似た意味を持つ「調子」(読み方:ちょうし)と「具合」(読み方:ぐあい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「調子」と「具合」という言葉は、どちらも「身体や物事の状態」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
調子と具合の違い
調子と具合の意味の違い
調子と具合の違いを分かりやすく言うと、調子とはテンポのよしあしを表し、具合とは機能のよしあしを表すという違いです。
調子と具合の使い方の違い
一つ目の調子を使った分かりやすい例としては、「調子外れな三味線の音が聞こえてきた」「胃の調子が悪いので薬を飲みました」「ストレッチで体の調子が良くなります」「まだ本調子ではないのでお休みします」などがあります。
二つ目の具合を使った分かりやすい例としては、「外出するかは天気の具合をみて決めます」「お身体の具合はいかがですか」「具合が悪い時の食事は消化のよいものにしてください」「店内の混み具合をAI解析しています」などがあります。
調子と具合の使い分け方
調子と具合という言葉は、どちらも健康状態や物事の様子を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
調子とは、もともと音楽用語で音の高低や速さの具合を意味し、動いているものの勢いや状態に使われる言葉です。「胃の調子」のような使い方で、胃がどのように動いているか健康状態を表したり、「エンジンの調子」のようにエンジンがテンポよく動いている状態を指すこともあります。
具合とは、機能からみた物事の状態を意味し、目的に合った機能をそなえているかどうかを表す言葉です。「身体の具合」とは、身体がきちんと機能しているかを表現するものです。また、具合とは物事の状況も表し、「混み具合」は特定の場所がどの程度混雑しているかという度合いを意味します。
つまり、調子とはテンポのよしあしを指す言葉であり、具合とは機能のよしあしを表現する言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
調子と具合の英語表記の違い
調子を英語にすると「tone」「tune」「pitch」となり、例えば上記の「調子外れ」を英語にすると「out of tune」となります。一方、具合を英語にすると「condition」「situation」「health」となり、例えば上記の「天気の具合」を英語にすると「weather conditions」となります。
調子の意味
調子とは
調子とは、音の高低のぐあい、音の速さのぐあい、リズムを意味しています。
その他にも、「言葉の表現のぐあい、音声の強弱や文章などの言い回し」「動作や進行の勢い」「活動するものの状態・ぐあい」の意味も持っています。
調子の読み方
調子の読み方は「ちょうし」です。誤って「ちょうす」「ちょうこ」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「調子がいい」「調子が悪い」「体の調子」
「調子がいい」「調子が悪い」「体の調子」などが、調子を使った一般的な言い回しです。
調子の使い方
「曲の調子をつかむ」「調子記号を見て何調かを当てる」などの文中で使われている調子は「音の高低や速さのぐあい」の意味で、「声の調子で機嫌がわかる」「激しい調子で毒づかれた」などの文中で使われている調子は「言葉の表現のぐあい」の意味で使われています。
一方、「おだてられると調子に乗る」「調子乗っちゃって踊り出した」などの文中で使われている調子は「動作や進行の勢い」の意味で、「今日はなんだか調子が悪い」「調子はどうですかと英語で話しかけた」などの文中で使われている調子は「活動するものの状態」の意味で使われています。
調子とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているので、文脈により意味を判断する必要があります。調子の「調」は音楽や文章などの趣、手を加えてととのえることを表す漢字であり、「子」は物の名に付けたり意味なく添えたりする語です。
「お調子者」の意味
調子を用いた日本語には「お調子者」があります。「お調子者」とは、いいかげんに調子をあわせる人を意味し、おだてに乗って勢いづいたり得意になったりする人、調子に乗って軽はずみなことをする人を表します。
調子の類語
調子の類語・類義語としては、音楽や詩歌などを通して感じられる情緒を意味する「調べ」、音楽のリズムを形成する基本単位を意味する「拍子」、口に出したときの言葉の調子を意味する「口調」、話すときの声の高さの変動を意味する「語調」などがあります。
具合の意味
具合とは
具合とは、活動や機能からみた物事の状態を意味しています。
その他にも、「健康の状態」「物事の運び方」「物事を行うにあたっての状況、都合」「体面、体裁」の意味も持っています。
具合の漢字表記
具合は「工合」とも書きますが、一般的には「具合」と表記されています。
表現方法は「具合が悪い」「具合がいい」「体の具合」
「具合が悪い」「具合がいい」「体の具合」などが、具合を使った一般的な言い回しです。
具合の使い方
「網戸の滑り具合を確認する」の文中で使われている具合は「物事の状態」の意味で、「祖父は昨晩から具合が悪いようだ」「テスト前になると具合悪いアピールをする」の文中で使われている具合は「健康の状態」の意味で使われています。
一方、「英語のワークの進み具合はどうですか」の文中で使われている具合は「物事の運び方」の意味で、「うまい具合に事が運ぶ」の文中で使われている具合は「状況、都合」の意味で、「具合が悪いから離婚はしません」の文中で使われている具合は「体面、体裁」の意味で使われています。
具合とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているので、文脈により意味を捉える必要があります。具合の「具」は訓読みで「そなえる」と読み、これから先に起こる事態に対応できるように準備しておくこと、「合」は一緒になることを表す漢字です。
「懐具合」の意味
具合を用いた日本語には「懐具合」(読み方:ふところぐあい)があります。懐具合とは、所持金の額や金回りの状態を意味し、「懐都合」とも言います。「懐」は衣服の胸の辺りの内側の部分を指し、転じて、持っている金を意味する言葉です。
具合の類語
具合の類語・類義語としては、ぐあいがよいか悪いかということを意味する「都合」、変化していく物事のその時々のようすを意味する「情勢」、健康状態を意味する「加減」、状態や調子を意味する「コンディション」などがあります。
調子の例文
この言葉がよく使われる場面としては、音の高さ・速さ・旋律・調性、音声による表現のぐあい、物事の進む勢い、身体や気分などのぐあいを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、調子の慣用的な言い回しには「調子に乗る」「調子を整える」「調子を崩す」などがあります。「調子に乗る」とは、いい気になって浮ついた言動をとること、仕事などが順調に進むことを意味します。
具合の例文
この言葉がよく使われる場面としては、事が運ぶ調子や健康状態のよしあし、出来上がりの様子、体裁を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「出来具合」とは、できあがった様子や出来栄えを意味します。具合は、「出来具合」「腹具合」「懐具合」のように「〇〇具合」という表現をとることが多い言葉です。
調子と具合という言葉は、どちらも「物事や身体の状態」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、テンポのよしあしを表現したい時は「調子」を、機能面のよしあしを表現したい時は「具合」を使うようにしましょう。