【過干渉】と【過保護】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「過干渉」(読み方:かかんしょう)と「過保護」(読み方:かほご)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「過干渉」と「過保護」という言葉は、どちらも「親から子への過度な関与」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




過干渉と過保護の違い

過干渉と過保護の意味の違い

過干渉と過保護の違いを分かりやすく言うと、過干渉とは親の意向を子に押し付ける態度を表し、過保護とは子の意向を過度に受け入れる親の態度を表すという違いです。

過干渉と過保護の使い方の違い

一つ目の過干渉を使った分かりやすい例としては、「過干渉な母親にストレスを感じます」「過干渉な親は話を聞かない特徴があります」「過干渉は虐待の一種だと言われています」「過干渉をやめたら子供が変わった」などがあります。

二つ目の過保護を使った分かりやすい例としては、「過保護な父親に困っています」「過保護な親は先回りして何でもやってしまう」「親が過保護だと子の自己肯定感が育たない」「過保護になってしまう親の心理を解説します」などがあります。

過干渉と過保護の使い分け方

過干渉と過保護という言葉は、どちらも親の子に対する度を過ぎた関わり方を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。

過干渉とは、過度に立ち入ることを意味し、親が子供に対してあれこれと指示を出したり、こうするべきだと自分の思いを押し付けてしまうことを表します。子供の意向や選択に関係なく、親が決定したり行動を制限しようとする態度です。

過保護とは、過度にかばって守ることを意味し、親が子供の要望を必要以上に叶えてあげようとしたり、子供が困らないように先回りして行動したりすることを表します。親が子供の欲求を際限なく受け入れてしまったり甘やかしてしまう態度です。

つまり、過干渉とは子どもの意向に関係なく親が立ち入ることであり、過保護とは子どもの意向を尊重するあまり甘やかしてしまうことです。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。

過干渉と過保護の英語表記の違い

過干渉を英語にすると「excessive meddling」「helicoptering」となり、例えば上記の「過干渉な母親」を英語にすると「helicopter mother」となります。

一方、過保護を英語にすると「overprotective」「excessive nurturing」「pampering」となり、例えば上記の「過保護な父親」を英語にすると「overprotective father」となります。

過干渉の意味

過干渉と過保護の英語表記の違い

過干渉とは、干渉しすぎることを意味しています。

過干渉の使い方

過干渉を使った分かりやすい例としては、「過干渉の親は子どもの交友関係をチェックする」「毒親による過干渉は子どもに悪い影響を与えています」「過干渉に育てられた女性の特徴をご存知でしょうか」などがあります。

その他にも、「少子化が進むにつれて過干渉な親が増えています」「過干渉に育てられた人は恋愛が苦手です」「親の過干渉について書かれた論文を探しています」「過干渉な上司は部下をダメにします」などがあります。

過干渉の「干渉」は、他人のことに立ち入って自分の意思に従わせようとすることです。ある基準を超えることを表す「過」と組み合わさり、過干渉とは、一般的な限度を超えて関わることを意味し、主に親の子に対する関与の仕方を表現します。

過干渉である親の特徴

過干渉である親の特徴としては、子供の話をさえぎって自分の考えを言うことや、子どもが選んだものや進路を尊重しないことなどが挙げられます。これにより、子供は無気力になったり、自尊心が低くなるなどの悪影響を受けやすくなります。

過干渉の対義語

過干渉の対義語・反対語としては、干渉しないでしたいようにさせることを意味する「放任」、手をつけないで放っておくことを意味する「放置」などがあります。

過干渉の類語

過干渉の類語・類義語としては、出しゃばっていらぬ世話をやくことを意味する「お節介」、他人の話に割り込んで自分の意見を言うことを意味する「口出し」、物事に関係することや世話をやくことを意味する「手出し」、当事者以外の者が入り込むことを意味する「介入」などがあります。

過保護の意味

過保護とは

過保護とは、子供などに必要以上の保護を与えることを意味しています。

過保護の使い方

過保護を使った分かりやすい例としては、「過保護な親にバイトを禁止されています」「過保護で育った人には共通する特徴があります」「親が過保護だと愛着障害やアダルトチルドレンになりやすい」などがあります。

その他にも、「甘やかしや過保護は子供に悪影響を及ぼします」「あなたの過保護度をチェックしましょう」「過保護な親にならないように気を付けてください」「旦那が妻である私に過保護なので疲れます」などがあります。

過保護の「保護」は、外から危険や害を受けないように守っていたわることです。適当な程度を超えることを表す「過」と結びつき、過保護とは、子どもなどを必要以上に大切にすることを意味します。一般に、子どもが自立するまで、親が世話をしたり手助けしようとする養育態度を指します。

過保護である親の特徴

過保護である親の特徴としては、子どもが失敗しそうになると手助けをしてしまったり、先回りして子どもの要望を叶えてしまったりすることなどが挙げられます。そのため、子どもは自立心が芽生えにくくなったり、わがままになってしまう傾向があります。

過保護の対義語

過保護の対義語・反対語としては、自由気ままにやらせて干渉しない主義を意味する「放任主義」、そのままにしてほうっておくことを意味する「放置」などがあります。

過保護の類語

過保護の類語・類義語としては、大事にされて育ったために世間の苦労を知らず鍛えられていないことを意味する「温室育ち」、子供や幼児が必要以上に過保護に育てられることを意味する「おんば日傘」などがあります。

過干渉の例文

1.過干渉に育てられた人の特徴の一つに、人付き合いが苦手であることが挙げられます。
2.親の過干渉は、抵抗できない子どもにとって大きなストレスになります。
3.過干渉に育てられると、うつ病やパーソナリティ障害などの精神疾患になるリスクが高まります。
4.親が過干渉になる理由について、教育心理学の観点から解説しましょう。
5.小さな事にもいちいち口を出してくる過干渉な英語の先生は、生徒たちから疎まれています。
6.その青年は服装の選び方から友人の選び方まで、母親がすべてに口を挟んでくるので、とてもストレスを感じています。このような過干渉な親子関係では、自立心が育たず、自信を持つことができません。
7.小さい頃から、両親の過干渉に悩まされてきました。部活の選択から将来の進路まで、すべてを両親の意思で決められてきました。
8.過干渉な上司のマイクロマネジメントにより、部下の士気が低下していますから、上司はもっと部下を信じるべきなのです。
9.親が過干渉が嫌だったはずなのに、今ではそれを彼氏にしちゃうのは、本当だめだなと思っている。
10.母親が過干渉なのは、結局自分の思い通りに育てたいからとか、いつもそばに置いときたいからというエゴなのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、ある対象に対し必要以上に干渉することを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、過干渉という言葉は基本的に親子関係において用いられますが、例文5のように他人の関係でも使用されることがあります。

過保護の例文

1.過保護で育った人の特徴の一つに、挫折や失敗に弱いことが挙げられます。
2.成人した息子が自立できないのは、私達が過保護に育てたせいなのだろうか。
3.放っておき過ぎするのも過保護もダメであれば、どれくらいの距離感が良いのでしょうか。
4.あなたは子供に対して過保護や過干渉になっていないか、いま一度チェックしてみてください。
5.過保護になりやすい親のチェックリストを見て、自分にはあまり当てはまらなそうだと安心しました。
6.過保護に育った人は挫折や失敗に弱い傾向があります。自立心や忍耐力が弱いためです。
7.子育ての際は、子供の自立性を育むことと、安全を守ることのバランスを取るのが難しい。過保護にならない配慮も求められる。
8.親が子供の将来を一方的に決めようとするのは過保護の表れで、子供の可能性を狭めてしまう恐れがある。
9.子供のことが心配だからって、母親がサマーキャンプについていこうとするなんて過保護にも程があるだろう。
10.過保護な親にバイトを禁止されていたが、反抗心もあって、ひそかにコンビニでアルバイトをしていました。

この言葉がよく使われる場面としては、ある対象を過剰に保護することを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、過保護という言葉は、親が過度の配慮を子供に対して与える養育態度を表すことがほとんどです。

過干渉と過保護という言葉は、どちらも「親から子に対する行き過ぎた関与」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、親の意向を子に押し付けることを表現したい時は「過干渉」を、子の意向を優先して甘やかしてしまうことを表現したい時は「過保護」を使うようにしましょう。

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