似た意味を持つ「有無」(読み方:うむ)と「可否」(読み方:かひ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「有無」と「可否」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
有無と可否の違い
有無と可否の意味の違い
有無と可否の違いを分かりやすく言うと、有無とは物事のあるなしを表し、可否とは物事のよしあしを表すという違いです。
有無と可否の使い方の違い
一つ目の有無を使った分かりやすい例としては、「水槽内のバクテリアの有無を調べる」「利用の有無に関わらず料金が発生します」「恋人の有無をさりげなく聞き出す」「有無を言わさず家に連れ戻された」などがあります。
二つ目の可否を使った分かりやすい例としては、「参加の可否は今週中にお知らせください」「転勤の可否を入社時に選択する」「高齢者の入浴に関して可否判断の基準が必要です」「国民投票で新憲法草案の可否を問う」などがあります。
有無と可否の使い分け方
有無と可否という言葉は、どちらも反対の意味を持つ漢字を組み合わせた対語(ついご)ですが、意味や使い方には違いがあります。
有無とは、あることとないことを意味し、「バクテリアの有無」「利用の有無」などの使い方で、存在や状態などのあるなしを表す言葉です。また、「有無を言わさず」の使い方で、相手の意見や要求を受け入れるか断わるかの意味もあります。
可否とは、よいか悪いかを意味し、「参加の可否」「可否判断」などの使い方で、行動や状態の可能性を表す言葉です。また、「草案の可否を問う」のように、よいとして認めたり不可として認めなかったりすることも表現します。
つまり、有無とは物事のあるかないかであり、可否とは物事のよいか悪いかを意味します。例えば、「参加の有無」は過去に参加した実績があるかどうかを表現しますが、「参加の可否」となると将来的な参加の可能性を指す表現になるという違いがあります。
有無と可否の英語表記の違い
有無を英語にすると「presence or absence」「existence or nonexistence」となり、例えば上記の「バクテリアの有無」を英語にすると「the presence or absence of bacteria」となります。
一方、可否を英語にすると「propriety」「right or wrong」「pro and con」となり、例えば上記の「参加の可否」を英語にすると「the possibility of participation」となります。
有無の意味
有無とは
有無とは、あることとないこと、あるなしを意味しています。
その他にも、「承諾することと断ること、承知と不承知」「仏語、存在するものと存在しないもの、また、存在することと存在しないこと」の意味も持っています。
有無の読み方
有無の読み方は「うむ」の他に「ゆうむ」とも読むことができますが、一般的には「うむ」と読まれています。
有無の使い方
「障がいの有無に関わらず遊べる場所が欲しい」「日本への津波の有無を調査しています」「AIがバッテリーの有無を判断します」などの文中で使われている有無は、「あることとないこと」の意味で使われています。
一方、「彼は有無を言わせない雰囲気漂わせている」「有無を問う通知を送付する」の文中で使われている有無は「承知と不承知」の意味で、「菩薩は有無の二見を徹底的に打ち破られました」の文中で使われている有無は「仏語で存在するものと存在しないもの」の意味で使われています。
有無とは、上記例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「あることとないこと」「承知と不承知」の意味で用いられています。有無の「有」はあることや存在することを表し、「無」はないことや存在しないことを表す漢字です。
四字熟語「有無相生」の意味
有無を用いた四字熟語には「有無相生」(読み方:うむそうせい)があります。有無相生とは、有と無の相対的な関係を表し、有があってはじめて無があり、無があってはじめて有があることを意味します。転じて、世の中のすべての事柄は相対的な関係にあるということを表現する言葉です。
「有無を言わず」は誤用
有無を用いた誤った言い回しには「有無を言わず」があります。正しくは「有無を言わせず」「有無を言わさず」という慣用句であり、相手の承知または不承知にかかわりなく無理やりである様子を意味します。
有無の類語
有無の類語・類義語としては、無いことと有ることを意味する「無有」、あるかないかを意味する「有りや無しや」、不承知と承知を意味する「否応」、認めるか否かということを意味する「認否」、存在するかしないかということを意味する「存否」などがあります。
可否の意味
可否とは
可否とは、よいかよくないか、事のよしあしを意味しています。
その他にも、「賛成と不賛成、可決と否決」の意味も持っています。
可否の読み方
可否の読み方は「かひ」です。誤って「かふ」などと読まないようにしましょう。
可否の使い方
「英語での対応可否を確認しておく」「コーヒーのテイクアウトの可否を確かめる」「約款の変更可否と事前周知の要否を検討しています」などの文中で使われている可否は、「事のよしあし」の意味で使われています。
一方、「議案の可否を決定する」「リコールの可否を問う住民投票が投票されます」「採決が可否同数になったらどうなりますか」などの文中で使われている可否は、「賛成と不賛成、可決と否決」の意味で使われています。
可否とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため文脈により意味を捉える必要があります。可否の「可」はよいことやよろしいと認めること、「否」は打消しや同意しないことを表す漢字です。
可否という言葉は、物事のよしあしや正誤を表し、基本的には案件や提案などが適切かどうかを評価する際に用いられます。会議において議案に対する承認や拒否の判断を求めることを「可否を問う」などと表現します。
可否の類語
可否の類語・類義語としては、物事のよしあしを議論し判断することを意味する「是非」、適することと適さないことを意味する「適否」、道理に合うことと合わないことを意味する「当否」、賛成か不賛成かということを意味する「賛否」などがあります。
有無の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、あるかないか、諾否、実在することと実在しないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の有無は、「あるかないか」の意味で用いられています。例文5の有無は、諾否の意味で使用されています。
可否の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、良いことと悪いこと、よいとして認めたり不可として認めなかったりすること、賛成か不賛成かを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の有無は、「良いことと悪いこと」の意味で用いられています。例文5の有無は、「賛成か不賛成か」の意味で使用されています。
有無と可否という言葉は、どちらも反対の意味を組み合わせた対語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、あるかないかや諾否を表現したい時は「有無」を、よいか悪いかや賛否を表現したい時は「可否」を使うようにしましょう。