似た意味を持つ「即戦力」(読み方:そくせんりょく)と「戦力」(読み方:せんりょく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「即戦力」と「戦力」という言葉は、どちらも「重要な働き手」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
即戦力と戦力の違い
即戦力と戦力の意味の違い
即戦力と戦力の違いを分かりやすく言うと、即戦力とは訓練しなくてもすぐに使える戦力、戦力とは事を行う上での重要な働き手という違いです。
即戦力と戦力の使い方の違い
一つ目の即戦力を使った分かりやすい例としては、「彼は初日から即戦力であることを証明した」「会社が求めるものは意欲よりも即戦力です」「なぜ企業は即戦力を求めるのでしょうか」「転職先で即戦力として働く」などがあります。
二つ目の戦力を使った分かりやすい例としては、「戦力を立て直すには時間を要するだろう」「政府は核戦力の強化へ向け生産増強を指示した」「仕事で早く戦力になれるように頑張ります」「2023年に戦力外となった選手は何人いますか」などがあります。
即戦力と戦力の使い分け方
即戦力と戦力という言葉は、どちらもビジネスシーンにおいて重要な働き手を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
戦力とは、「戦力を立て直す」「核戦力の強化」のような使い方で、戦争を遂行するための力を意味します。転じて、「仕事で早く戦力になる」のような使い方で、物事を遂行するために必要な働き手の力も意味する言葉です。
即戦力とは、すぐに使える戦力のことで、訓練や教育を施さなくとも即座に使えて重要な働きをする力を意味します。ビジネスにおける即戦力とは、入社後にすぐ現場で活躍できる人材や、すぐに成果を出せる能力を持つ人材を指します。
つまり、即戦力とはすぐに使える戦力のことであり、戦力とは軍事力や重要な働きをする力を意味します。二つの言葉を比べると、戦力よりも即戦力の方が、すぐに役立ち有用であることを表しています。
即戦力と戦力の英語表記の違い
即戦力を英語にすると「adaptable fighting potential」「ready to go」「immediate asset」となり、例えば上記の「即戦力であることを証明する」を英語にすると「prove to be an immediate asset」となります。
一方、戦力を英語にすると「military power」「war potential」「fighting power」となり、例えば上記の「戦力を立て直す」を英語にすると「reorganize military power」となります。
即戦力の意味
即戦力とは
即戦力とは、訓練や準備をしなくてもすぐに使える戦力を意味しています。
即戦力の読み方
即戦力の読み方は「そくせんりょく」です。誤って「そくせんりき」「しょくせんりょく」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「即戦力と言われた」「即戦力として働く」「即戦力になれるよう」
「即戦力と言われた」「即戦力として働く」「即戦力になれるよう」などが、即戦力を使った一般的な言い回しです。
即戦力の使い方
即戦力を使った分かりやすい例としては、「即戦力として期待されやすい資格を取得する」「優秀な彼は世界一即戦力の男を囁かれています」「即戦力がつくビジネス英会話のテキストを購入しました」などがあります。
その他にも、「結果を残せず即戦力外ドラフトと評されている」「英語ができるからと言って即戦力になるとは限らない」「中途採用は即戦力を求めすぎてはいけません」「即戦力採用へのシフトチェンジが加速しています」などがあります。
即戦力とは、教育や訓練などを受けなくても、すぐに成果を出せる能力や戦力を意味します。主にビジネスシーンやスポーツ界で使用されている言葉です。即戦力の「即」は訓読みで「すなわち」と読み、たちまちであるさまを表します。
「即戦力人材」の意味
ビジネスにおける「即戦力人材」とは、入社直後から活躍できる人材のことであり、特に研修やOJTなどを行わなくてもすぐに業務を担当できるような人を意味します。一般的に、中途採用では即戦力人材かどうかを重視する傾向があります。
即戦力の対義語
即戦力の対義語・反対語としては、外部には見えない内部に秘められた能力を意味する「潜在能力」、潜在的な力や可能性としての力を意味する「ポテンシャル」などがあります。
即戦力の類語
即戦力の類語・類義語としては、戦略に応じ軍隊として迅速に行動する能力を意味する「機動力」、実際にそのことを行える能力を意味する「実行力」、目的を果たすために実際の行動で示される力を意味する「実力」などがあります。
戦力の意味
戦力とは
戦力とは、戦争を遂行するための力、兵力だけでなく軍需品の生産力や物資輸送力を含める総合的な戦争遂行能力を意味しています。
その他にも、「スポーツや政治・労働運動などで戦う力、また、事を行う上での重要な働き手」の意味も持っています。
戦力の使い方
「憲法では戦力の不保持を明記している」「隣国の核戦力増強は速いペースで進んでいます」「敵の規模を確認せずに戦力の逐次投入を繰り返した」などの文中で使われている戦力は、「戦争を遂行するための力」の意味で使われています。
一方、「数十名のプロ野球選手が戦力外通告を受けました」「戦力にならないビジネスマンは仕事を干されるだろう」などの文中で使われている戦力は、「スポーツや労働運動などで戦う力」の意味で使われています。
戦力とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。戦力の「戦」は訓読みで「いくさ」と読み、武器をもって敵と争うこと、「力」は訓読みで「ちから」と読み、その物に備わる働きや勢いを表します。
「戦力外通告」の意味
戦力を用いた日本語には「戦力外通告」(読み方:せんりょくがいつうこく)があります。戦力外通告とは、主に日本プロ野球において使用され、チームが所属選手に対して戦力構想から外れていることを選手本人に通告することを意味します。選手契約の解除や見直しを示唆するものです。
戦力の類語
戦力の類語・類義語としては、国家が戦争や防衛を行うための能力を意味する「軍事力」、兵器数などの総合力や戦闘力を意味する「兵力」、軍隊の力や兵力を意味する「武力」、争いなどで相手を力でねじ伏せるための肉体的な力を意味する「腕力」などがあります。
即戦力の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、特に訓練しなくてもすぐに使える戦力、事を行なおうとする際にすぐに使えて重要な働きをする力を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、即戦力という言葉は、ビジネスシーンで使用されることがほとんどです。
戦力の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、戦争を遂行できる力、物事を遂行するために必要な働き手の力を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「核戦力」とは、核兵器に代表される軍事力を意味します。「中距離核戦力」は、射程500~5500キロの核ミサイル兵器の総称です。
即戦力と戦力という言葉は、どちらも「軍事力や重要な働き手」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、特に訓練しなくてもすぐに使える軍事力やすぐに活躍できる働き手を表現したい時は「即戦力」を使うようにしましょう。