似た意味を持つ「有用」(読み方:ゆうよう)と「有効」(読み方:ゆうこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「有用」と「有効」という言葉は、どちらも「役に立つこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
有用と有効の違い
有用と有効の意味の違い
有用と有効の違いを分かりやすく言うと、有用とは使い道があって役に立つことを表し、有効とは効果があって役に立つことを表すという違いです。
有用と有効の使い方の違い
一つ目の有用を使った分かりやすい例としては、「二酸化炭素から有用な物質を作り出す」「膨大なデータから有用な情報を取り出す」「再生医療に極めて有用である」「英語学習におけるChatGPTの有用性を検証する」などがあります。
二つ目の有効を使った分かりやすい例としては、「有効期限が年末までに延長されました」「英語の学習には読書が有効です」「有効数字の考え方を教えてください」「資源有効利用促進法が施行されました」「法的に有効な契約を結ぶ」などがあります。
有用と有効の使い分け方
有用と有効という言葉は、音の響きが似ており、どちらも何かの役に立つことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
有用とは、役に立つことや使い道があるさまを意味します。例えば、衣食住において人間生活に役だつ植物を「有用植物」と呼び、稲や大豆などの食用植物、麻や綿などの繊維植物、ヒノキなどの住居用材などがこれにあたります。
有効とは、効き目のあること、効力を持っていること、役に立つことを意味し、「有効期間」「有効数字」のような使い方をします。また、「有効な契約」のような使い方で、法律上の効力をもっていることを表す言葉です。
つまり、有用とは使い道があるという意味合いがあり、有効とは効果や効力があるという意味合いを持ちます。二つの言葉はとても良く似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
有用と有効の英語表記の違い
有用を英語にすると「useful」「serviceable」「helpful」となり、例えば上記の「有用な物質」を英語にすると「a useful substance」となります。
一方、有効を英語にすると「valid」「available」「effective」となり、例えば上記の「有効期限」を英語にすると「the term of validity」となります。
有用の意味
有用とは
有用とは、役に立つこと、そのさまを意味しています。
表現方法は「有用性」「有用である」「有用する」
「有用性」「有用である」「有用する」などが、有用を使った一般的な言い回しです。
有用の使い方
有用を使った分かりやすい例としては、「有用な気象情報をお届けします」「植物由来の有用成分を様々な用途へ展開する」「有用微生物の開発に成功しました」「朝食摂取の有用性についてお話をします」などがあります。
その他にも、「できるだけ有用性が高い情報を収集する」「外国人の方に有用な情報を英語で提供します」「ユーザーにとって有用な記事を表示させる」「家の手伝いで子どもの自己有用感を育む」などがあります。
有用とは、役に立つこと、使いみちがあることを意味し、「有用な人材」「有用な物質」のように人に対しても物に対しても使うことができる言葉です。有用の「有」は存在すること、「用」は役立てることや使いみちを表す漢字です。
「自己有用感」の意味
有用を用いた日本語には「自己有用感」があります。自己有用感とは、誰かの役に立っている、何かに貢献している等、自分が有用であると思える感情を意味します。自分と他者との関係を、肯定的に受け入れることで生まれる評価です。
有用の対義語
有用の対義語・反対語としては、役に立たないことや使い道のないことを意味する「無用」などがあります。
有用の類語
有用の類語・類義語としては、日常生活などの場で実際に役に立つことを意味する「実用」、目的を果たすのに都合のよいことを意味する「便利」、便利で役に立つことや便利なものとして常に使うことを意味する「重宝」などがあります。
有効の意味
有効とは
有効とは、効き目のあること、効力をもっていることを意味しています。
その他にも、「法律上の効力をもっていること」「柔道の試合で、技有りに近い技のときに下す判定」の意味も持っています。
表現方法は「有効数字」「有効期限」「有効に使う」
「有効数字」「有効期限」「有効に使う」などが、有効を使った一般的な言い回しです。
有効の使い方
「最新の有効求人倍率を調べる」「超音波検査の有効性を検証する」「英語のレッスンチケットの有効期限を確認する」「物理の問題にある有効数字の処理方法がわかりません」などの文中で使われている有効は、「効き目のあること」の意味で使われています。
一方、「20年前の契約は有効ですか」「意思表示は書面に残すことが有効です」の文中で使われている有効は「法律上の効力をもっていること」の意味で、「有効は技ありに近い効果がある」「有効の判定が廃止になる」の文中で使われている有効は「柔道の判定」の意味で使われています。
有効とは、一般的に効果があって役に立つことの意味で使用されている言葉です。法律用語としては、効力をもっていることを意味し、投票総数から無効投票数を差し引いた票数を「有効投票数」といいます。また、有効という言葉は、柔道の判定の一つになっています。
「有効求人倍率」の意味
有効を用いた日本語には「有効求人倍率」があります。有効求人倍率とは、全国のハローワークで仕事を探している1人に対し、何件の求人があるかを示した数値のことです。完全失業率と並んで日本を代表する雇用統計となっており、厚生労働省が毎月発表しています。
有効の対義語
有効の対義語・反対語としては、効き目のないことや効力を持たないことを意味する「無効」などがあります。
有効の類語
有効の類語・類義語としては、ためになることや利益があることを意味する「有益」、ある働きかけによって現れる望ましい結果を意味する「効果」、よい結果が期待できることや都合のよいことを意味する「有利」などがあります。
有用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、役立つこと、使いみちがあることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「有用性」(読み方:ゆうようせい)とは、何かに対して役に立つことを意味します。「有用性が高い」「有用性がある」などと表現します。
有効の例文
この言葉がよく使われる場面としては、効果があること、法律上の効果を生じること、 柔道の試合で「技あり」に近い技のときに下す判定を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「有効数字」とは、近似値や測定値を表す数字のうち、実用上の有意義な桁数だけをとったものです。
有用と有効という言葉は、どちらも「役に立つこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、使い道があり役に立つことを表現したい時は「有用」を、効果や効力があって役に立つことを表現したい時は「有効」を使うようにしましょう。