似た意味を持つ「手口」(読み方:てぐち)と「手法」(読み方:しゅほう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「手口」と「手法」という言葉は、どちらも「物事のやり方」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
手口と手法の違い
手口と手法の意味の違い
手口と手法の違いを分かりやすく言うと、手口とは犯罪や悪事のやり方を表し、手法とは芸術作品をつくる方法を表すという違いです。
手口と手法の使い方の違い
一つ目の手口を使った分かりやすい例としては、「悪徳リフォーム業者の汚い手口をご紹介します」「犯行手口はかなり横暴なものであった」「集団ストーカーの手口が明らかになった」「売買高の多い証券会社の手口が公表される」などがあります。
二つ目の手法を使った分かりやすい例としては、「デジタル絵画の手法が多様化している」「たくさんの画家が手法をつくり出してきた」「絵画教室で日本画の手法を学ぶ」「ターゲットにあわせて手法を選ぶ」などがあります。
手口と手法の使い分け方
手口と手法という言葉は、どちらも物事のやり方や、何かを行う方法を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
手口とは、犯罪などの悪事のやり方を意味します。「犯行手口」のような使い方で、悪い事柄に対してのみ使われる言葉です。反対に、良い事柄や正しい行為に対して使用することはできません。また、手口という言葉は株式用語にもなっており、「取引所における売買内容」の意味もあります。
手法とは、広義では「物事のやり方」を意味しますが、狭義では「芸術作品をつくるときの技巧や表現方法」の意味で使用される言葉です。「マーケットの手法」のように広く物事のやり方を表すこともありますが、多くは「日本画の手法」のように芸術の分野で使用される言葉です。
つまり、手口とは犯罪や悪事に対して使用されることに対し、手法は芸術作品の表現技巧に対して使われることが多い言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味が異なるので区別して使用するようにしましょう。
手口と手法の英語表記の違い
手口を英語にすると「criminal technique」「modus operandi」「trick」となり、例えば上記の「汚い手口」を英語にすると「dirty trick」となります。
一方、手法を英語にすると「technique」「method」「style」となり、例えば上記の「絵画の手法」を英語にすると「technique of paintin」となります。
手口の意味
手口とは
手口とは、犯罪などのやり方、また、その特徴を意味しています。
その他にも、「取引所で、どの証券会社がどのような銘柄を何株売ったか買ったかという売買の内容」の意味も持っています。
手口の読み方
手口の読み方は「てぐち」です。誤って「てくち」「しゅこう」などと読まないようにしましょう。
手口の使い方
「デート商法は恋愛感情を利用した悪質な手口です」「大学生を狙った投資詐欺の手口をお知らせします」「車上荒らしの手口を知り、対策を講じる」などの文中で使われている手口は、「犯罪などのやり方」の意味で使われています。
一方、「日経225オプションの手口情報を掲載しています」「通勤電車で先物取引手口情報を確認する」「本日の海外勢全体の先物手口はいかがでしたか」などの文中で使われている手口は、「証券会社が行う株の売買の内容」の意味で使われています。
手口とは、物事のやり方や手段などを意味しますが、主に犯罪や悪事を実行するときの方法や手段を示す言葉です。また、証券用語として、取引所で、どの証券会社がどの株をどれだけ売り買いしたかを意味します。
「手口情報」の意味
手口を用いた日本語には「手口情報」があります。手口情報とは、主に株式取引や株価指数先物取引、商品先物取引などで使われる用語であり、どの証券会社がどの銘柄に、どれだけの売りまたは買いを行なったかという売買状況を示す情報のことです。
手口の対義語
手口の対義語・反対語としては、ねらった目当てや意図を意味する「狙い」などがあります。
手口の類語
手口の類語・類義語としては、 物事をするやり方や方法を意味する「仕方」、目的を遂げるためのやり方や手だてを意味する「方法」、ある事を実現させるためにとる方法を意味する「手段」などがあります。
手法の意味
手法とは
手法とは、物事のやり方、特に芸術作品などをつくるうえでの表現方法を意味しています。
手法の読み方
手法の読み方は「しゅほう」です。同じ読み方をする熟語に「主砲」や「主峰」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
手法の使い方
手法を使った分かりやすい例としては、「英語のライティング手法を習得する」「新規開拓の手段や営業手法を検討する」「どのような手法をとるべきだろうか」「最新のサイバー攻撃の手法と予防方法を教えます」などがあります。
その他にも、「風景世界を油彩画の手法で描き出す」「アートの手法を教育現場で生かす」「油絵は重ね塗りなどの手法を用いて描く」「さまざまな手法を使って表現する」「空間を含めて作品とみなす手法があります」などがあります。
手法の「手」は何かをやる方法や仕方を表し、「法」はある決まったやり方や一定の手順を表します。手法とは、物事のやり方を意味しますが、特に、芸術作品などをつくるうえでの表現方法や技法を指す言葉です。
「ゲーム的手法」の意味
手法を用いた日本語には「ゲーム的手法」があります。ゲーム的手法とは、「ゲーミフィケーション」ともいい、ゲームの要素を他の領域のサービスに適用し、利用者の動機付けを高めるマーケティング手法のことです。
手法の対義語
手法の対義語・反対語としては、実現しようとして目指す事柄を意味する「目的」などがあります。
手法の類語
手法の類語・類義語としては、芸術などで技術上の方法を意味する「技法」、絵をかく技法を意味する「画法」、絵や文章の描き方を意味する「描法」、物事を取り扱ったり処理したりする際の方法や手段を意味する「技術」、体系的な方法や方式を意味する「メソッド」などがあります。
手口の例文
この言葉がよく使われる場面としては、犯行のやりくち、証券用語で証券会社が株をどれぐらい売買したかを示すものを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある手口は、犯行のやりくちの意味で用いられています。例文4や例文5の手口は、証券用語として用いられています。
手法の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事のやり方、特に芸術作品をつくるときの技巧を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2の手法は、物事のやり方の意味で用いられています。例文3から例文5にある手法は、芸術作品をつくるときの技巧の意味で使用されています。
手口と手法という言葉は、どちらも「物事のやり方」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、悪事のやり方や取引所における売買内容を表現したい時は「手口」を、芸術作品をつくる方法を表現したい時は「手法」を使うようにしましょう。