似た意味を持つ「これまで」と「今まで」(読み方:いままで)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「これまで」と「今まで」という言葉は、どちらも過去から現時点までのことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「これまで」と「今まで」の違い
「これまで」と「今まで」の意味の違い
「これまで」と「今まで」の違いを分かりやすく言うと、「これまで」は継続性を重視した表現、「今まで」と現時点を重視した表現という違いです。
「これまで」と「今まで」の使い方の違い
一つ目の「これまで」を使った分かりやすい例としては、「これまで聞いたことを正直に話してください」「これまでにこんな楽しいことはありませんでした」「これまでよりも一生懸命練習する覚悟です」「これまでがこれまでだから彼女にはあまり期待しない方がいいよ」などがあります。
二つ目の「今まで」を使った分かりやすい例としては、「今まで仕事をしていたので電話に出れませんでした」「今まで行ったことのないところへ旅行したいです」「今まで観たアニメの中で一番好きです」「今まで黙っていてごめんなさい」などがあります。
「これまで」と「今まで」の使い分け方
「これまで」と「今まで」はどちらも過去から現時点までのことを意味している言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
例えば、「これまでこれほど素晴らしいと思う水墨画を見たことがありません」とすると、過去に色々な水墨画を見てきたが、今の時点まで、ずっとこれほど素晴らしい水墨画は見たことがなかったというニュアンスになります。
つまり、今、見ることができたという体験よりも、一度も見たことがなかったという過去の状況からの継続性に重点を置いた表現です。
一方、「今までにこれほど素晴らしいと思う水墨画を見たことがありません」とすると、今まさにこの瞬間までに、これほど素晴らしい水墨画を見たことがないというニュアンスになります。
つまり、見たことがなかったという過去の状況よりも、今、やっと見ることができたという現時点を重視した表現というのが違いです。
「これまで」と「今まで」の英語表記の違い
「これまで」も「今まで」も英語にすると「until now」「thus far」となり、例えば上記の「これまでがこれまでだから彼女にはあまり期待しない方がいいよ」を英語にすると「Knowing her, I would advise you not to expect too much」となります。
「これまで」の意味
「これまで」とは
「これまで」とは、時間・場所・程度が示された点までであることを意味しています。その他にも、物事の終わりで限界点を示すことの意味も持っています。
「これまで」の漢字表記
「これまで」を漢字にすると、「此れ迄」や「是迄」と表記することができます。
「これまで」の使い方
「ここでやめてしまったらこれまでの苦労が水の泡です」「これまで何をやって過ごしていたんですか」などの文中で使われている「これまで」は、「時間・場所・程度が示された点までであること」の意味で使われています。
一方、「最早これまでと観念しました」「彼らの関係も最早これまでだと思います」などの文中で使われている「これまで」は、「物事の終わりで限界点を示すこと」の意味で使われています。
「これまで」は二つの意味の名詞でどちらの意味でも使われている言葉です。名詞とは自立語で活用がなく文の主語となることができるもののことを意味しています。
「これまで」の特徴
「これまで」は今、見ることができたという体験よりも、一度も見たことがなかったという過去の状況からの継続性に重点を置いた表現です。
また、やや丁寧な表現なので、ビジネスシーンにおいても使うことができると覚えておきましょう。
「これまで」の類語
「これまで」の類語・類義語としては、時間・状態・動作などが限界に達したことを意味する「それまで」、以前からのことを意味する「前々から」、 過去のある一時期を表すことを意味する「かつて」などがあります。
「今まで」の意味
「今まで」とは
「今まで」とは、現在までのことを意味しています。
「今まで」の漢字表記
「今まで」を漢字にすると、「今迄」と表記することができます。
「今まで」の使い方
「今まで」を使った分かりやすい例としては、「今まで沖縄へ行ったことがありません」「今までこんなにミスをしたことはありません」「今まで読んだ漫画の中で一番面白かったです」「今までどこに行っていたんですか」などがあります。
「今まで」は現在までのことを意味する副詞です。副詞とは品詞の一つであり、他の言葉を修飾して説明を加えるという役割を担っています。
「今まで」は今、やっと見ることができたという現時点を重視した表現になります。
「今まで」の特徴
「今まで」は、含まれる範囲の起点を特定する手がかりは含まず、文脈によって異なる表現です。
例えば「今までこの記録は破られたことはないのような、歴史全体を対象範囲として使うこともあれば、「今まで北京ダックを食べたことはありません」のように、個人の体験が念頭に置かれている場合でも使うことができると覚えておきましょう。
「今まで」の類語
「今まで」の類語・類義語としては、ずっと前から今まで変わりなく何かが続けて行われていることを意味する「従来」、今より前いことを意味する「従前」、今より前の時点のことを意味する「以前」などがあります。
「これまで」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、時間・場所・程度が示された点までであることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、物事の終わりで限界点を示すことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3は時間・場所・程度が示された点までであること、例文4と例文5は物事の終わりで限界点を示すことの意味で使っています。
「今まで」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、現在までのことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「今まで」は様々な場面で使われている言葉です。
「これまで」と「今まで」はどちらも過去から現時点までのことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、継続性を重視した表現が「これまで」、現時点を重視した表現が「今まで」と覚えておきましょう。