を使った分かりやすい例としては、「不退転の決意で臨む所存です」「彼の無言の眼差しから不退転の決意が伝わってきました」「彼女はバイト辞めて就職活動に専念し、不退転の決意で内定を勝ち取るつもりだ」などがあります。
二つ目の「不退転の覚悟」を使った分かりやすい例としては、「不退転の覚悟ないのであればこの計画は頓挫するだろう」「不退転の覚悟で業界の改革へ臨む所存です」「不退転の覚悟を持って新規事業へ挑む」などがあります。
「不退転の決意」と「不退転の覚悟」の使い分け方
「不退転の決意」と「不退転の覚悟」はどちらも信念を持って強く心に決めることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「不退転の決意」は自分の意志をはっきりと決めること場合に使い、簡単に言うならば意志を固めること。一方、「不退転の覚悟」は前もって厳しい困難な事態を予測して強く心を決める場合に使い、簡単に言うならば危険の対する心の準備のことというのが違いになります。
分かりやすい例を挙げると、雪山で彼女と遭難してクマと出会ってしまいます。この時男性はクマに襲われるという前もって厳しい困難な事態を予測して、彼女だけは体を張って守るというのが「不退転の覚悟」です。つまり、危険の対する心の準備のことを表しています。
一方、危険の対する心の準備のことではなく、彼女を絶対にクマから助けるぞという強い意志を持つのが「不退転の決意」です。
したがって、「不退転の決意」と「不退転の覚悟」は似ている言葉ですが、微妙に使い方が異なっていると覚えておきましょう。
「不退転の決意」と「不退転の覚悟」の英語表記の違い
「不退転の決意」を英語にすると「不退転の覚悟」を英語にすると「unwavering resolve」となります。
「不退転の決意」の意味
「不退転の決意」とは
「不退転の決意」とは、自分の意志を強くはっきりと決めることを意味しています。
表現方法は「不退転の決意をもって」「不退転の決意で臨む」
「不退転の決意をもって」「不退転の決意で臨む」などが、「不退転」を使った一般的な言い回しになります。
「不退転の決意」の使い方
「不退転の決意」を使った分かりやすい例としては、「不退転の決意でチャレンジするつもりです」「不退転の決意で新チームを指揮する」「彼の眼光から不退転の決意が伝わってきました」「不退転の決意でリストラに臨みました」などがあります。
「不退転の決意」は、信念を持ち何事にも屈しないことを意味する「不退転」に、自分の意志をはっきり決めることを意味する「決意」が合わさり、自分の意志を強くはっきりと決めるという「決意」がさらに強調された言葉になります。
「不退転の決意」は強い決意表明をする際に使用し、すぐ諦めたり意見を変えたりしないということを強調することが可能です。そのため、政治家が国民に向けてのスピーチや、スポーツ選手がインタビューで言ったりします。
また、ビジネスシーンにおいても仕事に対して強い決意表明をする際に、「不退転の決意」を使うことも可能です。
「不退転」は仏教用語
「不退転」は元々仏教用語で、今現在使われている「不退転」とは少し意味が違う言葉でした。仏教においての「不退転」は「修行において到達した境地から後戻りしないこと」の意味で使われていたのです。
この後戻りしないことが時代が経つにつれ変化し、信念を持ち何事にも屈しないことの意味で使われるようになったと言われています。
「不退転の決意」の類語
「不退転の決意」の類語・類義語としては、決意を強く持っているので考えを変えないことを意味する「固い決意」、目標達成のために行動し続ける強い意志のことを意味する「不屈の精神」、心や考えを決めることを意味する「決心」などがあります。
「不退転の覚悟」の意味
「不退転の覚悟」とは
「不退転の覚悟」とは、前もって厳しい困難な事態を予測して強く心を決めることを意味しています。
表現方法は「不退転の覚悟で臨む」「不退転の覚悟で取り組む
「不退転の覚悟で臨む」「不退転の覚悟で取り組む」などが、「不退転」を使った一般的な言い回しになります。
「不退転の覚悟」の使い方
「不退転の覚悟」を使った分かりやすい例としては、「不退転の覚悟でさらなる高みを目指す」「不退転の覚悟で臨む所存です」「不退転の覚悟をもってチームの再建に取り組みました」「不退転の覚悟で臨む彼女のことは信用してもいいと思います」などがあります。
「不退転の覚悟」は、信念を持ち何事にも屈しないことを意味する「不退転」に、危険なことや困難なことを予想してそれを受けとめる心構えをすることを意味する「覚悟」が合わさり、前もって厳しい困難な事態を予測して強く心を決めることの意味で使われている言葉です。
つまり、「不退転の覚悟」は「覚悟」がさらに強調された言葉で、これから困難ことに立ち向かうという強い決意表明として使われている言葉です。
また、「不退転の覚悟」はこれから困難ことに挑むというニュアンスで、ビジネスシーンにおいても使うことができます。
「不退転の覚悟」の類語
「不退転の覚悟」の類語・類義語としては、覚悟を決めることを意味する「腹をくくる」、強い意志を持ち何事にも屈しないことを意味する「不退転の意志」などがあります。
「不退転の決意」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の意志を強くはっきりと決めることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「不退転の決意」は、ビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「不退転の覚悟」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、前もって厳しい困難な事態を予測して強く心を決めることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「不退転の覚悟」はビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「不退転の決意」と「不退転の覚悟」はどちらも信念を持って強く心に決めることを表します。
どちらの言葉を使うか迷った場合、自分の意志をはっきりと決めることを表現したい時は「不退転の決意」を、前もって厳しい困難な事態を予測して強く心を決めることを表現したい時は「不退転の覚悟」を使うと覚えておきましょう。