似た意味を持つ「オーバーホール」と「メンテナンス」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「オーバーホール」と「メンテナンス」という言葉は、「点検や維持」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
オーバーホールとメンテナンスの違い
オーバーホールとメンテナンスの意味の違い
オーバーホールとメンテナンスの違いを分かりやすく言うと、オーバーホールは徹底的な点検を表現する時に使い、メンテナンスは簡単な点検を表現する時に使うという違いです。
オーバーホールとメンテナンスの使い方の違い
一つ目のオーバーホールを使った分かりやすい例としては、「時計をオーバーホールする頻度を店員に伝えられた」「オーバーホールで損傷していた部品を交換してもらった」「オーバーホールは定期的に行い万が一に備えておく」などがあります。
二つ目のメンテナンスを使った分かりやすい例としては、「メンテナンス作業に追われていたためここ数日の疲労が溜まっている」「メンテナンス時間が思ったより短く仕事が早いと言われた」「人間にもメンテナンスが必要な時がやってくる」などがあります。
オーバーホールとメンテナンスの使い分け方
オーバーホールとメンテナンスはどちらも、点検や維持を意味する言葉として使われていますが、程度が大きく異なります。
オーバーホールは、器材の分解をして点検や手入れをすることを意味します。例えば、時計で言えば、全ての部品を分解、洗浄、組み立て、油の注入などのような徹底的な清掃を指します。
一方のメンテナンスは、建造物や機械などの機能を保守や維持することを意味します。上記と同じように時計を例に挙げた場合、外側についた汚れや指紋などを拭き取ることや、隙間の汚れをかき出すような手入れを指します。
つまり、オーバーホールは部品の分解を行い徹底的に洗浄を行うような点検を指し、メンテナンスは分解まではせずに外側から行うような簡単な点検を指すという明確な違いがあります。
オーバーホールとメンテナンスの英語表記の違い
オーバーホールを英語にすると「overhaul」となり、例えば上記の「時計をオーバーホールする」を英語にすると「give a watch an overhaul」となります。
一方、メンテナンスを英語にすると「maintenance」となり、例えば上記の「メンテナンス作業」を英語にすると「maintenance work」となります。
オーバーホールの意味
オーバーホールとは
オーバーホールとは、器材の分解をして点検や手入れをすることを意味しています。
オーバーホールの使い方
オーバーホールを使った分かりやすい例としては、「オーバーホールの頻度は少ないが必ず数年に一度は行う」「時計をオーバーホールしてもらったからか気分も上がっている」「オーバーホールで油を差してもらったので動きが滑らかになった」などがあります。
その他にも、「オーバーホールに関して何も知らなかったため説明してもらった」「自分では出来ないことをオーバーホールの際にしてもらう」「単純なフィルタ交換ではなく、内部洗浄といったオーバーホール作業に出向いてもらった」などがあります。
オーバーホールは英語で「overhaul」と表記され、「分解検査する」「徹底的に見直す」「追いつく」といった意味を持つ言葉です。日本語でも同じように使われていますが、「追いつく」「追い抜く」といった意味では使われていません。
1620年代、「引かれている方向とは反対側に引くことでロープを緩める」ことを意味する航海用語として使われ、1705年に「修理を目的として徹底的に調べる」ことを意味するようになります。
今日では、時計や車、ロボットなどの機械装置に対して使われ、長期間使用するためにも数年に一度は行う必要がある作業を指す言葉として使われています。主に、分解、部品の交換や修理、洗浄、組み立てといった作業が含まれています。
オーバーホールの対義語
オーバーホールの対義語・反対語としては、施すべき処置をしないままにしておくことを意味する「放置」があります。
オーバーホールの類語
オーバーホールの類語・類義語としては、物事に異常がないかを深く調べることを意味する「検査」、実際に立ち会って調べて見届けることを意味する「検分」、調査や確認などをすることを意味する「チェック」などがあります。
メンテナンスの意味
メンテナンスとは
メンテナンスとは、建造物や機械などの機能を保守や維持することを意味しています。
表現方法は「体のメンテナンス」「メンテナンスする」「メンテナンス作業」
「体のメンテナンス」「メンテナンスする」「メンテナンス作業」などが、メンテナンスを使った一般的な言い回しです。
メンテナンスの使い方
メンテナンスを使った分かりやすい例としては、「メンテナンスフリーの期間は確認しておく必要があるだろう」「長期メンテナンスが終わる目途が立っていないことにユーザーは腹を立てている」「メンテナンスの告知が出されて不具合を知った」などがあります。
その他にも、「メンテナンスを行うほどではないが今後修正されるべきバグは散見される」「障害やメンテナンスの情報はホームページに掲載される」「こころのメンテナンスはすぐに終わるものではない」などがあります。
メンテナンスは英語で「maintenance」と表記され、「持続」「維持」「扶養」といった意味を持つ言葉です。日本語でも同じように使われており、「メインテナンス」と表記されたり、「メンテ」と省略して使われることも多くあります。
機械類の整備点検や、製品の動作維持などに使われており、メンテナンスを事業として行う企業も多く存在します。システム面における不具合対応に対してもメンテナンスという言葉が使われ、ビジネスシーンから日常生活において多く耳にする単語と言えます。
「メンテナンスフリー」の意味
上記例文の「メンテナンスフリー」とは、点検などの必要が一定期間必要がない、もしくは少ない頻度で済む商品を指す言葉です。ただし、そのまま放置していれば汚れたり劣化が早くなるため、メンテナンスを行う必要がないというわけではありません。
メンテナンスの対義語
メンテナンスの対義語・反対語としては、決められた物事などを変えることを意味する「変更」、干渉せずに自由にさせることを意味する「放任」、規則などを無視する状態や制御できない状態になることを意味する「暴走」があります。
メンテナンスの類語
メンテナンスの類語・類義語としては、防ぎとめることを意味する「防止」、商品販売後に維持や修理などの提供をすることを意味する「アフターサービス」、ちょうどいい具合に調節や統制をすることを意味する「コントロール」などがあります。
オーバーホールの例文
この言葉がよく使われる場面としては、器材の分解をして点検や手入れをすることを意味する時などが挙げられます。
どの例文のオーバーホールも、メンテナンスより内部かつ細部まで徹底的に点検が行われる場合に使われています。
メンテナンスの例文
この言葉がよく使われる場面としては、建造物や機械などの機能を保守や維持することを意味する時などが挙げられます。
例文4や例文5のように、機器類やシステムだけでなく人間に対して使われることもあります。
オーバーホールとメンテナンスは、どちらも「点検や維持」を表します。どちらを使うか迷った場合は、徹底的な点検を表す場合は「オーバーホール」を、簡単な点検を表す場合は「メンテナンス」を使うと覚えておけば間違いありません。