【発展】と【進展】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「発展」(読み方:はってん)と「進展」(読み方:しんてん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「発展」と「進展」という言葉は、どちらも「物事が進むこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




発展と進展の違い

発展と進展の意味の違い

発展と進展の違いを分かりやすく言うと、発展とは物事のレベルが高くなること、進展とは物事が新たな局面に進むことという違いです。

発展と進展の使い方の違い

一つ目の発展を使った分かりやすい例としては、「新興国の経済発展に寄与する」「AIが描くイラストには発展の余地がある」「農業の持続的な発展に尽力する」「発展途上国の最も大きな問題は貧困です」などがあります。

二つ目の進展を使った分かりやすい例としては、「ジェンダー平等のさらなる進展を望む」「デジタル技術の進展が急速に進む」「糖尿病の進展を阻止する薬を開発する」「進展がありましたらご連絡ください」などがあります。

発展と進展の使い分け方

発展と進展という言葉は、どちらも物事が盛んになったり進んだりする様子を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

発展とは、物事の勢いなどが広がること、より進んだ段階に移っていくことを意味します。「経済発展」「科学技術の発展」のような使い方で、生活や技術あるいは文化などのレベルが高くなることを表す言葉です。そのため、基本的に悪い意味で使うことはありません。

進展とは、事態が進行して、新たな局面があらわれることを意味し、その進む方向については良否を問題にしない言葉です。「ジェンダー平等の進展」のような使い方で良い方向に動くことも、「糖尿病の進展」のように悪い方向に動くことにも使用できます。

つまり、発展とは物事の水準が高くなることを表し、進展とは物事が先に進むことを表現する言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

発展と進展の英語表記の違い

発展も進展も英語にすると「development」「evolution」になり、例えば上記の「経済発展」を英語にすると「economic development」となります。

発展の意味

発展とは

発展とは、物事の勢いなどが伸び広がって盛んになること、物事がより進んだ段階に移っていくことを意味しています。

その他にも、「色事や遊蕩 (ゆうとう) において、積極的に活動すること」の意味も持っています。

発展の使い方

「発達心理学会の発展をお祈り申し上げます」「給与面の発展性に不満がありました」「発展途上国の一覧をネットで検索する」「発展途上国における英語教育が進歩しています」などの文中で使われている発展は、「盛んになることや進んだ段階に移ること」の意味で使われています。

一方、「あの男は発展家だから気をつけなさい」「若い頃はだいぶご発展のようでした」などの文中で使われている発展は、「色事において積極的に活動すること」の意味で使われています。

発展とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「盛んになることや進んだ段階に移ること」の意味で使用されています。発展の「発」は外に向かって伸び広がること、「展」はどこまでも伸び広がることを表す漢字です。

「発展家」の意味

発展を用いた日本語には、「発展家」があります。発展家とは、手広く盛んに活動する人を意味し、特に、色事にふけってあちこちと交際を広げてゆく人、男女関係に積極的だったり奔放だったりする人を表現する言葉です。

発展の対義語

発展の対義語・反対語としては、勢いや活力が衰え弱まることを意味する「衰退」、衰えたり規模が小さくなったりすることを意味する「退化」などがあります。

発展の類語

発展の類語・類義語としては、規模がしだいに大きくなることを意味する「発達」、勢力や規模などが伸び広がることを意味する「伸展」、大きく発展して活躍することを意味する「飛躍」、次の段階に進めることを意味する「展開」などがあります。

進展の意味

進展とは

進展とは、事態が進行して新たな局面があらわれること、また、物事が進歩や発展することを意味しています。

進展の使い方

進展を使った分かりやすい例としては、「AIの進展によりロボットの使い方に変化がみられる」「メーカーによって進捗度合いは異なるが値上げ交渉が進展しています」「この件について進展がありましたら、ご連絡いたします」などがあります。

その他にも、「地球温暖化の進展を食い止めよう」「病気が進行し、がん細胞へと進展する場合がある」「病院で進展型小細胞肺癌と診断されました」「国交の正常化交渉が進展する」「グローバル化の進展により英語の重要性は増しています」などがあります。

進展の「進」は訓読みで「すすむ」と読み、勢いに乗って前へ出ることを表す漢字です。物事が盛んになることを表す「展」と結び付き、進展とは、伸び広がること、事態が進行したり、物事が進歩発展したりすることを意味します。

進展は良い悪いか関わらずに使える

進展という言葉は、進む方向が良いか悪いかに関わらずに使用できる言葉です。上記例文にある「国交の正常化交渉が進展する」は好ましい方向に事態が進むこと、「がん細胞への進展」は好ましくない方向に事態が進むことを表現しています。

進展の対義語

進展の対義語・反対語としては、着手した物事がゆきづまってはかどらないことを意味する「停頓」、物事が順調に進まないことを意味する「停滞」などがあります。

進展の類語

進展の類語・類義語としては、物事が次第によい方へと進んで行くことを意味する「進歩」、事物が進歩してよりすぐれたものになることを意味する「進化」、めざましい勢いで進出することを意味する「躍進」、規模が大きくなることや内容が成熟することを意味する「成長」などがあります。

発展の例文と使い方

1.情報技術の発展は、私たちの暮らしや時間の使い方に影響をもたらしています。
2.本校は創設時より英語教育に力を入れており、その内容は時代とともに発展してきました。
3.高学年になると、漢字や計算の力を付けることだけでなく、発展的な学習に取り組むことも求められます。
4.フリーミアムとは、無料で顧客を引きつけながら有料ビジネスへと発展させていく戦略のことです。
5.発展途上国におけるスマホの普及率を、ネットの情報から推定してみました。

この言葉がよく使われる場面としては、勢いや力が伸び広がること、盛んになること、性関係や酒などにふけって遊び歩くことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、発展の慣用的な言い回しには「発展する」「発展的」「発展させる」などがあります。例文5の「発展途上国」とは、経済的発展が相対的に遅れている国々の総称で、「開発途上国」とも言います。

進展の例文と使い方

1.情報化社会の進展は、人々の時間の使い方に大きな影響を与えています。
2.急ピッチで進展する生成AIは、ビジネス活用に期待が高まる一方で不安を感じる声も聞かれます。
3.ご相談させていただいた件について、進展がありましたらご連絡ください。
4.チャラ男と地味女の恋愛は進展するのか、クラス中のみんなが注目しています。
5.何事も実直に取り組めば進展があるはずなので、簡単にあきらめないでください。

この言葉がよく使われる場面としては、事態が進行したり、物事が進歩発展したりすることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、進展の慣用的な言い回しには「進展する」「進展がある」「進展がありましたら」などがあります。「進展がありましたら」とは、ある事柄や状況が前に進んだ場合を指すビジネスにおけるフレーズです。

発展と進展という言葉は、どちらも「物事が進むこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事の水準が高くなることを表現したい時は「発展」を、物事が進んで新たな展開が起こることを表現したい時は「進展」を使うようにしましょう。

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