似た意味を持つ「摩訶不思議」(読み方:まかふしぎ)と「不思議」(読み方:ふしぎ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「摩訶不思議」と「不思議」という言葉は、どちらも「不思議なこと、奇妙なこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
摩訶不思議と不思議の違い
摩訶不思議と不思議の意味の違い
摩訶不思議と不思議の違いを分かりやすく言うと、摩訶不思議は不思議の強調表現であるという違いです。
摩訶不思議と不思議の使い方の違い
一つ目の摩訶不思議を使った分かりやすい例としては、「なんとも摩訶不思議な事件であった」「世界中で摩訶不思議な現象が起きている」「古民家で摩訶不思議な時間を過ごしました」「ネコが人間になる摩訶不思議な夢を見ました」などがあります。
二つ目の不思議を使った分かりやすい例としては、「出張先で不思議な事件に遭遇した」「不思議な世界観をイラストにする」「不思議な歌詞が印象的な曲である」「子どもは不思議の国のアリス症候群になりやすい」などがあります。
摩訶不思議と不思議の使い分け方
摩訶不思議と不思議という言葉は、どちらも普通の考え方ではわからないような奇妙なさまを意味します。どちらも原因がよくわからず理解の及ばない事柄に対して使用される言葉ですが、二つの言葉の違いはその度合いにあります。
摩訶不思議の「摩訶」は、サンスクリット語で「大いなる」を意味する「maha」を漢字に訳したものです。不思議の頭に付けることで、「非常に不思議である」「はなはだ不思議なこと」といった意味になります。
つまり、摩訶不思議は「不思議」の強調表現です。ほぼ同義の言葉ですが、不思議であることや奇妙であることの度合いを厳密に表現した時は使い分けるとよいでしょう。
摩訶不思議と不思議の英語表記の違い
摩訶不思議を英語にすると「profound mystery」「most mysterious」となり、例えば上記の「摩訶不思議な事件」を英語にすると「a most mysterious incident」となります。
一方、不思議を英語にすると「mystery」「wonder」「strange」となり、例えば上記の「不思議な事件」を英語にすると「strange happenings」となります。
摩訶不思議の意味
摩訶不思議とは
摩訶不思議とは、非常に不思議なことを意味しています。
摩訶不思議の使い方
摩訶不思議を使った分かりやすい例としては、「摩訶不思議な人はクリエイターに向いています」「このラーメンは摩訶不思議な味がする」「摩訶不思議な砂漠の世界を体感しました」「世界の摩訶不思議をネットで調べています」などがあります。
その他にも、「英語圏にはたくさんの摩訶不思議な言い伝えがあります」「旅先で摩訶不思議なネコに出会いました」「摩訶不思議な部屋からの脱出を試みる」「摩訶不思議なアドベンチャーゲームが話題になっています」などがあります。
摩訶不思議は「魔訶」と「不思議」の二語から成る熟語です。「魔訶」は仏教用語で、優れていることや大きいことを表し、「不思議」は何故だろうと考えさせられる事柄を表します。摩訶不思議とは、非常に不思議で、常識では考えられないことを意味する言葉です。
摩訶不思議の語源
摩訶不思議の語源は、インドの古典語として使用されるサンスクリット語に由来します。「魔訶」は、偉大であることを意味するサンスクリット語の「maha」の音を中国語の漢字で書き写したものです。摩訶不思議は、不思議の強調表現なのです。
摩訶不思議の対義語
摩訶不思議の対義語・反対語としては、ごくありふれたものであることを意味する「普通」、毎日のありふれた事柄を意味する「日常茶飯事」などがあります。
摩訶不思議の類語
摩訶不思議の類語・類義語としては、きわめて奇怪なことを意味する「奇奇怪怪」、普通では考えつかないほど奇抜であることを意味する「奇想天外」、非常に風変わりであるさまを意味する「キテレツ」」、神秘的なさまや不可解なさまを意味する「ミステリアス」などがあります。
不思議の意味
不思議とは
不思議とは、どうしてなのか、普通では考えも想像もできないこと、説明のつかないことを意味しています。
その他にも、「仏語、人間の認識・理解を越えていること、人知の遠く及ばないこと」「非常識なこと、とっぴなこと」「怪しいこと、不審に思うこと」の意味も持っています。
不思議の使い方
「絶対に汚れない不思議な壁紙です」「不思議の国のアリスの原文を英語で読む」の文中で使われている不思議は「説明のつかないこと」の意味で、「不思議なほど当たる占いを教えてもらった」の文中で使われている不思議は「仏語で人知の遠く及ばないこと」の意味で使われています。
一方、「あの子は不思議な言動が多い」「不思議ちゃんは自分の世界観を持っています」の文中で使われている不思議は「非常識なこと」の意味で、「夫に対して不思議に思うことが増えた」の文中で使われている不思議は「不審に思うこと」の意味で使われています。
不思議とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「普通では考えも想像もできないこと、説明のつかないこと」の意味で用いられています。不思議の「不」は打ち消しを表し、「思議」は考えをめぐらすこと表します。
不思議の語源
不思議の語源は、仏教用語の「不可思議」(読み方:ふかしぎ)に由来します。不可思議とは、仏や菩薩の智慧や神通力に用いられる言葉であり、人間の認識や理解の限界を超えていることを意味します。この「不可思議」の省略形が、「不思議」であると考えられています。
不思議の対義語
不思議の対義語・反対語としては、ありふれていることや並みであることを意味する「あたり前」、特別でなく普通の状態であることを意味する「通常」などがあります。
不思議の類語
不思議の類語・類義語としては、常識では考えられないことを意味する「不可思議」、理解しようとしても理解できないことを意味する「不可解」、常識では考えられないほど怪しく不思議なことを意味する「奇怪」、不思議なことや妖しいことを意味する「面妖」などがあります。
摩訶不思議の例文
この言葉がよく使われる場面としては、はなはだ不思議なことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、摩訶不思議という言葉は、不思議であるさまの強調表現として用いられています。
不思議の例文
この言葉がよく使われる場面としては、普通では考えつかないこと、人の認識や理解を越えていること、突拍子もないこと、怪しいことを表現したい時などが挙げられます。
例文5の「不思議ちゃん」とは、他の人とは違う行動や発言をする変わり者の女性を意味する俗語です。同様に、そのような男性を「不思議くん」と呼びます。
摩訶不思議と不思議という言葉は、どちらも「不思議なこと、奇妙なこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、不思議であることを強調して表現したい時は「摩訶不思議」を使うようにしましょう。