似た意味を持つ「書中」(読み方:しょちゅう)と「書面」(読み方:しょめん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「書中」と「書面」という言葉は、どちらも「書類に書かれている内容」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
書中と書面の違い
書中と書面の意味の違い
書中と書面の違いを分かりやすく言うと、書中とは書類に書かれている内容のみを表し、書面とは書かれている内容だけでなく書類そのものも表すという違いです。
書中と書面の使い方の違い
一つ目の書中を使った分かりやすい例としては、「まずは書中にてお礼申し上げます」「略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます」「書中にてお悔やみ申し上げます」「略儀ではありますが書中をもってご報告申し上げます」などがあります。
二つ目の書面を使った分かりやすい例としては、「労働条件は書面で明示しなければならない」「取り急ぎ書面にて失礼いたします」「メールと書面とでは法的効力に違いはありますか」「書面から察するに契約更新はないだろう」などがあります。
書中と書面の使い分け方
書中と書面という言葉は、どちらも主にビジネスシーンで使用され、「文書や手紙に書かれている内容」という共通の意味を持っています。この意味で使用されている「書面から察する」の書面は書中という言葉に置き換えても意味は通じます。
さらに書面という言葉は、「手紙、文書、書類」の意味も持っています。この意味は「書中」にはないので、「書面で明示しなければならない」「書面にて失礼いたします」の書面は、書中に置き換えることはできません。
つまり、書中は文書に書かれている内容のみを表しますが、書面は書かれている内容だけでなく、その手紙や文書そのものも意味します。また、書面という言葉は、手紙や文書そのものの意味で使用されることが多いことも、二つの言葉の明確な違いになります。
書中と書面の英語表記の違い
書中を英語にすると「contained in a letter」となり、例えば上記の「書中にてお礼申し上げます」を英語にすると「I would like to thank you in a letter」となります。
一方、書面を英語にすると「document」「letter」「sheet」となり、例えば上記の「書面で」を英語にすると「by letter」となります。
書中の意味
書中とは
書中とは、書籍・文書・手紙文の中、また、そこに書いてある文句を意味しています。
書中の読み方
書中の読み方は「書中」です。同じ読み方をする熟語に「暑中」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
書中の使い方
書中を使った分かりやすい例としては、「書中をもちましてご案内申し上げます」「書中にてお礼申し上げます」「略儀ながら書中にて失礼いたします」「私には書中の趣意が理解できません」などがあります。
その他にも、「書中をもってご挨拶を申し上げます」「書中をもちましてお礼とさせていただきます」「書中をもちまして心よりお悔やみ申し上げます」「その書中から彼女の真意を察しました」「主義主張を論文の書中で言及する」などがあります。
書中の「書」は事柄をかきつけたものである文書や手紙を表し、「中」は物事の内容や実質を表します。二つの漢字が組み合わさり、書中とは、書籍や手紙の中に書かれたものの中身、また、文章中の文言を意味する言葉です。
「書中をもちまして」「書中をもって」の意味
上記の例文にある「書中をもちまして」「書中をもって」は、ビジネス文書や改まった手紙などで使用される表現です。口頭では使用されない言い回しですが、書面全般に適用できる言葉であり、封書に限らずハガキやメールなどに使用できます。
書中の対義語
書中の対義語・反対語としては、書面に記した以外の事柄を意味する「書外」などがあります。
書中の類語
書中の類語・類義語としては、文章のなかを意味する「文中」、文学作品に描かれた話の中を意味する「作中」、書物の主たる内容をなす部分の文章を意味する「本文」、文章中の語句や文句を意味する「文言」などがあります。
書面の意味
書面とは
書面とは、文書・手紙などに書かれてあることを意味しています。
その他にも、「手紙、文書、書類」の意味も持っています。
書面の使い方
「書面から彼らの本心を察する」「この書面からは判断できません」「英語で書いた書面をチェックしてもらえますか」などの文中で使われている書面は、「手紙などに書かれてあること」の意味で使われています。
一方、「書面決議による株主総会に賛成です」「標記会議について書面開催しました」「契約書面とは契約内容をお知らせする書類です」「書面添付制度は税務執行の簡素化を図る目的で創設されました」などの文中で使われている書面は、「手紙、文書、書類」の意味で使われています。
書面とは、上記の例文にあるように二つの意味があるため、文脈により意味を捉える必要があります。書面の「書」は事柄をかきつけた文書や手紙、「面」は表面に記されたものを意味する漢字です。
「書面決議による株主総会」の意味
上記例文にある「書面決議による株主総会」とは、株主総会の開催自体を省略して書面やメールで株主総会決議事項について株主の賛否を問うものです。書面による同意をもらうことで、株主総会の決議があったものとみなします。
「書面添付制度」の意味
書面を用いた日本語には「書面添付制度」があります。書面添付制度とは、税理士法第33条の2および第35条の総意であり、税務申告書に関する証明業務の制度を意味します。具体的には、税理士が申告書に保証書のようなものを添付し税務署に提出します。
書面の対義語
書面の対義語・反対語としては、文書でなく口で述べることを意味する「口頭」などがあります。
書面の類語
書面の類語・類義語としては、文章や手紙で示している事柄や趣意を意味する「文面」、文がいくつか集まりまとまった内容を表すものを意味する「文章」、書いたものや文書を意味する「書き物」、資料的な文書を意味する「ドキュメント」などがあります。
書中の例文
この言葉がよく使われる場面としては、手紙や書物など文字に書かれたものの中身を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、書中の慣用的な表現には「書中にて」「書中をもちまして」「書中をもって」などがあります。これらのフレーズの後には、お礼やお詫びなどの言葉が続くのが一般的です。
書面の例文
この言葉がよく使われる場面としては、文書や手紙などに書かれてあること、手紙や書類などを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある書面は、文書や手紙などに書かれてあることの意味で用いられています。例文2から例文5の書面は、文書や書類あるいは手紙を意味します。例文4の「書面にする」とは、書き記して文書を作成することです。
書中と書面という言葉は、どちらも「書類や手紙に書かれている文章」を表します。さらに「書面」には、書類や手紙そのものの意味もあり、その意味で使われることが多いことを覚えておきましょう。