似た意味を持つ「急遽」(読み方:きゅうきょ)と「突然」(読み方:とつぜん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「急遽」と「突然」という言葉は、どちらも「物事が急に起こるさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
急遽と突然の違い
急遽と突然の意味の違い
急遽と突然の違いを分かりやすく言うと、急遽とは急に起こった物事に対処しようとするさまを表し、突然とは物事が急に起こるさまを表すという違いです。
急遽と突然の使い方の違い
一つ目の急遽を使った分かりやすい例としては、「明日は急遽出張に行くことになりました」「急遽予定が入ってしまいバイトを休む」「急遽決まった旅行の準備で忙しい」「インストアライブが急遽決定しました」などがあります。
二つ目の突然を使った分かりやすい例としては、「突然の嵐で全身ずぶ濡れになりました」「恋人から突然別れを告げられた」「突然の出来事への対応が苦手です」「今朝は突然の腹痛で目が覚めました」などがあります。
急遽と突然の使い分け方
急遽と突然という言葉は、どちらも予想していなかった物事がいきなり起こるさまを表しますが、厳格な意味や使い方には違いがあります。
急遽とは、急いで慌てるさま、慌ただしく物事を行うさまを意味します。「急遽決まった旅行の準備で忙しい」のように、予期していなかった物事に対処するニュアンスがある言葉であり、急いで物事に対して行動を起こすさまを表します。
突然とは、予期しないことが急に起こるさま、不意であるさまを意味します。前触れなしに急に何かが起こる様子を客観的に捉える言葉であり、「突然変異体」「突然変異説」「突然変異原」など生物学用語にも使用されています。
つまり、急遽とは急に何かが起こって対処しようとする意味合いがあり、突然は急に何かが起こるさまを客観的に捉えた言葉です。二つの言葉は似ていますが、ニュアンスが異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
「急遽」は、何らかの情報を得て、そのために時間をおかずに予定を変更して、新しい状況に対処するときに用いる表現です。
急遽と突然の英語表記の違い
急遽を英語にすると「hurriedly」「in haste」「in a hurry」となり、例えば上記の「急遽出張に行く」を英語にすると「go on a business trip in a hurry」となります。
一方、突然を英語にすると「sudden」「unexpectedly」「without notice」となり、例えば上記の「突然の嵐」を英語にすると「a sudden storm」となります。
急遽の意味
急遽とは
急遽とは、急に物事が行われるさまを意味しています。
その他にも、「慌ただしく事を行うさま、急いで、にわかに」の意味も持っています。
急遽の読み方
急遽の読み方は「きゅうきょ」です。同じ読み方をする熟語に「旧居」や「丘墟」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「急遽決まった」「急遽変更」
「急遽決まった」「急遽変更」などが、急遽を使った一般的な言い回しです。
急遽の使い方
「祖父が急遽亡くなる夢をみました」「営業時間は急遽変更となる可能性がございます」「急遽予定が変更する場合がございます」などの文中で使われている急遽は、「急に物事が行われるさま」の意味で使われています。
一方、「人手不足でアルバイトを急遽募集します」「状況により急遽中止になることがございます」「用事が入ったので急遽英語のレッスンをキャンセルする」などの文中で使われている急遽は、「慌ただしく事を行うさま」の意味で使われています。
急遽の「急」は訓読みで「いそぐ」と読み、物事が急に起こるさまを表し、「遽」は訓読みで「にわか」と読み、慌ただしい様子を表す漢字です。急遽とは、急に物事が行われるさま、慌ただしく事を行うさまを意味する言葉です。
急遽という言葉には、予定外の物事が起こったり、何らかの情報を得たりして、そのことに慌てて対処するというニュアンスがあります。上記例文の「人手不足でアルバイトを急遽募集します」は、人手不足という状況に対処するため、急いでアルバイトを募集することを表しています。
急遽の対義語
急遽の対義語・反対語としては、動きや勢いが激しくないさまを意味する「緩やか」などがあります。
急遽の類語
急遽の類語・類義語としては、だしぬけであることや不意を意味する「唐突」、物事の出現や消失が急なさまを意味する「忽然」、せわしなく振る舞うさまや慌ただしいさまを意味する「そそくさ」などがあります。
突然の意味
突然とは
突然とは、予期しないことが急に起こるさま、だしぬけであるさまを意味しています。
突然の使い方
突然を使った分かりやすい例としては、「突然のゲリラ豪雨に気を付けてください」「突然ペラペラと英語が話せるようにならないかな」「遺伝子の突然変異で起こる病気があります」「若い人の突然死とは何が原因だと考えられますか」などがあります。
その他にも、「足の指に突然できる水ぶくれを何とかしたい」「ストレスで突然唇が腫れることがあります」「愛する人の突然の死は耐え難いものです」「片目だけ突然まぶたが腫れることがあります」などがあります。
突然の「突」は予期しないことが起こること、だしぬけであるさまを表す漢字です。状態を表す「然」と組み合わさり、突然とは、前触れなしに急に何かが起こるさま、にわかであるさまを意味する言葉です。
「突然変異」の意味
突然を用いた日本語には「突然変異」(読み方:とつぜんへんい)があります。突然変異とは、生物学で遺伝子の性質や量に変化が生じることを意味します。変化の生じる単位の違いによって、ゲノム突然変異、染色体突然変異、遺伝子突然変異の3つに分けられます。
突然の対義語
突然の対義語・反対語としては、少しずつ進行したり変化したりするさまを意味する「徐々に」、ゆっくりと変化してゆくさまを意味する「段々」などがあります。
突然の類語
突然の類語・類義語としては、何の前触れもなく物事が起こるさまを意味する「突如」、物事が急に起こるさまを意味する「にわか」、突然の変事や物事が前触れなく突然に起こるさまを意味する「急」などがあります。
急遽の例文
この言葉がよく使われる場面としては、いそいで慌てるさま、にわかなさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、急遽という言葉は、予定していなかったことが起こり、その事態や新しい状況に慌てて対処するときに用いられています。
突然の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事が急に起こるさま、不意に、にわかであるさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、突然という言葉は予想していなかったことが起こるさまを意味し、日常会話でよく使用されています。
急遽と突然という言葉は、どちらも「物事がいきなり起こるさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、いきなり起こった事態に対処するさまを表現したい時は「急遽」を使うようにしましょう。