似た意味を持つ「お安い御用」(読み方:おやすいごよう)と「朝飯前」(読み方:あさめしまえ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「お安い御用」と「朝飯前」という言葉は、どちらも容易いことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「お安い御用」と「朝飯前」の違い
「お安い御用」と「朝飯前」の意味の違い
「お安い御用」と「朝飯前」の違いを分かりやすく言うと、「お安い御用」は人から頼まれた時に使う言葉、「朝飯前」は人から頼まれていなくても使える言葉という違いです。
「お安い御用」と「朝飯前」の使い方の違い
一つ目の「お安い御用」を使った分かりやすい例としては、「その程度の修正でしたらお安い御用ですよ」「それはお安い御用です、私に任せてください」「手伝って欲しいとお願いされたのでお安い御用と返事をしました」などがあります。
二つ目の「朝飯前」を使った分かりやすい例としては、「この峠さえ越えれば後は朝飯前だよ」「朝飯前にランニングをするのが日課です」「この重そうな荷物を運ぶのは私にとっては朝飯前です」などがあります。
「お安い御用」と「朝飯前」の使い分け方
「お安い御用」と「朝飯前」はどちらも容易いことを意味している言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「お安い御用」は人から何かを頼まれた際に、「了解」や「簡単にできますよ」というニュアンスで頼み事を受ける場合に使います。
一方、「朝飯前」も人から何かを頼まれた際に使う言葉ですが、「これを作るのは私にとっては朝飯前だ」のように、人から何かを頼まれていなくても、ただ単純に簡単というニュアンスで使えるというのが違いです。
「お安い御用」と「朝飯前」の英語表記の違い
「お安い御用」も「朝飯前」も日本語特有の表現なので直訳した英語はありませんが、近い表現として「No problem」「No trouble」などがあります。
「お安い御用」の意味
「お安い御用」とは
「お安い御用」とは、容易いことを意味しています。
「お安い御用」の漢字表記
「お安い御用」を漢字にすると、「御安い御用」と表記することができます。
表現方法は「お安い御用です」「お安い御用でございます」
「お安い御用です」「お安い御用でございます」などが、「お安い御用」を使った一般的な言い回しになります。
「お安い御用」の使い方
「お安い御用」を使った分かりやすい例としては、「ラジコンの修理をお願いされたのでお安い御用と返事をしました」「その件でしたらお安い御用ですよ」「困っていたので親友に相談したらお安い御用と手伝ってくれました」などがあります。
「お安い御用」は 容易であるや簡単だなことを意味する「お安い」に、用事を丁寧に言った言葉を意味する「御用」が合わさり、容易いことを意味で使われている言葉です。
主に、人から何か頼み事をされた際に、それは全然苦ではありませんや簡単にできるということを表明する言い回しになります。
また、場の雰囲気を和らげたり、相手に良い印象を与えることができる言葉なので、ビジネスシーンにおいても使うことが可能です。
「お安い御用」の注意点
「お安い御用」を使う上で注意しなければならないのは、人から何かを頼まれた際にしか使えないという点です。そのため、ただ単純に簡単にできることを表現したいのであれば、似た意味を持つ「朝飯前」を使うようにしましょう。
「お安い御用」の類語
「お安い御用」の類語・類義語としては、するのが容易いことを意味する「屁の河童」、物事が容易くできることを意味する「御茶の子さいさい」、心にゆとりがあることを意味する「余裕」などがあります。
「朝飯前」の意味
「朝飯前」とは
「朝飯前」とは、朝食を取る前のわずかな時間でできるような容易いことを意味しています。その他にも、朝食をとる前のことの意味も持っています。
「朝飯前」の使い方
「それぐらいは朝飯前だと思うよ」「この問題は私にとって朝飯前です」などの文中で使われている「朝飯前」は、「朝食を取る前のわずかな時間でできるような容易いこと」の意味で使われています。
一方、「朝飯前にストレッチをするのが日課です」「朝飯前に犬を散歩に連れて行く」などの文中で使われている「朝飯前」は、「朝食をとる前のことの」の意味で使われています。
「朝飯前」は朝食を取る前のわずかな時間でできるような容易いことと、朝食をとる前のことの二つの意味を持つ言葉です。
前者の朝食を取る前のわずかな時間でできるような容易いことの意味は、朝食を食べるほどのわずかな時間というニュアンスで使うこともあると覚えておきましょう。
「朝飯前」は誰かに頼まれ事をされた際だけではなく、ただ単純に簡単ということを表現したい場合にも使えるというのが特徴です。
「朝飯前」の由来
「朝飯前」の由来は江戸時代です。江戸時代の中頃までは、食事の回数が現代とは異なっており、1日3回ではなく1日2回が一般的でした。そのため、朝食を食べる前は身体に力が入らないため、簡単な仕事しかこなすことができなかったのです。
これが転じて、朝食を取る前のわずかな時間でできるような容易いことを「朝飯前」と言うようになりました。
「朝飯前」の類語
「朝飯前」の類語・類義語としては、容易くできることを意味する「お茶の子」、朝早く走らせる馬は元気よく少しくらいの荷物はなんとも思わないことを意味する「朝駆けの駄賃」などがあります。
「お安い御用」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、容易いことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「お安い御用」は他人から頼まれごとをした際に使う言葉です。
「朝飯前」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、朝食を取る前のわずかな時間でできるような容易いことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、朝食をとる前のことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「朝飯前」は朝食を取る前のわずかな時間でできるような容易いこと、例文4と例文5の「朝飯前」は朝食をとる前のことの意味で使っています。
「お安い御用」と「朝飯前」はどちらも容易いことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人から頼まれた時に使う言葉なのが「お安い御用」、人から頼まれていなくても使えるのが「朝飯前」と覚えておきましょう。